販売業に関わる職種の中で、もっとも人気が高い職種の一つがバイヤーです。

バイヤーは店舗で取り扱う商品の選定・買い付けなどを担当します。バイヤーの仕事は会社の業績に大きく関わるため、店舗の従業員よりも「ビジネスマンとして活躍している」という充足感・やりがいを感じやすい職種です。

中でも、ドラッグストアは生活必需品である市販薬を主力商品とする業態です。そのため、やりがい・安定性の面からドラッグストアのバイヤーを希望する人は多いです。

それではドラッグストアのバイヤーに転職するためには、どのように行動したらいいのでしょうか? またドラッグストアのバイヤー職に就くことには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

ここでは、ドラッグストアバイヤーの仕事内容とドラッグストアのバイヤーに転職する方法について解説していきます。

ドラッグストアバイヤーの年収・仕事内容

どのような業態であっても、商品を一般顧客に販売する業種(小売業)ではバイヤー職が存在します。小売企業の一つであるドラッグストア業態にも、例外なくバイヤー職があります。

ドラッグストアなどでのバイヤーは製薬会社や医薬品卸会社、化粧品販売会社などと商談し、取扱商品を決めたり仕入れ価格を交渉したりします。また、仕入れた商品の展開方法などを周知し、商品が売れるための施策を講じます。

このとき、日用消耗品や医薬品などのバイヤーは大手メーカーとの取引が多いです。そのため取引先から新商品やおすすめ商品などのプロモーションを受け、これに応じて仕入れの有無や仕入れ価格、展開方法などを商談によって決定していきます。

これに対して化粧品のバイヤーは、大手メーカーだけでなく小さな化粧品メーカーと商談を行う機会が多いです。マイナーメーカーの商品がヒットするケースも多いため、トレンドの把握・先読みスキルや訴求センスが必要となります。

なお、どのような商品カテゴリーであっても、バイヤーの仕入れは、担当地域(または全国)ごとに買い付けを行うため、大口ロットでの仕入れとなります。

仕入れ金額・個数が大きくなると、その分だけ会社の業績への影響が強くなります。商談で有利な条件を引き出しやすくもなるため、やり方次第では大きな利益を生み出すことが可能となります。

そのためバイヤー職は責任が重い一方で、やりがいが強く「会社に貢献している」「会社を動かしている」という実感を得やすい職種です。

他にも、プライベートブランド商品の開発や新店オープン・大型改装などでのレイアウト決め、作業のヘルプにバイヤーが関わることもあります。

ドラッグストアのバイヤーになるためには店長経験が必要

このとき、バイヤーが買い付けた商品を展開・販売するのは実店舗です。

店舗運営に関する知識・経験なければ、どれだけ良い商品を低価格で仕入れても実績を上げられません。そのため、基本的にドラッグストアのバイヤーになるためにはドラッグストアの店長経験が必要となります。

実際に以下は、東京や神奈川、千葉などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人は店長として「キャリアを積んだら、バイヤーなどの幹部ポジションへと昇格可能」となっています。ドラッグストアでは、店長を経験しなければバイヤー職に就くことができないのです。

バイヤーと店長ではどちらが高収入?

このとき、多くの人が気になるはバイヤーの給与水準でしょう。やりがいのある仕事に就いても、給料が低いのでは意味がありません。

ただ基本的に、バイヤーを目指す人は給料について気にする必要はありません。バイヤー職は店長よりも格上のポジションであるためです。したがって、基本的には店長よりもバイヤーの方が給料は高いです。

実際に以下は、千葉や愛知、京都などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人の年収例では、店長職の年収が500万円であるのに対して、バイヤー職の年収は700万円となっています。そのため、ドラッグストア店長がバイヤー職に就くことで給料が下がることを心配する必要はありません。

ただ例外的に、深夜勤務のある店舗で就業している店長がバイヤー職に就いた場合、給料が上がらなかったり、むしろ下がったりする可能性があります。国の法律によって、22時~翌日5時の就業は給料が1.25倍になるためです。

店舗所属であれば深夜勤務が発生することはありますが、本部所属のバイヤーだと深夜勤務は発生しません。そのため場合によっては、バイヤー職よりも深夜勤務のある店長職の方が高給となります。

また店舗勤務だと、店舗の混み具合やスタッフの勤務状況などによって長時間の残業が発生することがあります。このような場合も、バイヤー職への昇格による給与額が少なくなりやすいです。

そのため基本的にはバイヤー職の方が高給であるものの、昇格前の働き方によっては給料が下がる可能性があることを知っておきましょう。

ドラッグストアでバイヤーになるメリット・デメリット

なお、ドラッグストアは他の業態に比べて、仕入れた商品が売れ残るリスクが低いです。ドラッグストアで扱っている商品は薬や日用消耗品などの生活必需品であるため、大量に仕入れても売れ残ることがないからです。

また、これらの商品は食品に比べて日持ちするため、売れ行きが悪くても廃棄に至るケースは少ないです。

さらに、ドラッグストアは店舗を多数展開している企業がほとんどであるため、売れ残りが発生しても売れ行きの良い店舗で消化することができます。ドラッグストアのバイヤーは、大規模な仕入れを行っても事業が失敗しにくいのです。

小売企業バイヤーでも土日休み・夕方退勤が可能

これに加えて、ドラッグストアのバイヤー職には大きなメリットがあります。それは、小売企業勤務のバイヤーでも土日休み・夕方退勤を実現できる点です。

基本的にバイヤーは、取引先のスケジュールに合わせて就業します。そのため取引先が土日に稼働している場合、バイヤー職が土日に休むことはできません。

例えば以下は、兵庫・神戸にあるスーパーのバイヤー求人です。

この求人は完全週休2日制ですが、土日休みではありません。生鮮品を扱う卸会社は土日も稼働しているケースが多いためです。

またバイヤー職が店舗管理業務を兼務する場合、取引先が土日休みであっても平日休みとなります。一般的な小売店は土日の来客が多いため休むことができないのです。場合によっては、夕方以降の就業が発生するケースもあります。

これに対して、ドラッグストアの主な取引先である製薬会社や医薬品卸会社、化粧品会社などは土日休み・夕方退勤がほとんどです。

また、ドラッグストア業界は規模の大きい会社がほとんどであるため、バイヤー職が店舗管理業務にあたるケースは少ないです。ドラッグストアのバイヤーとして働くと、土日休み・夕方退勤を実現できるのです。

実際に以下は、東京や千葉などに店舗を展開するドラッグストアのバイヤー求人です。

この求人は就業時間が8:45~17:45であり、日曜休みです。また土曜日も交代制で休みとなり、年末年始に休暇を取ることもできます。

バイヤー職に就けば、小売店のバイヤー職であっても土日休み・夕方退勤を実現できるのです。

転職・キャリアアップが有利になる

またバイヤーを経験すると、転職やキャリアアップの際に有利に働きます。

まず、同業他社でのバイヤー経験がある人は企業にとって有用な人材です。実際に以下は、東京や神奈川、千葉などに店舗を展開するドラッグストアのバイヤー求人です。

この求人は同業他社でバイヤー経験のある人を歓迎しています。このように、バイヤー経験があると同業他社のバイヤーとして採用されやすくなります。

またバイヤーは市場を分析して仕入れる商品の品定めを行い、ヒットさせるための施策を実施します。そのため、バイヤーになるとマーケティングに関する知識・スキルが身に付きます。

さらに、バイヤーは他社の担当者と商談を重ねるため、自然に交渉スキルが高くなっていきます。流通に関する知識も深くなり、市場全体を俯瞰して見ることができるようになります。

このようなスキルは、ドラッグストアのブロック長・エリアマネージャー職などでも活かすことができます。ドラッグストアのバイヤー職を経験すると、ドラッグストア業界での転職がかなり有利になるのです。

またドラッグストア業界でなくても、バイヤー経験者は需要が高いです。例えば以下は、広島にある生活雑貨店のプランナー求人です。

この求人は業界を問わずバイヤー経験のある人材を歓迎しています。バイヤー経験があると、ドラッグストアだけでなく他社・他業界でも転職が有利になるのです。

ドラッグストアバイヤーに就くデメリット・リスク

ただ一方で、ドラッグストアのバイヤーにはデメリットもあります。

前述のように、医薬品や日用消耗品のバイヤーであれば、仕入れた商品が売れ残る可能性は低いです。一方で、化粧品や健康食品などは生活必需品ではないため売れ残るリスクがあります。

特に健康食品だと、消費期限切れで廃棄となってしまう可能性もあります。そのためドラッグストアのバイヤー職であっても、扱う商品によっては仕入れに失敗するケースがあります。

また、バイヤーが大口で仕入れた商品は各店舗に分配します。ただ、店舗スタッフにとって本部からの配送は「現場の予定を狂わせる厄介者」です。

店舗スタッフからしてみれば、本部からの配送は他の仕事よりも優先して行わなければならない業務です。そのため本部配送があると、仕事の段取りを変更しなければなりません。

また在庫状況などを考慮して配送を受けるわけではないため、本部配送があると店舗の倉庫がいっぱいになりやすいです。さらに、配送商品によっては在庫数の調整業務も発生します。

このようなことから本部発注分の商品分配を担うバイヤーは、店舗スタッフから恨まれやすい存在です。場合によっては、店舗からクレームの連絡が入るケースもあります。

当然ながら、現場との連携がうまくいかなければ仕入れた商品は売れません。そのためバイヤーは、現場が納得して本部配送を受け入れられるように、客観的根拠に基づいた買い付けと情報共有に注力する必要があります。

登録販売者の店長ならバイヤー転職が可能

なお、バイヤー未経験の人がバイヤーとして採用されるのは難しいです。基本的に中途採用の求人では即戦力が求められるため、「すでにバイヤースキルを要している人(=バイヤー経験者)」を欲しているからです。

特に、ドラッグストアの店長すら経験していない人は「バイヤー候補」として採用されることも難しいでしょう。このような人は、ドラッグストアの一般スタッフでの採用となるのが基本です。

一方で、あなたがすでにドラッグストアの店長経験を有するのであれば、「バイヤー候補」として採用される可能性があります。

ただ当然ながら、キャリアアップしにくい求人を選んでしまうとバイヤーへの昇格は実現しません。そのため未経験でバイヤー職に就きたいのであれば、希望のキャリア形成を叶えやすいドラッグストア求人を選びましょう。

例えば以下は、愛知や京都、兵庫などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人は「本部スタッフのポジションが増加しており、バイヤーなどのキャリアを目指すことが可能」と記されています。このような求人を選べば、希望のキャリアプランを実現しやすくなります。

ドラッグストアのバイヤー転職というのは、「ほかの業界でバイヤー経験がある」「ドラッグストアで店長の経験がある(登録販売者)」のどちらかでなければいけません。

転職サイトを利用して求人を探す

ただ、希望のキャリア形成を実現できる求人を自力で探すことは困難です。求人案内を見るだけでは、会社の内情や実態などを知ることができないためです。

そこでドラッグストアのバイヤー職に就きたいのであれば、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

転職サイトの担当者は、膨大な数の求人からあなたの希望条件を満たした案件を紹介してくれます。また担当者は会社の内情にも詳しいため、転職サイトを利用すると「バイヤー職に就きやすい求人」を見つけやすくなります。

特にバイヤー未経験なのであれば、「ドラッグストアの店長からバイヤーへ昇格したい」という旨を求人先に伝える必要があります。

担当コンサルタントは、このような「あなたの希望キャリアプラン」を面接先に伝えてくれます。転職サイトを利用すると、未経験者でもバイヤーへの転職が実現しやすくなるのです。

ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、早い段階でバイヤー職に就ける求人先への転職が実現しやすくなります。

まとめ

商品を顧客に販売する業態であれば、どの業種であってもバイヤー職が存在します。例外なく、ドラッグストア企業にもバイヤー職があります。

バイヤー職は、店舗で取り扱う商品の買い付けや仕入れ価格の交渉などを行います。会社の業績に関わる大きな仕事に携わるため、責任が重い一方でやりがいの大きな職種です。

このとき、他業種でバイヤーを経験している人はドラッグストアのバイヤーとして採用される可能性があります。一方でバイヤー未経験者の場合、ドラッグストア登録販売者の店長からキャリアアップを目指さなければなりません。

そこでドラッグストアのバイヤー職に就きたい人は、転職サイトを利用して「希望のキャリア形成を実現しやすい求人」を探しましょう。そうすることで、やりがいが大きい仕事に就き充実した毎日を送ることができるようになります。


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