学歴が低いと応募できる求人が少なくなります。特に、義務教育さえ受ければ得られる中卒(高校中退)だと、求人を選ぶ余裕がないほど受け入れ先が少ないです。

このとき中卒であっても、何らかのスキル・資格を持っている人は優遇されやすくなります。ただ、中卒は資格取得の際にも学歴で弾かれることが多いです。学歴が低いと、資格の受験資格を満たすこともできないのです。

このような中、医療系資格の一つである登録販売者は中卒・高校中退者でも取得が可能です。また登録販売者資格を取得すれば、中卒でも就職・転職しやすくなります。

そこで、登録販売者資格が中卒におすすめな理由と、中卒・高校中退者が登録販売者として就職・転職を有利に進めるコツについて解説していきます。

中卒・高校中退者に登録販売者資格がおすすめな理由

資格には大きく分けて、国家資格と民間資格の2種類があります。これらのうち、民間資格は企業や民間団体などが認定する資格です。そのため民間資格は「知識を保有している」という証明にはなるものの、就職する際に必須となる資格ではありません。

一方で国家資格は、資格を所有していないと就けない仕事があります。

例えば医師や弁護士、教師などはそれぞれの免許を保有している人でなければ仕事に就けません。免許を保有していない人が「医師」などを名乗ることは違法となります。そのため、基本的には民間資格よりも国家資格の方が就職・転職で有利に働きます。

ただ、国家資格には受験資格が設けられているものが多いです。例えば医師・薬剤師免許は、専門の6年制大学に通わなければ取得できません。

また、看護師免許を取得するためにも大学や専門学校などを卒業する必要があります。ただ基本的に大学や専門学校などは、高校卒業者しか入学できません。

そのため中卒や高校中退者などがこれらの国家資格を取得するためには、高校に通ったり高認を取ったりするところから始めなければなりません。国家資格は就職を有利にするものの、取得のハードルが高いのです。

このような中、登録販売者は医療系国家資格の一つでありながら、受験資格に制限がありません。そのため登録販売者資格は、中卒や高校中退者などでも挑戦することができます。

働きながら登録販売者資格を取得できる求人がある

また、中卒や高校中退者などの中には生活のために働いている人もいるでしょう。このような環境では、資格取得のために学校へ通うことができません。そのため転職に有利な資格を取得したくても、「学校に行かないと取れない資格」には挑戦しづらいのが実情です。

ただ、登録販売者資格は専門学校などに通わなくても取得できます。独学であっても、試験に合格すれば資格保有者となることができるのです。登録販売者は仕事しながらでも取得しやすい資格なのです。

また自分の責任で薬を販売する正規の登録販売者になるためには、ドラッグストアなどの薬の取扱店で2年以上の業務・実務経験を積む必要があります。

このとき、登録販売者資格の取得前の実務経験についても、資格取得後の業務経験と合算できます。例えばドラッグストアAで1年間勤務した人が登録販売者資格を取得した場合、あと1年働けば正規の登録販売者となることができるのです。

また、薬の取扱店で働くと登録販売者試験合格に必要な知識が自然と身につきやすいです。そのため登録販売者資格の取得を考えているのであれば、資格取得前から薬の取扱店で働くことをおすすめします。

このときドラッグストア求人の中には、登録販売者資格を取得していなくても、勉強中であれば採用している企業があります。例えば以下は、福岡にあるドラッグストアの求人です。

ここには応募資格欄に登録販売者の資格保有者だけではなく、勉強中の人も採用していることが記されています。このような求人を選べば、働きながら資格を取得できるだけではなく、登録販売者になるために必要な知識を業務で得ることができます。

そのため登録販売者としてのキャリアをスタートさせたいのであれば、資格取得前から薬の取扱店で働くことをおすすめします。

登録販売者になれば中卒でも正社員になれるのか?

ただ、「誰でも挑戦できる資格=楽に取得できる資格」であるわけではありません。登録販売者試験では人体の構造や薬の作用、薬機法などについての専門知識が問われるためです。

このとき努力して資格を取得しても、就職に有利に働かなければ意味がありません。そのため「登録販売者資格を取得したら、本当に就職が有利になるのか」という点は多くの人が気になることでしょう。

実際のところ、登録販売者資格を保有していたとしても、学歴で弾かれることはあります。企業がそもそも中卒者を採用していないことがあるためです。そのため、「登録販売者資格を取得さえすれば就職が楽に決まるようになる」ということはありません。

ただ、登録販売者の主な就職先である小売業界は、他の業界に比べて学歴を問わない企業が多いです。このようなことからも、登録販売者は中卒におすすめな資格なのです。

ドラッグストアなどの小売企業には学歴不問求人がある

登録販売者は市販薬を販売できるようになる資格です。そのため、登録販売者は市販薬の販売業(=小売業)で需要の高い資格です。

小売業界は他の業界に比べて、年功序列ではなく実力主義であることが多いです。実際に以下は、東京や神奈川(横浜)などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、入社後3~5年で店長へのキャリアアップが可能であることが記されています。実力さえあれば、若いうちでも昇進が可能なのです。

このような性質の業態では、学歴ではなく実力で評価する企業が多いです。小売業界は中卒でも働きやすい業界なのです。

実際に、小売業界には学歴不問の求人が多いです。以下は、東京や愛知、大阪などの全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには店長候補の登録販売者を募集しており、学歴不問であることが記されています。登録販売者求人には中卒が挑戦できる求人が多いのです。

そのため中卒・高校中退者であっても、登録販売者資格を持っていれば正社員就職を有利に進めることができます。

中卒・高校中退が就職できるドラッグストア以外の業態

登録販売者資格が活かせるのは、ドラッグストアなどの小売業界だけではありません。置き薬販売業という営業職でも活かすことができます。

置き薬販売業は、一般家庭に市販薬の薬箱を置き、必要に応じて薬を使用してもらいます。そして置き薬販売業の営業スタッフが家庭をまわり、使用した分の薬代を回収する業態です。

置き薬営業では一般顧客に市販薬を販売するため、登録販売者などの資格を活かすことができます。また、置き薬営業職に求められるのは顧客と対話できるコミュニケーション能力と信頼される人柄です。そのため置き薬営業職では、学歴不問で人柄重視の採用を行う企業が多いです。

実際に以下は、愛知や三重などに店舗を展開する置き薬販売業の求人です。

ここには、学歴不問で人柄がよく人と接することが得意な人を求めていることが記されています。小売業界だけではなく、置き薬販売業も中卒が挑戦しやすい業態なのです。

そのため人と接することが好きな人は、小売業界ではなく置き薬の営業職も視野に入れることをおすすめします。

調剤薬局や製薬会社に入社することは可能か?

このとき、調剤薬局や製薬会社などでも登録販売者の資格を活かすことができます。ただ、これらの企業は中卒者を採用しないケースが多いです。

例えば、調剤薬局は人気のある業態です。そのため、調剤薬局求人には高卒・専門卒・大学卒の人が多数応募します。

同じ資格を持っている人材を比べた場合、大卒者と中卒者では大卒者の方が圧倒的に採用されやすいです。そのため登録販売者としてのキャリアを十分に積んだ後ならまだしも、資格を取得しただけの段階では調剤薬局に就職できる可能性はかなり低いです。

また、製薬会社は中卒どころか高卒も採用していない企業がほとんどです。そのため、登録販売者資格を取得しても製薬会社に就職できる可能性はほとんどありません。中卒者が製薬会社に入るためには、実力を積んで人脈を作り、引き抜きなどのキャリア転職を狙うしかありません。

そのため中卒者が登録販売者資格を活かして働くのであれば、まずは小売企業で経験を積むようにしましょう。実力をつけて昇進し、高度なスキルを身に着けた後であれば、小売業界以外の企業に挑戦することもできるようになります。

中卒が登録販売者資格を活かして就職を成功させるコツ

登録販売者資格を保有していれば、中卒・高校中退者でも就職・転職しやすくなります。ただこれは「登録販売者資格を持ってさえいれば就職・転職できる」ということではありません。資格保持者であっても、面接官に「うちの会社には向かない人材である」と思われたら不採用となります。

特に面接官の中には、中卒・高校中退者にネガティブなイメージを持っている人が多いです。そのため通常、同時期に高卒・大卒の登録販売者が応募してきたら、そちらを優先して採用しようとします。

ただ面接で「中卒のネガティブなイメージ」を払拭することができれば、採用される可能性がかなり高くなります。一般的なイメージとのギャップによって「悪印象」が「好印象」に転じるためです。

中卒者はマナーを完璧にするだけで好印象になる

高校では面接の受け方などの授業があることが多いです。これは就職時だけではなく、大学進学時にも面接を経験することが多いためです。

一方、中学校では卒業者のほとんどが高校へ進学します。そのため、中学校で社会人としてのマナーを教わる機会はほとんどありません。

このことから中卒者は自発的に勉強しなければ、社会人としての一般的なマナーが身につきません。中卒者は言葉遣いやマナー、服装などについて念入りに下準備する必要があるのです。

実際に、中卒者には基本的なマナーが身についていない人が多いです。例えば入室時にノックをしなかったり敬語が使えていなかったりします。中には、マスクや帽子などを着用したまま面接を受けた人もいます。

そのため中卒・高校中退者は社会人マナーを学び直さなければ、「やはり中卒はだめだ」と思われて不採用となります。

ただ一方で、面接時に中卒・高校中退者が「立派な社会人である」ことを印象付けることができれば、かなり印象が良くなります。

例えば、「礼儀や言葉遣いなど社会人としてのマナーがしっかりしている中卒」は印象が良くなりやすいのです。そのため中卒者は、社会人マナーを完璧に身につけることで、面接で好印象を残すことができます。

中卒の理由を事前に考えておく

なお、中卒は「なぜ高校へ進学しなかったのか」を面接でほぼ必ず聞かれます。このとき「努力しても高校への進学が叶わなかったやむを得ない理由」があるのであれば、それを伝えるといいでしょう。

一方で中卒となった原因が人間関係である場合、「人間関係が原因で中卒となった(=人間関係にトラブルが起こると会社も辞める)」と思われるリスクがあります。そのため実際の理由が何であっても、ネガティブな理由を答えるのは控えましょう。家庭事情や金銭事情などを原因に上げるのがベターです。

また「中卒になってしまったのは仕方がない」と考え、自分を正当化する発言を重ねてしまうと、かえって印象が悪くなります。そのため中卒となった理由がネガティブな事情である場合、面接では過去のことを掘り下げて話すのは避けましょう。

面接では、「中卒だけれども、これから挽回したい」という熱意をアピールすることが大切です。

転職サイトを利用して中卒の就職を有利にする

ただ、中卒は高卒・大卒に比べて応募できる求人が少ないです。そのため、タイミングによっては自力で中卒可の求人を探し出せない可能性があります。

また同じタイミングで高卒や大学卒の人が面接に来た場合、中卒が見劣りするのは事実です。そのため、場合によっては書類選考に通らず面接にもたどり着けないことがあります。

このようなことを防ぐためにも、中卒・高校中退者は転職サイトを利用して求人を探しましょう。

求人サイトの担当者は、未公開案件を含めた膨大な数の求人からあなたに適した案件を紹介してくれます。また、あなたと企業の間を取り持ってくれるので、一人で就職活動を進めるよりも面接にこぎつけやすくなります。

ただ、転職サイトの担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より相性の良い担当者と巡り合う可能性が高くなります。

まとめ

中卒・高校中退者は高卒・大卒などに比べて求人が少なく、採用されにくいです。そのため、中卒は資格を取得して就職を有利に進めたいと考えていることでしょう。

このとき登録販売者は、中卒でも働きながら取得することが可能な資格です。また登録販売者は国家資格の一つであるため、取得することで就職・転職が有利になります。

ただ登録販売者を取得したからといって、楽に就職できるわけではありません。中卒可の求人そのものが少なく、同時期に高学歴のライバルが応募すると面接すらできないことがあるためです。

そのため中卒・高校中退者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで低学歴でも就職・転職を成功させ、経験・キャリアを積み上げていくことが可能となります。


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