登録販売者は市販薬を販売できるようになる医療系資格の一つです。医療系資格は他のジャンルに比べて、需要が多く安定性が高い傾向にあります。そのため、登録販売者は就職や転職、キャリアアップを有利にしたい人に人気が高い資格です。

このときドラッグストアは、薬が主力商品の一つであるため登録販売者の主な就職先となっています。ただ、具体的な業務内容などを知らないまま「医療系の資格者(登録販売者)として働きたい」という理由だけでドラッグストアに就職すると、業務・職場に馴染めない可能性があります。

また、一言にドラッグストアといっても働き方や求人内容などは企業によって異なります。そのため「ドラッグストア業態であれば、どの会社でも一緒だろう」と考えて適当に求人を選ぶと、早期退職してしまいやすいです。

では、ドラッグストアで働く登録販売者は、どのような業務にあたるのでしょうか? またドラッグストアの登録販売者求人は、どのような点に注意して選べば良いのでしょうか?

ここでは、登録販売者がドラッグストア求人を選ぶコツについて解説していきます。

ドラッグストアでの登録販売者の1日

基本的に、ドラッグストア企業に入社した登録販売者は店鋪に配属されます。そして、入社後しばらくは店鋪のスタッフとして働くことになります。

ドラッグストアの多くは朝9~10時に開店し、夜21~22時に閉店します。そのためドラッグストアでは、スタッフの勤務時間を2~3部のシフト制で回しています。

例えば営業時間が9~22時の店鋪の場合、早番シフトは8~17時、中番シフトが11~20時、遅番シフトが13時半~22時半などとなります。それぞれのシフトの時間は、店鋪のピークタイムや朝の納品量などによって異なります。

また基本的に、ドラッグストアでは勤務時間を固定することはできません。例えば「早番のみ」「遅番のみ」という働き方は不可能です。ドラッグストアで働くと、早番や遅番などが入り混じったシフトで働くことになります。

ドラッグストアでの登録販売者の仕事内容

なお、入社直後の登録販売者の主な仕事は商品管理やレジ、顧客案内などです。

例えば早番で朝から勤務する場合、出勤後すぐに納品作業や開店準備などを行います。納品作業が終わったら、終業時間までレジや品出し、POP(値札)作りなどを行います。

一方で、入社直後は薬の接客をする機会が少ないケースがほとんどです。これは、薬品エリアに常駐している担当の登録販売者が接客に当たることが多いためです。そのため基本的には、入社直後の登録販売者は薬の相談が重なった際に接客応援に入ることになります。

このようにして、経験の浅い登録販売者は日常業務をこなしながら店舗運営に必要な基礎知識を蓄えていきます。以下は、入社直後の登録販売者が早番で働く際の1日例です。

8時:出勤~納品作業・開店準備(レジや清掃、照明など)

9時:開店~納品作業

10時:納品・新商品陳列・POP作り

11時:レジ

12時:休憩

13時:レジ

14時:品出し・前出し

15時:商品の期限チェック

16時:商品管理・レジヘルプ

17時:退勤

このような基本的な業務に慣れてきたら、担当部門を持って発注や商品展開などに携わっていきます。この段階になると、担当部門の在庫や売上などに責任が生じます。

そのため担当カテゴリーを受け持つと、売上などの数値成績が評価に反映されるようになります。新人の頃のように与えられた業務をこなすだけでは評価されず、発注数を調整したり取扱商品を変更したりなどの工夫が必要となるのです。

また担当部門を持つ頃には、新人アルバイト・パートの育成にも関わることになるでしょう。新人教育では、あなたが入社直後に学んだ商品管理やレジなどの基本業務を教えることになります。

このようにして知識・スキルを高めていくと、店鋪のシフト管理や人員配置、業務割り振りなどのマネジメント業務を任されるようになります。店舗によっては副店長の役職が与えられ、店長の代理業務をこなすこともあります。以下は、ドラッグストアで働くことに慣れてきた登録販売者の1日例です。

13時:出勤~店鋪状況や当日の業務、引き継ぎなどの確認

14時:商品展開・発注

15時:商品展開・発注

16時:休憩

17時:チラシやシフト作成などの事務作業

18時:商品管理・レジヘルプ

19時:商品管理・レジヘルプ

20時:アルバイトにレジ教育

21時:品出しや前出し、翌日のチラシ準備など

22時:閉店~閉店作業(レジや精算、施錠など)

このように、ドラッグストアでの基本業務を習得した登録販売者は店鋪を運営するためのさまざまな業務に当たることになります。

昇格・昇進したときの登録販売者の働き方

なお、店舗運営に関する一通りの業務をこなせるようになると、店舗全体の運営責任を負う立場(=店長)を任されます。ドラッグストアの場合、店長になるまでの期間は短めです。

実際に以下は、愛知や大阪、福岡などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。

ここには未経験のスタッフが最短6ヶ月で副店長、3年で店長に昇格した実績があることが記されています。ドラッグストアで働くと、短い期間で店長まで昇進することができるのです。これは、どのドラッグストアも新規出店が非常に多いからです。

そしてドラッグストアの店長になると、店鋪全体の数値責任を負うことになります。例えば毎月の売上予算を設定し、それを達成するための施策(チラシや店舗改装など)をこなします。

また、店長が負う数値責任は売上だけではありません。売上がどれだけ高くても、利益額が低かったり在庫金額・人件費などが高かったりすれば経営状況が悪いと評価されます。そのため店長になると、利益額を向上させたり在庫金額・人件費を抑えたりする工夫も必要となります。

さらに店鋪の数値を改善するためには、スタッフ一人ひとりの接客品質や商品管理スキルを向上させる必要もあります。店長になると、店鋪での作業よりも事務作業や人員教育などに時間を割くことが多くなります。

店長以外の昇進先とその仕事内容

なおドラッグストアでキャリアアップする場合、基本的には店長を目指すことになります。店長を経験したあとは、エリアの店鋪を統括するエリア店長になったり本部配属になったりすることが多いです。

これらのうち、エリア店長になると、担当エリアの数値責任が生じます。そのため各店鋪へ訪問して状況を確認し、店長を指示指導することが主な業務となります。

また店長職の人員配置をしたり評価を下したりなどの業務も生じます。エリア店長は、エリアの数値や人員マネジメント能力などが評価の対象となります。

一方で本部配属となると、店鋪の売上ではなく会社全体の利益を上げるために働くことになります。例えば、商品開発や人事、経営企画などの店舗運営とは直接的な関係のない業務に就くことが多いです。

他にも、ドラッグストアでは店長を経由せずにカテゴリーのリーダーやバイヤーなどを狙うこともできます。例えばドラッグストアで化粧品担当となっている人であれば、エリアの化粧品カテゴリー責任者や化粧品バイヤーなどを目指せます。

このような立場へ昇進した場合、担当カテゴリーの商談を行ったり各店鋪と連携して展開状況や売上などを確認したりします。そのためカテゴリー責任者やバイヤーなどになると、センスが問われる業務が増えます。

このようにドラッグストアでは、店長以外にもさまざまな昇進先があります。そのためドラッグストアでキャリアアップしたいのであれば、自分の希望・適正を見極め、狙う役職に必要な経験・スキルを身に着けましょう。

ドラッグストア求人の選び方のコツ

ただ、役職の種類は会社によって異なります。特に、規模の小さい企業は役職数が少ないことが多いです。そのため多彩な役職から自分に合ったキャリアアップ先を選びたいのであれば、規模の大きな会社を選ぶ必要があります。

例えば以下は、愛知や京都などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。

ここには店長だけではなく、内勤業務や社員教育のトレーナーなど多くのキャリアを選ぶことができると記されています。このような記載のある求人を選ぶと、あなたの適正に沿った昇進先を選ぶことができます。

また他にも、ドラッグストア求人の内容は会社によって異なる部分が多いです。そのため登録販売者は、自分の希望に合った求人を精査することが大切です。

年収が高く、昇進が早い求人で高い給料をもらう

他にも、例えばドラッグストアで働いて高収入を実現したいのであれば、月給の金額ではなく年収に着目する必要があります。月収が高くても、ボーナスが低ければ総合的な収入が低くなるためです。

実際に以下は、北海道から沖縄まで全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、最低でも月給28万円以上支給される上に賞与が年4回であると記されています。そのため、この会社で働くとかなりの高収入になるように思えます。

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ここには、月給28万円で年収500万円であると記されています。前述したドラッグストアと月給は一緒であるにもかかわらず、年収が100万円高くなるのです。そのため月給やボーナスの回数などで求人を選ぶと、かえって年収が低くなるケースがあります。

また入社直後の給料が高い会社の中には、昇給ペースが遅いケースもあります。このような会社に入ると、入社から数年後には「昇給が早い会社の年収」の方が高くなる可能性があります。そのためドラッグストアで働いて高収入を実現したいのであれば、すばやく昇格できる求人を選ぶことが大切です。

例えば以下は、千葉や愛知、京都などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、24歳で店長職、26歳でスーパーバイザー職に就けることが記されています。このような求人を選ぶと、早期に昇進・昇格して高収入を実現することができます。

なお、とにかく入社直後の収入を高くしたいのであれば夜勤勤務がおすすめです。深夜帯(22~5時)の給料は1.25倍になると法律で決められているためです。そのため早急に収入を高くしたい人は、深夜営業しているドラッグストアに応募して夜勤希望を伝えましょう。

働きやすい職場でプライベートを充実させる

ただ給料が高めの求人は、残業が多かったり休日が少なかったりするケースがあります。そのためプライベートを大事にしたい人は、業務量が少なく残業時間が短い求人を選ぶ必要があります。

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ここには残業がほとんどなく、週2回必ず休みが取れると記されています。このような求人を選ぶと、プライベートを犠牲にすることなく働きやすいです。

また休暇をもらいやすい職場へ就職すると、まとまった休みや希望休を取得してプライベート時間を充実させることができます。そのため自分の時間を大切にするためには、希望通りの休暇を取得しやすい求人を探すことも大切です。

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ここには、独自の休暇制度によって最大9日間の希望休を取得できることや5日以上の長期休暇を取得可能となっています。また有給休暇が入社1ヶ月後に付与されるとも記載されています。このような求人であれば、有給休暇を取得しやすい環境である可能性が高いです。

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この求人だと、月4日まで土日を含めた希望休を取得できるようになっています。このような求人を選ぶと、イベント事などに参加しやすくなります。

働きやすい求人で子持ちママになっても働き続ける

また、女性は「最適な働き方」がライフステージの変化によって変わります。

例えば、女性が妊娠したら産前産後には長期間休まなければなりません。さらに、小さな子供を育てながら仕事を続けるためには育児休暇や時短勤務などを活用する必要があります。

そのため女性は、ライフステージに対応できる制度・環境が整っていないと仕事を続けることが困難です。女性が同じ職場で長く働き続けるためには、働き方を柔軟に変えられる制度にも注目する必要があるのです。

例えば以下は、東京や神奈川などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、育休復帰率が100%であると記されています。育児休暇の復帰率が高いということは、子育てしながら働きやすい制度・環境が整っていることを意味します。

また育休から復帰した母親が多く勤務している職場では、子供の病気などによって欠勤することに理解を得やすいです。そのため、このような求人を選べば子育てと仕事を両立させることが可能となります。

土日休み・夕方まで勤務は可能か?

ただ、ドラッグストアは年中無休です。そのためドラッグストアでは、子持ちママであっても土日を定休とすることはできません。

またドラッグストアのほとんどは21~22時まで営業しており、シフト制を取り入れている会社がほとんどです。ドラッグストアで働くと、遅番(夜までのシフト)で働く日も生じます。

ただ働きやすい環境が整っているドラッグストアでは、やむを得ない事情がある期間は考慮・優遇してくれるケースが多いです。例えば家族の病気で看護しなければならない場合、病気が治るまでシフトを固定してくれることがあります。

また小さな子供を育てている場合、子供を保育園に預けなければ働けません。ただ休日保育(日曜・祝日の保育園利用)の枠は少なく、地域によっては利用できないことがあります。このような状況に陥った場合、休日保育の枠を利用できるようになるまで日曜・祝日を定休としてくれるケースが多いです。

そのため子育てや介護などが生じる可能性がある人は、休日制度が充実していたり育休復帰率が高かったりするドラッグストア求人を探しましょう。

転職サイトを利用して求人を探す

ただ、あなたの希望通りの求人を自力で探すことは難しいです。求人には会社の制度がすべて記載されているわけではありません。そのため求人を見るだけでは、希望の制度が設けられている会社を探すことはできません。

また、どれだけ求人を見ても会社の性質・内情を知ることはできません。そのため求人の条件だけ見て就職すると、あなたに合わない会社へ入社してしまう可能性があります。

そこで登録販売者資格を活かしてドラッグストアへ転職したいのであれば、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

転職サイトの担当者は、数多くの求人の中からあなたに合った案件を紹介してくれます。担当コンサルタントは会社の制度・内情にも詳しいため、自力で求人を探すよりも希望の条件を満たした求人を見つけやすくなります。

また、転職サイトのコンサルタントはあなたと会社との間を取り持ってくれます。あなたの希望を考慮して給料や働き方などの相談をプロが代行してくれるため、自分で交渉するよりも好条件を引き出しやすくなります。

ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より希望の条件で働きやすくなります。

まとめ

登録販売者は医療系資格の一つであるため、安定した職種で働きたい人や収入を高くしたい人などに人気があります。

このとき、ドラッグストアは登録販売者の主な就職の一つです。そのため、登録販売者資格を取得した人はドラッグストアで働こうとする人が多いです。

ただ、ドラッグストアでの仕事内容を知らずに就職すると「こんなはずではなかった」と早期に退職してしまう危険性があります。また一言にドラッグストアといっても、会社の性質や制度などはそれぞれ異なります。

そこでドラッグストアで働きたい登録販売者は、これまでの内容を参考にして転職サイトで求人を探しましょう。そうすることで、あなたに最適な会社で資格を活かして働くことができるようになります。


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