家庭の事情などによって転勤できない人は多いです。例えば育児中の人が引っ越すと、子供の学校などが変わります。そうすると、子供の交友関係や学力などに支障をきたすことがあります。

また介護中であったり家族が病気していたりする人も、引っ越しが難しいでしょう。要介護者の引っ越しはかなり大変ですし、手続きも多いです。病院も変えなければいけなくなります。

そのため、このような家庭の事情がある人は、転勤なしで働く必要があります。

では、登録販売者が転勤なしで働くことはできるのでしょうか? また転勤なしで働くためには、どのようにして求人を選べば良いのでしょうか?

ここでは、登録販売者が転勤なしで働くための求人選びのコツについて解説していきます。

薬の販売業で転勤族となることを避けるための求人選び

小売業界で働くと、転勤族となることが多いです。これは固定メンバーで長期間働き続けると、仕事が惰性的になりやすくなるためです。そのため健全な店舗運営を続ける目的で、定期的なメンバーの入れ替えが行われます。

また転勤によって客層や来客傾向などが異なる店へ配属されると、スキルも向上します。そのため小売業では、転勤経験がキャリアアップに必須な企業が多いです。

このとき登録販売者は、市販薬を販売することができるようになる資格です。そのため登録販売者の求人のほとんどは、ドラッグストアなどの小売業です。登録販売者として働く場合、転勤が必要となる場合が多いのです。

ただ中には、転勤なしの働き方を選べる企業もあります。そのためさまざまな事情によって転勤できない場合は、転勤なしの働き方が可能な企業に入社することが大切です。

ドラッグストアの正社員として働きながら転勤なしを実現する

ドラッグストアはチェーン展開していることがほとんどです。そのため多くの場合、ドラッグストアで働くと転勤を経験することになります。

特に店舗を全国に展開している企業では、全国転勤の可能性があります。例えば以下は、全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、全国職という記載があります。つまりこの求人に応募すると、全国に転勤する可能性を生じるのです。このような求人を選ぶと、引っ越しを伴う転勤が起こりやすくなります。

ただドラッグストアの中には、転勤なしの働き方を選べる企業もあります。例えば以下は、神奈川や東京などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、転勤なしとの記載があります。このような求人を選ぶと、転勤せずに同じ店舗で登録販売者として働き続けることができます。

また転勤がある企業であっても、引っ越しせずに働き続けることが可能な企業もあります。例えば以下は、九州を中心に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、「地域専任職という働き方が選択できる」と記載されています。通勤可能なエリア内での異動があるものの、転居を伴う転勤はないのです。

このような求人を選べば、家庭の事情などによって引っ越しができない場合でも同じ企業で働き続けることができます。引っ越しできない事情がある人は、転勤なしで働けたり転勤エリアを限定できたりする企業を選ぶようにしましょう。

転勤なしで働けるドラッグストア以外の求人はあるのか?

薬を販売しているのはドラッグストアだけではありません。コンビニエンスストアやスーパーなどにも、薬の取扱がある店があります。そのため登録販売者は、これらの業態で働くことも可能です。

コンビニエンスストアやスーパーなども小売業であるため、転勤がある企業が多いです。ただ中には、登録販売者が転勤なしで働くことが可能な求人もあります。

例えば以下は、北海道・札幌のコンビニエンスストアの求人です。

ここには、正社員勤務でも転勤がないことが記されています。このような求人を選ぶと、登録販売者でも転勤なしで働くことが可能となります。

また以下は、全国に店舗を展開するスーパーの登録販売者求人です。

ここには、「転居や転勤なしなどの地域を限定した働き方が可能である」ことが記載されています。このような表記のある求人を選ぶと、引っ越しすることなく働き続けることができます。

配置薬営業で転勤なしで働く

このとき、店舗ではなく営業職についても転勤なしが可能です。基本的に営業職は、転勤があることがほとんどです。これは長期間同じエリアで働いていると、取引先と癒着してさまざまなトラブルが起こりやすくなるためです。

ただ登録販売者の資格を活かして営業職に就く場合は、転勤なしでの勤務を実現することができます。配置薬営業は転勤がないところが多いためです。

例えば以下は、北海道や福岡などに営業所がある配置薬営業会社の求人です。

ここには、転勤がないことが記されています。このような表記のある求人を選ぶと、同じ営業所で長期間働き続けることができます。

また中には転勤のある企業もありますが、この場合は転居を伴わないことが多いです。例えば以下は、大阪や京都などの関西に営業所を展開している配置薬営業会社の求人です。

このように、転居を伴う転勤がないことが記されています。転勤のある企業であっても、引っ越しの必要性はないことがほとんどなのです。そのため配置薬営業は、何らかの事情によって引っ越しができない人が働きやすい環境であるといえます。

オフィスワークを選択して転勤なしで働く方法

基本的にドラッグストア勤務には転勤がつきものであるものの、企業で働くことで転勤なしを考えても問題ありません。

登録販売者が働けるのは、ドラッグストアだけではありません。転勤がない職種であるテレフォンオペレーターや事務職などの企業勤務を選択することもできるのです。そのため転勤なしで働きたいのであれば、薬の販売以外の職種も視野に入れましょう。

テレフォンオペレーターを選んで転勤なしを実現する

現在では、薬は店舗だけではなくインターネットでも販売されています。インターネットで薬を販売するためには、資格者が応対する相談窓口を用意する必要があります。

多くの場合、薬をネット通販している会社はコールセンターを設置しています。登録販売者は、コールセンターのテレフォンオペレーターとして働くこともできるのです。

基本的にコールセンターは移転がありません。そのためテレフォンオペレーターとして働くと、転勤なしで勤務することが可能となります。

例えば以下は、東京のコールセンター求人です。

ここには登録販売者資格が必須であることと、転勤がないことが記されています。このような求人を選ぶと、登録販売者資格を活かしながら転勤なしで働くことが可能となります。

登録販売者の資格は調剤薬局の事務にも活かせる

一般的に調剤薬局の事務は、調剤事務の資格を取得している人しかできないと思われがちです。ただ調剤事務の資格は民間資格であり、取得が必須ではありません。

しかしながら調剤薬局は薬を扱うところであるため、調剤事務で働くためには専門知識が必要となります。このことから調剤事務の資格を取得している人は「仕事に必要な知識を持っている」と判断され、調剤薬局で採用されやすくなります。

ただ、薬に関する専門知識を持っているのは調剤事務資格取得者だけではありません。登録販売者も、薬や薬事法などについての知識を持っています。そのため登録販売者の資格は、調剤事務としても活かすことができます。

例えば以下は、東京にある調剤薬局の求人です。

ここには、登録販売者の資格を持っている人を募集していることが記載されています。登録販売者を取得していると、調剤薬局でも働きやすくなるのです。

基本的に調剤事務は、転勤がありません。そのため資格を活かして調剤事務として働くと、転勤なしを実現することができます。

転勤なしで働く際のデメリットとその対処法

一般的に「転勤族になりやすい」といわれている登録販売者であっても、業種や求人などを選ぶことで転勤なしを実現することができます。

ただ転勤なしを選ぶことには、デメリットも伴います。例えば置き薬営業は、基本的に転勤がありません。ただ営業職は、コミュニケーション能力やストレス耐性などが強くなければ務まりません。

そのため転勤なしを実現するためだけに営業職を選ぶと、ノルマの重圧に耐えきれずに辞めてしまうことになりかねません。

また他の業種でも、求人選びを誤るとさまざまなデメリットがあります。そのため転勤せずに働きたい場合は、デメリットとその対処法について知っておくことが大切です。

正しく求人を選ばないと、キャリアアップできなくなり低収入となる

ドラッグストアなどの薬の販売店の中にも、転勤なしで働ける企業はあります。ただ転勤しないという働き方を選ぶと、キャリアアップできなくなる企業が多いです。これは、企業側の目線で考えるとよくわかります。

転勤させられない人だと、他店で生じた穴を埋めるための人材として活用できません。また、他の店舗を経験させてスキルアップさせることもできません。

そのため企業にとっては、転勤できない人よりも転勤できる人の方が有用なのです。したがって転勤なしを選ぶと、転勤可の場合よりも年収などの待遇が悪くなりやすいです。

実際に以下は、全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、ナショナル社員・リージョナル社員(引っ越しを伴う転勤あり)の給与が月給20万円スタートであるのに対して、エリア社員(引っ越しを伴う転勤なし)の給与が18万7000円スタートであることが記載されています。このように、転勤なしの働き方を選ぶと給与が低くなる企業は多いです。

また転勤なしを選ぶと、昇進・昇給も難しくなることがあります。

ドラッグストアなどの小売業は、アルバイトやパートなどが働きやすい業態です。そのため非正規雇用のベテラン従業員がいる店舗がかなり多いです。

このようなベテラン従業員の多くは、正社員と同等程度の知識・能力を持っています。場合によっては、正社員よりも地域性を理解していることもあります。

企業にとって、「転勤不可の正社員」はアルバイト・パート従業員と大差がありません。むしろ、転勤不可の正社員ではなくアルバイト・パートを雇った方が人件費は安く済みます。

つまり企業側にしてみれば、転勤なしの正社員の待遇を良くする(=昇進させる)メリットはかなり少ないのです。そのため企業によっては、転勤なしの働き方を選ぶことによってキャリアアップが困難となります。

ただ中には、転勤なしとキャリアアップを両立することが可能な求人もあります。例えば以下は、東京や神奈川・横浜を中心に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

全国職とエリア限定職を分けているわけではなく、最初から転勤なしの募集だけとなっています。つまり、全国展開のチェーンではないため、基本的に転勤がないのです。

また以下は、この企業のキャリア形成についての記述です。

ここには、店長経験がない人でも3~5年で店長になっていることが記されています。このように「店舗網が地域限定された企業の求人」を選ぶと、転勤なしとキャリアアップを両立させることができます。

求人選びを誤ると登録販売者資格の価値が下がる

ただ、オフィスワークや調剤薬局を目指す場合は注意が必要です。こうした仕事の中には、登録販売者の「管理者要件における実務経験」に含まれないケースが多いです。

管理者要件の実務経験を満たせなくなると、「研修中」に格下げとなります。具体的には、薬の販売業に従事している期間が過去5年以内に2年以上ないと、「研修中の登録販売者」と格下げになるのです。

研修中の登録販売者となると薬を販売できなくなるため、販売業の会社へ転職するときあなたの価値がかなり低くなります。登録販売者が事務職に就くと、研修中の登録販売者になる可能性があるのです。

そのため資格の価値を落としたくない人は、「就業先での勤務が管理者要件の実務経験」と認められる企業を選ぶ必要があります。例えば以下は、東京の調剤薬局の求人です。

ここには、仕事内容として市販薬の販売があることが記載されています。市販薬が販売されているということは、事業者が保健所による店舗販売業の許可(ドラッグストアなどが薬を販売するために得ている許可)を得ていることを意味します。

この許可を得ている組織での勤務は、ドラッグストアで働いているときと同様に実務経験として認められます。つまり市販薬の取扱がある調剤薬局での勤務は、管理者要件における実務経験になるのです。

たとえ転勤なしを実現できたとしても、研修中の登録販売者となってしまっては、その後の転職・キャリアアップが難しくなります。そのため登録販売者資格を維持したいのであれば、市販薬の取扱がある組織で働きましょう。

テレフォンオペレーターでは、管理者要件を満たせるか確認する

ちなみにテレフォンオペレーターとして勤務する場合、薬の販売会社ではなくコールセンターの運用会社へ入社することになる場合が多いです。

例えば以下は、コールセンターの登録販売者求人です。

ここには、EPファーマラインという会社が募集している求人であることが記載されています。

EPファーマラインは医療関係のコールセンターを運営している会社であり、薬の販売会社ではありません。そのためこのような会社で働く場合、登録販売者資格を活かして働いても勤務期間が実務経験としてカウントされない可能性があります。

実際にこの会社へ問い合わせたところ、「実務経験にカウントされる職場」はあるものの、業務内容によっては実務経験としてカウントされない事業もあるということでした。

そのため登録販売者資格を活かして転勤なしのコールセンターで働く場合、就業先に「実務経験にカウントされる事業なのか」を事前に確認することが大切です。

転職サイトでキャリアアップや資格の維持を両立する

転勤族になりやすい登録販売者であっても、業種・企業によっては転勤なしで働くことができます。また適切な求人を選ぶことによって、転勤なしとキャリアアップ・資格の維持を両立させることもできます。

ただ、登録販売者の求人はさまざまな業態から出ています。膨大な数の求人から自力で適切なものを選ぶのは、かなり難しいです。そのため転勤なしで理想の働き方を実現したいのであれば、転職サイトの利用をおすすめします。

転職サイトを利用すると、担当エージェントがあなたに合った求人を探してくれます。また給与や「実務経験にカウントされるかどうか」なども、担当者に確認してもらうことができます。適切な求人を見つけられるとともに、求人探しの時間を大幅に短縮できるのです。

このとき、転職サイトのコンサルタントの力量には個人差があります。そのため転職サイトを利用する場合、同時に複数のサイトへ登録しましょう。そうすることで、より適切な求人を選ぶことができます。

まとめ

登録販売者の求人が多い小売業には、転勤がつきものです。反対に、エリア限定で働ける企業であっても、転勤なしという働き方を選ぶとキャリアアップが困難になるケースがあります。

また転勤が発生しないオフィスワーク求人を選ぶこともできるものの、管理者要件における実務経験にカウントされず、研修中へ格下げとなるリスクのある求人もあります。

ただ中には、転勤なしとキャリアアップ・資格の維持を両立できる求人もあります。

そのため登録販売者が転勤なしを実現したいのであれば、転職サイトを利用して適切な求人を選びましょう。そうすることで、転勤なしによるデメリットを排除して理想の働き方を実現することができます。


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