登録販売者は市販薬を販売できる資格であるため、ドラッグストアなどの小売店で重宝されています。実際、小売業界からはたくさんの登録販売者求人が出ています。

ただ小売店のほとんどは営業時間が長く、土日祝日問わず開店しています。そのため小売店に就職すると、土日が出勤となったり夜遅くまで帰れなくなったりしやすいです。その結果、家族や友人などとの時間を確保しにくくなります。

このような人におすすめなのが、調剤薬局の事務職です。登録販売者が調剤薬局で働くと、小売店に勤務するよりもプライベートの時間を確保しやすくなるのです。

では、登録販売者は調剤薬局でどのような仕事をするのでしょうか? また登録販売者が調剤事務として働くことには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

ここでは登録販売者が調剤事務で働く際の仕事内容や、求人選びのコツなどについて解説していきます。

調剤薬局で働く登録販売者の仕事内容

調剤薬局の業務内容は、大きく分けて「薬の調剤」と「受付・会計」の2種類があります。これらのうち調剤は薬剤師しかできない仕事です。そのため登録販売者が調剤薬局で働く場合、基本的には受付・会計を担う事務員となります。

ただ調剤薬局の中には、市販薬を取り扱っている施設があります。実際に以下は、北海道にある調剤薬局の写真です。

ここには、フェイタスなどの「ドラッグストアで販売されている貼り薬」が陳列されています。この薬局は整形外科の隣に位置しており、貼り薬以外にも冷却スプレーやサポーターなどの取り扱いがありました。

このとき、調剤薬局には必ず薬剤師がいます。そのため調剤薬局は登録販売者が在籍していなくても市販薬を取り扱うことが可能です。

ただ、薬局に在籍する薬剤師の主な仕事は調剤です。そのため市販薬を取り扱う調剤薬局で登録販売者が働く場合、市販薬の接客は登録販売者が担うことが多いです。

事務以外に調剤補助も担うことがある

調剤事務の仕事は、主に患者対応や会計、レセプトの作成などです。市販薬を取り扱っている薬局では、薬の接客がある場合もあります。実際に以下は、埼玉にある調剤薬局の求人です。

ここには、業務内容に調剤助手との記載があります。つまり調剤事務は、薬剤師が行っている調剤の補助業務を担うことがあるのです。

このとき薬局で扱われている薬のほとんどは、登録販売者には馴染みのないものです。そのため薬について勉強した登録販売者であっても、勤務開始後に勉強して薬品名などを覚える必要があります。

ただ登録販売者は薬などに関する基礎知識があるため、通常よりも早いスピードで調剤補助業務に慣れることができます。登録販売者の知識は、調剤薬局でも活かすことができるのです。

調剤薬局で働くために登録販売者以外の資格は必要なのか?

ただ調剤薬局での事務の仕事は、登録販売者資格を取得する際に得た知識だけでは対応できません。調剤事務には、健康保険や医療保険、調剤報酬明細書(レセプト)などの知識が必要であるためです。

このようなことから、調剤事務として働くためには調剤事務管理士などの「専門の資格」が必要だと思われています。

ただ調剤事務に関する資格はすべて民間資格であり、登録販売者のような国家資格(公的資格)ではありません。つまり、調剤事務は資格が必須な業務ではないのです。したがって登録販売者が調剤薬局で働く際に、別途資格を取得する必要はありません。

実際に以下は、東京にある調剤薬局の求人です。

ここには、調剤薬局での勤務経験がなくても働けることが記されています。また応募資格の欄には登録販売者のみ記載されており、調剤事務とは書かれていません。つまり、調剤事務未経験の登録販売者が応募できるのです。

ただ前述のように、登録販売者の知識だけでは調剤事務として一人前になることはできません。そのため登録販売者を募集している調剤薬局でも、医療事務や調剤事務などの経験がある人を優遇しているケースが多いです。

実際に以下は、千葉にある調剤薬局の求人です。

ここには、「医療事務や調剤事務などの経験がある人」を優遇していることが記されています。

そのため「調剤事務経験のある登録販売者(=調剤事務の知識がある)」と「調剤事務未経験の登録販売者」が同時期にこの求人へ応募した場合、「未経験の登録販売者」は落選する可能性が高いです。

したがって薬局は調剤事務資格を持たない登録販売者でも働けるものの、調剤事務資格を取得している方が採用面で有利に働くといえます。

なお調剤事務の民間資格はいくつか種類があり、学校や通信教育などを利用しなくても取得できるものもあります。登録販売者であれば薬や薬機法などに関する基礎知識があるため、独学でも問題なく取得できることでしょう。

また面接のタイミングに資格取得が間に合わなくても、資格取得の意思があることをアピールすれば、ポテンシャルや熱意などを買われて採用されやすくなります。したがって調剤薬局への転職を考えているのであれば、面接で「調剤事務資格の勉強を考えている」ことを述べても問題ありません。

登録販売者が事務職で働くメリット・デメリット

同じ登録販売者資格を活かす仕事であっても、小売店と薬局事務では業務内容や働き方などが大きく異なります。医療事務の仕事に就くと、小売店では不可能な働き方が可能となるのです。

例えばドラッグストアなどの小売店では、品出しなどの力仕事があります。これに対して、薬局事務は体力を使う仕事がほとんどありません。そのため、体力に自信のない人でも問題なくこなすことができます。

他にも、調剤薬局での勤務には以下のようなメリットがあります。

実務経験なしでも働くことができる

登録販売者が自分の責任で薬を扱えるようになるためには、管理者要件を満たしている必要があります。具体的にいうと、過去5年以内に2年以上の実務・業務経験がないと研修中へ格下げとなります。

研修中の登録販売者は薬の接客はできるものの、一人で薬を取り扱えません。そのため、研修中へ格下げとなると小売業界で活躍しにくくなります。

特に少人数の資格者でシフトを回している「ドラッグストア以外の業態」は、研修中の登録販売者を採用していないことがほとんどです。

実際に以下は、愛知・名古屋にあるローソンの登録販売者求人です。

ここには、管理者要件を満たしている登録販売者のみが応募できることが記されています。つまり、研修中の登録販売者は採用していないのです。

これに対して、調剤薬局で働く登録販売者は管理者要件を満たしている必要はありません。調剤薬局には必ず薬剤師が在籍しており、薬剤師が店舗管理者となることができるためです。そのため調剤薬局では、研修中の登録販売者であっても問題なく働くことができるのです。

日祝休み・夕方までの勤務を実現できる

ドラッグストアなどの小売店の多くは、21~22時まで営業しています。中には、深夜まで営業していたり24時間開店していたりする店舗もあります。そのため登録販売者資格を活かして小売店で働く場合、遅い時間に帰宅することが多くなります。

また、ほとんどの小売店は平日よりも土日祝日の方が忙しいです。そのため基本的に、小売店に勤務すると土日祝日が出勤日となります。

これに対して調剤薬局の多くは夕方で閉局します。そのため、調剤薬局で働くと夕方に勤務を終えることができます。

実際に以下は、東京にある調剤薬局の求人です。

ここには、勤務時間が9~18時であることが記されています。調剤薬局で働くと、登録販売者であっても夕方までの勤務を実現することが可能なのです。

さらに、調剤薬局は日・祝が定休日であるところがほとんどです。そのため調剤事務として働くと、日曜日と祝日を休みにすることができます。

実際に以下は、大阪にある調剤薬局の求人です。

ここには、日・祝が定休であることが記されています。調剤薬局で働くと、小売店では不可能な「カレンダー通りの休日スケジュール」が可能となるのです。

退勤時間が早かったり日曜日が休みだったりすると、家族や友人などの時間を確保しやすくなります。したがって調剤薬局での勤務には、小売店勤務よりもプライベートを充実させやすいメリットがあります。

転勤なしで働くことができる

ドラッグストアなどの小売業では、転勤があるのが基本です。広範囲に店舗を展開している場合、引っ越しの必要性が生じるケースもあります。

これに対して、調剤薬局は基本的に転勤がありません。例えば以下は、京都にある調剤薬局の登録販売者求人です。

ここには転勤が発生しないことが記されています。また以下は、福岡にある調剤薬局の登録販売者求人です。

この求人にも転勤なしで働けることが記載されています。調剤薬局を選ぶと、小売業では困難な転勤なしを実現することができるのです。そのため調剤薬局は、家庭の事情などで転勤できない人に向いているといえます。

登録販売者が調剤薬局で働くデメリット

ただ一方で、調剤薬局での勤務は小売店勤務よりも年収が低めになる傾向にあります。例えば以下は、東京にある調剤薬局の登録販売者求人です。

ここには、年収270~300万円(月収18~20万円)になることが記されています。これに対して以下は、東京や神奈川などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人では、大卒で月給23万円以上、短大卒や高卒などでも月給21万円以上となることが記されています。調剤薬局は小売店よりも給料が低い傾向にあるのです。

またドラッグストアなどの小売店の場合、スキルアップすることによって店長やエリアマネージャーなどの役職に就くことができます。昇格すると、その分だけ収入も高くなっていきます。

これに対して、調剤事務は役職ポストがかなり少ないです。それどころか、昇格先がまったくないケースのほうが多いです。調剤薬局で働くと、キャリアアップができない可能性が高いのです。

キャリアアップできないということは、年収も上がらないことを意味します。そのため薬局事務は、プライベートの時間を確保したい人には向いているものの高収入を求める人には向かないといえます。

登録販売者が薬局事務となるための求人選び

通常、調剤事務は市販薬販売と関係のない業務であるため、登録販売者としての実務経験とは認められません。そのため調剤事務としての勤務期間が長くなると、管理者要件を満たすことができなくなり登録販売者資格が研修中へ格下げとなります。

ただ市販薬の取扱がある調剤薬局での勤務は、ドラッグストアなどでの勤務と同様に実務経験と認められます。そのため市販薬の取扱がある調剤薬局で働くと、正規の登録販売者資格を維持しながら事務員として働くことができます。

例えば以下は、兵庫にある調剤薬局の登録販売者求人です。

ここには、業務内容に一般用医薬品の販売・相談業務があることが記されています。つまり、ここでは市販薬を取り扱っている(=登録販売者としての実務経験を積める)ということです。

ただ実際のところ、調剤薬局で市販薬の取り扱いがない薬局はほぼ存在しません。小さな調剤薬局であったとしても、患者さんの待合室にOTCを置いている確率が圧倒的に高いです。

例えば、以下は実際の調剤薬局での待合室になります。

このように、一般用医薬品を取り揃えています。そのため調剤薬局で勤務する場合、資格の維持とプライベートの充実を両立させることが可能となります。

転職サイトを利用して調剤薬局の求人を探す

このように、登録販売者でも「夕方までの勤務や日祝の休み、転勤なし」などの働き方を実現することができるのが調剤薬局です。

ただ登録販売者を募集している薬局の求人は少ないです。また登録販売者が調剤薬局へ転職するためには、「調剤事務が未経験でも可能」の案件を探す必要があります。そのため、自力で調剤事務の登録販売者求人を探すことは困難なのです。

したがって調剤薬局で働きたい登録販売者は、転職サイトを活用して求人を探しましょう。

転職サイトを利用すると、担当コンサルタントが未公開案件を含めた膨大な量の求人の中から、あなたに合った案件を紹介してくれます。またコンサルタントは求人先企業との交渉も行ってくれるため、より好条件で入社しやすくなります。

このとき担当者の力量には個人差があります。そのため、転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より良い条件での入社が叶いやすくなります。

まとめ

一般的に、登録販売者はドラッグストアなどの販売店でしか働けないと思われがちです。ただ登録販売者資格は、小売業界だけではなく調剤薬局でも活かすことができます。

調剤薬局は薬の販売店に比べて営業時間が短く、日祝が定休日であることが多いです。そのため、調剤薬局で働くと小売業界では不可能な「夕方までの勤務・日祝定休」を実現することができます。

ただ調剤薬局の求人は少ないです。また、登録販売者が応募できるのは調剤事務の未経験可の求人のみです。このような環境で、自力で条件の良い案件を探すことは難しいです。

そのため調剤薬局へ転職したい登録販売者は、転職サイトを利用しましょう。そうすることで、調剤薬局への転職が実現して家族や友人などとの時間を確保できるようになります。


登録販売者の転職で失敗しない理想の求人・転職先の探し方とは!

登録販売者が転職を行い、求人を探すにしても自分一人で行うのは現実的ではありません。そこで、ほとんどの人が転職エージェントを活用します。

転職サイトを利用すれば、「年収の交渉」「希望の勤務地」「労働時間の調節」を含めてすべて代行してくれるようになります。

しかし、転職サイトによって「地方在住者でも事前面談に対応している」「40代以上でも利用可能」など特徴に違いがあります。人気の転職エージェントの中でも、これらの特徴を理解したうえで、どの転職サイトを利用すればいいのか検討しなければいけません。

そこで当サイトでは、転職サイトごとの特徴について解説しています。転職では2~3社以上に登録して活動するのが基本になるものの、どの転職エージェントを利用すればいいのか理解したうえで以下のページから比較検討し、転職サイトへ登録するようにしましょう。

おすすめの転職サイトランキング