一般的に、ドラッグストアなどの小売業はプライベートと仕事が両立しにくい業界だといわれています。休みを取りにくいですし、就業時間が不規則になるためです。そのためプライベートを優先したい人は、ドラッグストアで働けないと思われがちです。

ただ、ドラッグストアに関わる仕事で働けるのはドラッグストア社員だけではありません。メーカーのラウンダー職であれば、ドラッグストアと関わる仕事とプライベートを両立させることができます。

しかし一方で、ドラッグストアを対象にしたラウンダー職に就くことにはデメリットもあります。デメリット・リスクを理解しないまま転職してしまうと、後悔してしまう危険性があります。

そこでここでは、ドラッグストア店舗を巡回するラウンダーの仕事内容やメリット・デメリットについて解説していきます。

ドラッグストアで働くラウンダーの仕事内容

ラウンダーは対象店舗を訪問し、自社商品の展開や売り場メンテナンスなどを行います。メーカーに勤務し、ドラッグストアへ自社製品に関わる提案をするのが仕事です。

例えば目薬を販売している会社のラウンダーは担当地域のドラッグストアを巡り、自社製の目薬の品出しや前出し、清掃を行います。訪店後は当日の活動内容を日報として雇用主企業に報告します。

またラウンダーは、自社製品の展開スペースの拡大や店舗什器の設置などを店舗の売り場担当者と交渉することもあります。例えば以下は、北海道にあるドラッグストアのネイル用品売り場です。

この写真では棚の最上段にメーカーの紙什器が設置されており、多くのメーカーPOPが使用されています。メーカーのラウンダーは、写真のような什器の設置や展開箇所の拡充などを店舗担当者と交渉することになります。

なおラウンダー職は、決められた時間内に一定の業務(売り場メンテナンス・交渉)を行うという性質から、パートや派遣、業務委託などの求人形態が多いです。

ただ派遣社員の場合、正社員登用制度があるケースもあります。このような求人を選べば、派遣社員からスタートして正社員ラウンダーへキャリアアップすることも可能です。

正社員ラウンダーには営業スキルが必要

また中には、数は少ないですが正社員求人もあります。例えば以下は、東京にある日用品メーカーのラウンダー求人です。

この求人は正社員としてドラッグストアなどを訪問するラウンダーを募集しています。地域・タイミング次第では、正社員のラウンダー求人に応募することも可能なのです。

ただ、正社員ラウンダーはパート・派遣に比べて数値責任が重いことを覚悟する必要があります。展開箇所の拡大に加えて季節品や新商品など商品発注数の交渉を担当することもありますし、数値目標が課せられるのが基本です。

交渉の結果が会社の業績に直接関わるため、正社員ラウンダーは営業職の扱いとなります。実際に、正社員ラウンダーは数値目標が設定されることが多く、ルートセールスと呼ばれることもあります。

小売業の経験者はラウンダーに転職しやすい

このとき、ラウンダー求人の中にはラウンダーやルートセールス経験者のみを募集しているケースがあります。特に、正社員や契約社員のラウンダー求人はこの傾向が強いです。

ただ、小売業の経験はドラッグストアでのラウンダー職に大いに役立ちます。ラウンダー職を雇うメーカーにとって、小売業界は取引先であるためです。

例えば登録販売者としてドラッグストア社員の経験があるラウンダーは、メーカー視点だけでなく、店舗の売り場構成や客層などを踏まえた総合的な提案が可能となります。ドラッグストア側の利益につながる提案ができれば、メーカー側に都合の良い交渉も有利に進めやすくなります。

また多くの場合、店舗担当者にとってラウンダーはうっとうしい存在です。ラウンダーが来店すれば、店舗担当者は自分の仕事を休止して対応しなければならないですし、「ラウンダーに自分が作った売り場を勝手に触られたくない」と考える担当者もいます。

一方でドラッグストアでの勤務経験があれば、このような「ラウンダーに踏み込まれたくない領域」を察知しやすいでしょう。

もちろん、ドラッグストア勤務者でなかったとしても小売業界を経験している人であれば、ラウンダー業務を短期間で習得できます。「取引先(ドラッグストア)がラウンダーに求める仕事」の理解も早いでしょう。

いずれにしてもサービス業での経験は、ラウンダー職で活かせます。実際に、以下は東京のラウンダー求人です。

この求人はサービス業の経験のある人を優遇採用しています。ラウンダーなどの営業職が未経験でも、接客販売の経験があれば問題なくラウンダー職に就けるのです。

化粧品ラウンダーであれば関連業種を未経験でも転職可能

また、さまざまな業種の中でも特に化粧品ラウンダーは、化粧品に興味のある女性であれば営業職・サービス業未経験であっても問題なく採用されます。化粧品の営業には専門的な知識が必要ないためです。

例えば以下は、大阪にある化粧品メーカーのラウンダー求人です。

この求人は未経験者OKとの記載があります。化粧品ラウンダーであれば、営業職やサービス業を経験していなくても問題なく挑戦することができます。

実際に、私が勤務していたドラッグストアに訪問していた化粧品メーカーのラウンダーには、営業職・サービス業を経験したことがない人が多数いました。化粧品ラウンダーであれば関係職種の経験がなくても挑戦できるのです。

メーカーのラウンダー職に就くメリット

また日用品や化粧品、薬などのドラッグストアで取り扱われている商品に興味がある場合は、メーカーのラウンダーになることで強いやりがいを得られるでしょう。例えば化粧品が好きな人は、ドラッグストアの店舗スタッフよりもラウンダーの方がやりがいを感じやすいです。

ドラッグストア店舗で働くスタッフは、担当以外の商品知識も必要です。ドラッグストア店舗では薬や介護用品、日用品など、さまざまな商品についての接客が発生するためです。特に少人数で運営している店舗に配属されると、担当以外の売り場・商品についても詳細まで把握しなければなりません。

これに対してラウンダー職は、担当しているメーカーの商品についての業務しか発生しません。化粧品メーカーであれば化粧品、日用品メーカーであれば日用品の知識を深めれば問題ありません。ラウンダー職は限られた商品ジャンルのプロフェッショナルになることができるのです。

そのため好きな商品ジャンルのメーカーでラウンダーに就けば、やりがいを感じながら楽しく働くことができます。

土日休み・夕方退勤を実現できる

またドラッグストア企業の社員になると、土日祝日に休みを取ったり夕方退勤を固定化したりなどの一般的な働き方ができません。土日祝日は売り上げが高いため出勤するのが基本ですし、シフトの空きに応じて早番・遅番の入り交じった勤務体制で働くことになります。

これに対してラウンダー職であれば、土日休み・夕方退勤が可能です。実際に以下は、東京にあるドラッグストア店舗を訪問する製薬会社系のラウンダー求人です。

この求人は基本の勤務時間が10~17時となっており、土日祝日が休みです。またドラッグストア社員では不可能な年末年始休暇も取得できます。ラウンダー職に就けば、夕方退勤・土日休みを実現してプライベートを優先できるのです。

直行直帰で自由な時間を作ることができる

また、自由な時間配分で仕事ができるのもラウンダー職の魅力の一つです。

ドラッグストアの正社員になると、店舗の混み具合によって休憩が取れなかったり残業が発生したりすることが日常茶飯事となります。休憩時間はアルバイト・パートが優先されるため、正社員は自分の休憩時間がほとんど取れないケースもあります。

これに対してラウンダー職であれば、来店する店舗の順番・時間や道のりはラウンダー本人に任されているため、休憩時間・報告業務時間を自分の都合で決められます。

またラウンダーの来店店舗は1日3~4店舗、1店舗あたり1時間が基本です。そのため移動や報告業務などに慣れれば、時間に追われて業務に当たったり残業したりすることは少ないです。休憩時間の過ごし方も自由なので、気になっていた店でランチしたりカフェで報告業務をこなしたりすることもできます。

さらに、ラウンダー求人の多くは直行直帰を認めています実際に以下は、東京や神奈川、千葉などのドラッグストア・百貨店を担当するラウンダー求人です。

このような求人で働くと、出退勤にかかる時間を節約したり、プライベートの都合に合わせて業務を組んだりすることが可能です。

例えば勤務終了後に寄りたい店があるのであれば、その店に近い店舗への来店を最後にすることができます。ラウンダー職に就けば、自由な働き方が可能となるのです。

営業職の重圧がラウンダーになるデメリット

ただ一方で、ラウンダー職に就くことにはデメリット・リスクもあります。

例えば、ラウンダー職は営業職であるため個人の働きが会社の業績に与える影響が大きいです。そのためラウンダー職には、数値目標・ノルマが課せられるケースが多いです。

このときラウンダー職が実績をあげるためには、取引先(ドラッグストア)に協力してもらわなければなりません。

営業職が扱っている商品の品質が高くても、店舗で販売・展開拡大してもらわなければ売れ行きが伸びません。ラウンダー職には自社製品を売り込む交渉力(営業力)が必要なのです。

そのためコミュニケーション・営業が苦手な人がラウンダー職に就くと、強いストレスを感じやすくなります。

登録販売者は資格が格下げとなる

また登録販売者資格を持っている人がラウンダー職に就く場合、覚悟すべき点があります。それは登録販売者資格が研修中へ格下げとなることです。

正規の登録販売者資格を維持するためには、過去5年以内に2年以上の業務・実務経験が必要となります。業務・実務経験として認められるのは、一般客に薬を販売する仕事のみです。

そのためドラッグストアなどの法人が顧客となるラウンダー職は、扱っている商品が薬であっても、登録販売者としての業務・実務経験とは認められません。ラウンダー職に就くと、正規の登録販売者資格を維持できないのです。

研修中の登録販売者は、正規の資格者に比べて需要が低く待遇も悪いです。ドラッグストア以外の薬の販売店で働けないですし、ドラッグストアで働いても手当て額が低くなります。つまり登録販売者がラウンダー職へ転職すると、再び登録販売者として働くのが難しくなるのです。

なおラウンダー職を経験すれば、法人向け営業職の経験者として転職することが可能です。営業職としてキャリアを重ねるつもりであれば、正規の登録販売者資格にこだわる必要はありません。

転職サイトを利用して派遣・正社員の求人を探す

プライベートの時間を確保しやすくやりがいのあるラウンダー職は、多くの人にとって魅力的に映ります。

ただ、ラウンダーの正社員求人は少ないです。特にドラッグストアのラウンダー求人に的を絞ると、タイミングによっては求人が出ていないケースもあります。

そこでラウンダー職に就きたい人は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

転職サイトを利用すれば、希望業種のラウンダー求人が出たときに紹介を受けることができます。そのため、自力で求人を探すよりもラウンダー求人を見つけやすく、見逃しにくくなります。

またラウンダー求人の中には、紹介予定派遣の案件もあります。

紹介予定派遣求人では、勤務開始直後は派遣社員の扱いですが、一定期間を超えると正社員雇用となります。派遣求人まで候補を広げて求人を探すと、ドラッグストアのラウンダー職に就きやすくなるのです。

そのため転職サイトは、正社員・派遣を含めて複数のサイトに登録して求人を探すといいです。具体的には、3社以上登録しましょう。そうすることで、ラウンダー求人を見逃すことなく応募できます。

まとめ

ドラッグストア店舗でスタッフとして勤務すると、不規則なシフト・土日祝日出勤で働くことになります。そのためプライベートを優先したい人はドラッグストアで働きたくてもあきらめてしまうケースが多いです。

これに対してラウンダー職であれば、ドラッグストア店舗を訪問対象にして働きながら、夕方退勤や土日休みなどが可能となります。そのため「プライベートを優先したいけど、ドラッグストアをメインに働きたい」という人はメーカーのラウンダーを選ぶといいです。

ただ、ドラッグストアのラウンダー求人は数が少ないです。特にドラッグストアの正社員ラウンダーに的を絞ると、地域・タイミング次第では求人を見つけられないケースが多いです。

そこでラウンダーへ転職したい人は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで、ドラッグストアを訪問して働きながらプライベートの時間を十分に確保できるようになります。


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