登録販売者は薬を販売する資格であるため、薬が主力商品であるドラッグストアで働くのが基本です。ただ、一言にドラッグストア企業といっても、働き方や待遇などはそれぞれ異なります。
このときスギ薬局は中部地方を中心に、東京や大阪など全国へ店舗を多く展開する大手ドラッグストア企業です。そのため、これらの地域に住んでいる登録販売者は転職先の候補にスギ薬局が挙がっている人が多いでしょう。
それでは、スギ薬局では登録販売者がどのような仕事に就くのでしょうか？ また登録販売者がスギ薬局で働くことには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか？
ここではスギ薬局で働く登録販売者の仕事内容と、スギ薬局で働くメリット・デメリットについて解説していきます。
もくじ
スギ薬局で働く登録販売者の仕事内容
スギ薬局は愛知県を中心とした中部地方に多くの店舗を展開するドラッグストア企業です。スギ薬局には郊外型店舗が多く、地元顧客とのコミュニケーションを重視する方針を取っているのが特徴的です。
またスギ薬局は創業者一族が経営に深く関わっており、創業者の理念を徹底して現場に落とし込んでいるのが特徴的です。例えば、経営理念に関する研修・動画配信を定期的に行ったり、創業者の著書から昇格試験の問題を出題したりしています。
さらに、スギ薬局は他の小売企業に比べてトップダウンの傾向が強く、現場の自由度は低めです。そのため自分の発想を自由に仕事へ反映させたいタイプの人は、スギ薬局での仕事を退屈に感じる可能性があります。
一方でスギ薬局は、オペレーションなどに関するマニュアルが完備されており、ルール・手順を厳守することを求めています。マニュアルは誰でも閲覧可能となっているので、スギ薬局だと本人の意識次第でスキルアップが可能です。
このようなことからスギ薬局は、決められたルール通りに働きたいタイプの登録販売者に向いているといえます。
調剤併設店舗が多く、登録販売者は薬以外の仕事に就くのが基本
またスギ薬局は、ドラッグストアに高品質な調剤薬局を併設することで他ドラッグストア企業との差別化を図っています。そのため、スギ薬局には調剤薬局を併設するドラッグストア店舗がかなり多いです。
参考までに、スギ薬局という名前が付けられている店舗はすべて調剤併設店舗です。OTC薬のみの取扱店舗はスギドラッグ（またはドラッグスギ）と呼ばれ、明確に区別されています。
当然ながら、調剤薬局を併設している店舗には薬剤師が常駐しています。スギ薬局で働く薬剤師は、調剤だけでなくOTC薬の接客も担当します。そのため、調剤併設のスギ薬局で働く登録販売者が薬の接客をする機会は少ないです。
また調剤薬局を併設していないスギドラッグ（ドラッグスギ）業態であっても、登録販売者が薬の担当者となれないケースがあります。スギ薬局を含め、ドラッグストアには薬以外にもさまざまな商品が取り扱われているためです。
さらにスギドラッグ（ドラッグスギ）の中には、店舗内に調剤室がなかったとしても、第一類医薬品販売のために薬剤師が在籍している店舗があります。スギドラッグ（ドラッグスギ）に在籍する薬剤師はOTC薬の販売に専念するため、登録販売者が薬の仕事をする機会はほとんどありません。
スギ薬局だと、どの業態の店舗であっても登録販売者は薬の専門家として活躍しにくいのです。そのため薬の仕事をしたくて登録販売者資格を取った人は、スギ薬局での仕事に不満を覚える可能性があります。
研修中の登録販売者でも働ける
ただ薬を販売できる資格者が多い環境であるため、研修中の登録販売者でも働けるメリットがあります。
薬担当の登録販売者や薬剤師などが常駐している店舗であれば、研修中の登録販売者が薬以外の商品を担当しながら、業務・実務経験を積むことができます。
また薬の接客などでわからないことがあれば、先輩の登録販売者・薬剤師に教えてもらうことも可能です。そのためスギ薬局だと、経験不足で研修中の登録販売者や、薬の知識に自信のない資格者でも安心して働くことができます。
・ビューティーアドバイザー（BA）も選択可能
また薬の知識に自信がなくても、女性の登録販売者であればスギ薬局のビューティーアドバイザー（BA）へ転職する選択肢もあります。BAは化粧品担当のスギ薬局社員であり、顧客へのカウンセリング販売や化粧品の売り場・売上管理などを担当します。
このときBAは化粧品担当であるものの、ドラッグストア社員であることから登録販売者資格の取得を求められます。そのため登録販売者資格の保有者は、BA求人でも歓迎されています。
実際に以下は、スギ薬局のビューティーアドバイザー求人です。
この求人は登録販売者の資格保有者を歓迎しています。スギ薬局であれば、登録販売者が化粧品の担当者となることができるのです。
そのため化粧品に興味のある登録販売者や薬の知識に自信のない資格者は、スギ薬局のBAへの転職を検討してみるといいです。
推奨販売で実績を出せば褒賞金がもらえる
なおドラッグストア企業の多くは、自社開発商品（PB商品）や企業提携商品などを取り扱っています。
PB商品は原価が低く、多くの量を売るほど利益額が高くなります。また企業との提携商品の売上個数が少ないと、次の提携がなくなったり企業から良い仕入れ条件をもらえなくなったりします。そのため、達成目標（ノルマ）のある推奨販売品を設定することが多いです。
例外なくスギ薬局でも、定期的に推奨販売品が設定され売上予算を課されます。正社員だと、推奨販売の実績が人事評価にも影響します。そのためスギ薬局で働く登録販売者には、販売力（営業力）が求められます。
ただ推奨販売品に設定される商品は、風邪薬や便秘薬、ビタミン剤などの販売しやすい商品がほとんどです。このような商品であれば、接客中やレジなどで一言声掛けをするだけで推売品を売ることが可能です。
またスギ薬局では、推奨販売品の実績にインセンティブが発生します。推売品をたくさん売れば、給料に手当が上乗せされるのです。
そのためスギ薬局では、他のドラッグストア企業に比べて推奨販売に対するモチベーションを上げやすいといえます。
スギ薬局で働く登録販売者の給料・年収制度
なお一般的な会社では、夏と冬の年2回ボーナス（賞与）が支給されます。スギ薬局も同様に、その年の実績と人事評価を反映させた金額がボーナスとして7月・12月に支給されます。
これに加えて、スギ薬局では店舗の業績が良いと4月に業績ボーナスが支給されることがあります。実際に以下は、スギ薬局の求人です。
この求人は年2回の賞与とは別に、業績連動型の賞与があります。またスギ薬局で働いている社員の口コミ・評判では、実際に業績ボーナスを受け取っている人が多いです。スギ薬局で働くと、業績次第でボーナスを1回多くもらえるのです。
このとき、小売業界は実力で給料を査定する企業がほとんどです。ただスギ薬局は、勤続年数が増えるにつれて給料が上がる年次昇給制度を取り入れています。年次昇給による増額は低めであるものの、長く働くほど給料が高くなります。
社内資格が上がると大きく昇給する
またスギ薬局では、小売業界で広く取り入れられている「社内資格制度」という給料査定方法も採用されています。
社内資格制度は社員を実績・スキルに応じてランク（社内資格）で評価し、給料を決定する方法です。社内ランクを上げると、それに伴い基礎給料が上がります。なお社内資格制度による昇給額は、年次昇給による昇給額よりも高いです。
社内資格は年一度行われる昇級試験に合格することで上がります。昇給試験では会社の経営やマネジメント、経営理念に関する筆記試験と上司による面接が実施されます。これら試験の結果と、個人や配属店舗の実績を加味して社内資格が決定されます。
また評価の決定後には、上司からのフィードバックが実施されます。そのため自身の課題や目標などを明確に自覚し、昇格へつなげやすい環境となっています。
スギ薬局で支給される各種手当の金額は？
このとき、スギ薬局では社内資格のランクに関わらず、短期間で店長職への昇格が可能です。
まず、スギ薬局へ転職すると店舗へ配属されます。その後、一般スタッフとして1～2年経験を積むと、店長を任されるケースが多いです。
また中途入社した社員の中には、半年で店長になる人もいます。そのためスギ薬局では、入社後短期間で責任ある仕事に就くことが可能です。
なお、店長職に就くと店長手当が月1万円支給されます。また登録販売者の資格保有者には、資格者手当が毎月1万円（研修中の登録販売者は月5,000円）ほど給料に上乗せされます。また子供がいる正社員には、子供1人につき月1万円（第4子以降は月2万円）が支給されます。
福利厚生におけるスギ薬局のメリットと社員割引制度
またスギ薬局は、給料以外の金銭的なメリットが大きいのが特長です。例えばスギ薬局で社員が買い物する際に社員証を見せると、社員割引を受けることができます。実際に以下は、スギ薬局の公式ホームページに記載されている福利厚生欄です。
スギ薬局では社員割引制度が設置されており、店内商品を10％割引で購入できると記載されています。また一部の化粧品は3割引となり、年に数回割引率の高い特別販売も行われます。
スギ薬局では食料品などの生活必需品が多く販売されているため、社員割引を利用すると日常生活がかなりお得になります。
転勤時に社宅制度を利用できる
またスギ薬局では、転居を伴う転勤が発生した際に社宅制度を利用できます。実際に以下は、スギ薬局の公式ホームページに記載されている福利厚生に関する記述です。
このように、家賃の自己負担額が2割ほどで住居を利用できます。また、転勤による引越し時には家財道具の準備金（赴任料）の支給も受けられます。
ちなみに社宅制度のある企業の中には、独身者が転勤する場合のみとしているケースがあります。
これに対してスギ薬局だと、家族帯同で転勤する際にも社宅制度を利用できるのが特長的です。スギ薬局であれば、転勤による引越しが発生した際にお得に暮らすことができるようになります。
時短制度が充実しており、育休を取得しやすい
またスギ薬局は、小売業界の中でも子育てしながら働きやすい制度が充実しているのが特徴的です。
例えば法律で定められている育児休暇は、最長でも子供が満2歳になるまでしか利用できません。そのため保育園の1歳児クラスは入園希望者が多く、地域によっては待機児童となりやすいです。
これに対して以下は、スギ薬局の公式ホームページに記載されている子育て支援制度です。
ここには、子供が満2歳になった次の4月末まで育児休暇を利用できるとなっています。このタイミングであれば2歳児クラスへの入園が可能となります。そのため、スギ薬局の育児休暇だと国で定められている育休を利用するよりも復職しやすいです。
またスギ薬局では、子供が小学校を卒業するまで最大3時間の時短勤務が可能です。これは国で定められている時短勤務期間（子供が3歳になるまで）に比べてかなり長いです。さらに、年7日まで子供の看護休暇（子供の急な発熱などで休める制度）も取得できます。
これに加えて、スギ薬局だと子供が小学校3年生になるまでは土日祝日を固定休にすることができます。小売企業勤めだと子供が小さくても土日祝日が出勤となるケースが多い中、この制度があるスギ薬局は子育てと仕事を両立させやすい環境が整っているといえます。
働きやすさがスギ薬局の魅力
またスギ薬局では、子育て支援制度を実際に利用しやすい環境となっています。例えば以下は、スギ薬局の登録販売者求人です。
この求人は育児休暇の取得率がほぼ100％となっています。このことから、スギ薬局は育休利用後に復職しやすい環境・雰囲気が整っていることがわかります。実際にスギ薬局で働く社員の口コミ・評判でも、育児休暇を利用している人は多いです。
またスギ薬局では、子育て世帯だけでなく一般の社員も働きやすい環境が整っているのが特長的です。
例えば小売企業勤めだと、どの企業であっても土日祝日に休みを取ることができなくなります。これはスギ薬局も同様です。
ただスギ薬局では、希望休が通りやすい傾向にあります。そのため土日祝日であっても、特別な用事があれば希望休を取得できるケースがほとんどです。
残業が少なく、定時で帰れる日が多い
また一般的な小売企業だと、予定にない残業が発生しやすいです。中には、残業が発生するのを前提とした給料体系（みなし残業制度）を取り入れている小売企業もあります。
これに対してスギ薬局では、経費削減の観点から残業を月10時間未満に抑えるように本社から指示されます。当然ながらサービス残業も禁止です。そのためスギ薬局では、小売店勤務では難しい「定時で帰宅できる日」が多発します。
実際にスギ薬局で働いている人のほとんどは、月あたりの残業時間が10時間を下回っています。スギ薬局で働けば、プライベートの時間を確保しやすくなるのです。
転勤の有無を選択できる
他にも、小売企業の多くは店舗を広範囲に展開しています。そのため小売企業で働くと、引越しを伴う転勤が発生するケースがほとんどです。
このような中、スギ薬局であれば転勤の有無を選ぶことができます。実際に以下は、スギ薬局の登録販売者求人です。
この求人は「ナショナル社員」「リージョナル社員」「エリア社員」の3つの社員区分から働き方を選択可能です。これらのうち、ナショナル社員は全国に転勤の可能性がある一方で、社宅制度を利用できる社員区分です。
これに対してエリア社員は、基礎給料がナショナル社員に比べて1割減少するものの、自宅から通える範囲の店舗にしか異動が発生しません。エリア社員だと、正社員待遇を受けながら引越しを伴う転勤なしで働くことができるのです。
またリージョナル社員であれば、ナショナル社員と同じ給料で転勤地域を関東や中部、関西などに固定することができます。勤務地域を固定することで実家・自宅への帰省が容易になるため、高年収とプライベートを両立させたい人に向いている働き方といえます。
スギ薬局で働くデメリットの一つがシフトと有給消化
ただスギ薬局を含め、多くの小売店は朝から夜まで営業しています。そのため小売企業で働く正社員は、シフト状況に合わせて早番と遅番が入り混じったシフトとなるのが基本です。
スギ薬局でも、正社員は早番（9～18時・10～19時）と遅番（13～22時）が入り混じったシフトで働くことになります。中には、深夜まで営業している店舗もあります。このような店舗に配属されると、夜遅くに帰宅することになります。
また店舗状況によっては、遅番の次の日に早番となるケースも発生します。そのためスギ薬局を含め、小売店勤務では生活リズムを一定に保つことは難しい現実を覚悟する必要があります。
・有休を自由に取得することは難しい
また前述のように、基本的にスギ薬局では希望休を取得可能です。ただ一方で、スギ薬局では有休を取得しにくいという人がかなり多いです。希望休は取得できても、有休は使いにくい会社となっています。
有休は公休（月8～10日）とは別に取得しなければなりません。そのため従業員が有休を取得すると、その分だけ休みの日が多くなります。
このとき、スギ薬局では店舗の増加数に対して正社員の増加数が少なめです。そのためスギ薬局の中には、店舗責任者を担える正社員の数が不足している店舗があります。
正社員の人数が少ない店舗であっても、基本的に希望休は取得可能です。スギ薬局は地域集中の店舗展開（ドミナント戦略）を実施しており、近隣店舗からの応援システムが確立しているためです。そのためスギ薬局では、近隣店舗とシフトを協力し合うことによって正社員でも希望休を取得することができる環境となっています。
ただ近隣店舗とシフト協力しても、正社員が有休を取得する（休日を増やす）だけの人員確保は難しいのが実態です。これが、スギ薬局では希望休を問題なく取れるものの、有休を消化することは難しいことを覚悟するべき理由です。
システムの導入が後進的
またスギ薬局は、他の小売企業に比べて古い体制が変わりにくい傾向にあります。
例えば一般的な小売企業では、店舗の理論在庫を確認したり商品の販売個数を計上したりして、自動的に発注するシステムなどを早い段階から導入しています。
これに対してスギ薬局では、このような一歩進んだシステムの導入が遅く、他企業に比べて手作業による仕事が多いです。そのためスギ薬局は、他小売企業に比べて手間のかかる日常業務が多くなりやすいです。
転職サイトを利用してスギ薬局の求人を探す
スギ薬局は福利厚生が整っており、働きやすさが特長のドラッグストア企業です。またスギ薬局であれば、登録販売者がビューティーアドバイザーになることもできます。そのため働きやすいドラッグストアで働きたい人や、ドラッグストアの美容部門で働きたい登録販売者はスギ薬局への転職がおすすめです。
ただ、働きながら自力で希望の求人先へ転職するのは難しいです。求人を探すタイミングで希望条件を満たした求人案件が出ているとは限らないためです。
例えば、スギ薬局のビューティーアドバイザー枠は数が少ないです。したがってBA求人に挑戦するためには、こまめに求人をチェックしなければなりません。
このような中、転職サイトを利用すれば担当者が条件を満たした求人が出たタイミングで連絡してくれます。転職サイトを利用すると、スギ薬局の好条件求人を見逃さずに応募しやすくなります。
そのためスギ薬局への転職を検討している登録販売者は、3社以上の転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで働きやすい環境で満足のいく仕事に就くことができます。
まとめ
スギ薬局は薬剤師が在籍している店舗が多く、登録販売者が薬の専門家として働くのは難しいです。一方で、薬の知識に自信のない登録販売者であっても問題なく働くことができるメリットがあります。
またスギ薬局は福利厚生が整っており、働きやすいのが特長です。転勤の有無を選べたり残業が少なかったりするため、プライベートと仕事を両立させやすい環境が整っています。
ただ、希望する条件を満たしたスギ薬局求人へ応募するためには、こまめに求人をチェックする必要があります。そのため自力で求人探しをすると、条件の良いスギ薬局求人を見つけにくいです。
そこでスギ薬局への転職を考えている登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることでスギ薬局の求人を見逃さずに挑戦し、働きやすい環境で仕事とプライベートを両立させることができます。
登録販売者が転職を行い、求人を探すにしても自分一人で行うのは現実的ではありません。そこで、ほとんどの人が転職エージェントを活用します。
転職サイトを利用すれば、「年収の交渉」「希望の勤務地」「労働時間の調節」を含めてすべて代行してくれるようになります。
しかし、転職サイトによって「地方在住者でも事前面談に対応している」「40代以上でも利用可能」など特徴に違いがあります。人気の転職エージェントの中でも、これらの特徴を理解したうえで、どの転職サイトを利用すればいいのか検討しなければいけません。
そこで当サイトでは、転職サイトごとの特徴について解説しています。転職では2～3社以上に登録して活動するのが基本になるものの、どの転職エージェントを利用すればいいのか理解したうえで以下のページから比較検討し、転職サイトへ登録するようにしましょう。
