仕事を辞めたいと思っても、すぐに退職を決断できない人は多いです。次の会社が決まる保証はないですし、今まで培ってきた知識・スキルが役に立つとは限りません。
また勢いのままに退職してしまい次の就職先が決まらないと、経済的に困窮してしまいます。そのため、転職を成功させるために最適な時期を見極めようとする人は多いです。
では、登録販売者が転職しやすい時期はあるのでしょうか? また登録販売者が中途入社を成功させるためには、いつ転職するべきなのでしょうか?
ここでは、登録販売者が転職するタイミングについて解説していきます。
もくじ
ドラッグストアの求人が多くなるタイミングとは
たくさんの求人が出ていると、さまざまな条件で会社を選ぶことができます。そのため「求人の多い時期に転職活動を行いたい」と考える人は多いです。
ただ、ドラッグストアの求人は通年出ています。これは、ドラッグストアは新規出店を進めている会社がかなり多いためです。
例えば以下は、東京や愛知、大阪など全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。
ここには、年間120店鋪以上の新規出店をしており、企業規模拡大のために登録販売者を募集するとなっています。
店鋪を出店すれば、その分だけ人員が不足します。また新規店舗出店は、時期に関わらず準備が整い次第行われます。そのため、ドラッグストアの求人は通年出ているのです。
また当然ながら、人員が不足するのは新規出店時だけではありません。退職者が出ると、その分だけ人員が不足します。そのため退職者が多い時期は、求人数が増えやすい傾向にあります。
例えばドラッグストアに限らず、ほぼすべての業態に共通する「求人が出やすい時期」があります。それは、ボーナス支給から1~2ヶ月後のタイミングです。
言うまでもなく、早急に退職しなければならない理由がなければ、ボーナスをもらって退職したほうがお得です。そのためボーナスが支給される6~7月・12~1月を過ぎると、多くの退職者が発生します。その分だけ、求人も出やすくなります。
特に、1~3月は新卒入社と時期を合わせるために中途採用の求人も増えやすいです。そのため基本的には、ボーナス支給後1~3ヶ月は求人が多くなりやすいことを理解しておきましょう。
閑散期は退職者が多い
また、ドラッグストアなどの小売店では閑散期(1~2月)に退職者が多くなりがちです。
例えば、小売店の人事異動は閑散期に発令されます。忙しいタイミングで人員配置を行うと、多忙に対応できずに売上を落としてしまいやすいためです。そのため、8月や12~1月などの「繁忙期が終わるタイミング」で辞令が出ることが多いです。
実際に、私が働いていたドラッグストアやディスカウントストアでは、1月末や2月に転勤の内示が出ることが多かったです。2~3月は年末年始の散財の反動で出費を控える人が多くなるため、店鋪の売上が下がりやすいです。そのため、このタイミングで人員配置の変更が行われることが多いのです。
ただ、人事異動は退職者が増える要因の一つです。辞令内容に不満を感じて辞める人が多いためです。
特に、小売店は転勤に引っ越しを伴うケースがあります。家族を持っている場合、遠方店鋪へ異動となると単身赴任と家族帯同のどちらかを選ばなければなりません。
このとき、どちらを選択することも難しい状況であれば、退職せざるを得ません。そのため、ドラッグストアでは内示が出るタイミングで退職する人が多いです。
また、閑散期は「繁忙期を終えるまで退職を我慢していた人」が退職するタイミングでもあります。
特に年末年始は、お菓子やお酒などの嗜好品・掃除用品の売れ行きが良く、多くの小売店にとって最繁忙期となります。そのため秋頃に退職の意向を会社に伝えると、繁忙期が終わるまで引き止められるケースがほとんどです。
このとき、よほどのことがなければ繁忙期が終わるまでは勤続する人が多いです。そのため、小売店は最繁忙期を終えた1~2月に退職者が多くなります。このようなことから、ドラッグストアは閑散期に求人が増えやすい傾向にあります。
ドラッグストア以外の業態はどうなのか?
このようなドラッグストアの求人傾向は多くの小売店に共通しています。そのためホームセンターやスーパーなどのドラッグストア以外の小売店も、閑散期やボーナス支給後のタイミングに求人が出やすいです。
ただ、ドラッグストア以外での登録販売者求人は、この傾向に当てはまらないケースがあります。これは、ドラッグストア以外の業態とドラッグストアでは登録販売者の働き方・待遇が異なるためです。
例えば、ドラッグストアで働く登録販売者には転勤が発生するのが基本です。
一方でホームセンターなどで登録販売者が働く場合、引っ越しを伴う転勤を発生しないケースが圧倒的に多いです。これは、ホームセンターやコンビニなどドラッグストア以外の小売店は資格者数を最低限に絞っているためです。
このような状態で登録販売者の退職者が出ると、薬を販売できない状態に陥りやすくなります。そのため、退職者が発生する要因の「引っ越しを伴う転勤」が発生しないようにしていることが多いのです。
実際に以下は、千葉に店舗を展開するホームセンターの登録販売者求人です。
ここには、自宅から通える範囲で転勤の可能性があるとなっています。つまり、引っ越しを伴う転勤が発生しないのです。
引っ越しを伴う転勤がない場合、転勤による退職者が発生しにくいです。そのためホームセンターなどドラッグストア以外の業態では、転勤によって退職する登録販売者が少ない(=求人数の増加が起こりにくい)です。
また家電量販店やディスカウントストアなどは、外国人観光客が多い店鋪で薬を販売しているケースが多いです。日本の薬はアジアで人気が高く、お土産として購入されることが多いためです。
特に、日本の薬は中華圏での人気が高いです。そのため外国人観光客が訪れる家電量販店などは、中華圏でのお正月にあたる春節(1~2月)の来客数・売上がかなり高くなります。
そのため一般的には閑散期である1~2月であっても、家電量販店やディスカウントストアなどでは繁忙期となる店鋪があります。中華圏からの旅行者が多い店鋪で働いている登録販売者は、1~2月に退職することは難しいのです。
したがって一般的には求人の出やすい時期である1~2月であっても、家電量販店などの登録販売者求人は出ていない可能性が高いです。
転勤なしの内勤求人は4月に合わせて採用する
一方で内勤の登録販売者求人は、1~3月に求人数が増える傾向が強いです。これは、内勤で働く登録販売者には家庭を持つ人が多いためです。
調剤薬局やコールセンターなど登録販売者の内勤求人は、日祝定休や夕方退勤、転勤なしなどの家庭と両立しやすい条件が揃っています。そのため子育てなどの事情がある人は、内勤の登録販売者求人を選ぶことが多いです。
ただ登録販売者の内勤に転勤がなくても、パートナーの転勤によって引っ越さなければならなくなるケースがあります。このような状況になると、内勤の登録販売者は仕事を辞めることになります。そのため一般的に転勤の内示が多い2~3月には、登録販売者の内勤求人が出やすくなります。
また、4月ほどではないものの10月も転勤が多い時期です。一般的な企業は10月に後期が始まるため、これに合わせて転勤があるのです。したがって8~9(10月前のタイミング)も登録販売者の内勤求人が出やすい時期といえます。
転職を成功させるための転職時期
ただ求人が出やすい時期にこだわりすぎると、かえって転職に敗してしまう恐れがあります。
前述のように、ドラッグストアの求人は通年出ています。そのためドラッグストア求人は、時期を待たなくても希望の条件が提示されることがあります。
また自身・家族の病気や妊娠・出産による退職は、時期に関係なく発生します。
実際に私は出産ぎりぎりまで登録販売者として働いていたため、最繁忙期を控える12月半ばに退職しました。当然ながら数ヶ月前から退職時期を会社に相談していたため、人員補填の求人は9月末ごろから出されていました。一般的な転職時期ではない10月であっても、登録販売者求人が出ることは多いのです。
さらに、時期にこだわりすぎると就職先を焦って決めやすくなります。そうすると、合わない会社に入社してしまい早期退職することにつながりかねません。
このようなことからも、転職を成功させたいのであれば活動時期にこだわりすぎないことが大切です。
ライバルが多い時期は勝つのが難しい
なお出ている求人が多ければ、その分だけ好条件の求人に巡りあいやすくなります。求人数が多い時期の転職活動では、希望条件を満たした求人を見つけやすいのは事実です。
ただ求人が増える時期というのは、退職者(=求職者)が増えやすい時期でもあります。つまり、求人数が増える時期はライバルが多いのです。
特に、高給・高待遇など条件の良い求人は応募者が集まります。役職経験など有用なスキルを持っていないのであれば、このような状況を勝ち抜くのは困難です。
また求人数が多いと、自分の希望する条件で応募する求人を絞りがちです。ただ、好条件求人ばかり応募すると「スキルの高いライバルに負けて全敗」という状況に陥りかねません。
そうすると自信を失って転職活動を続ける活力がなくなったり、希望の条件を満たさない求人に応募せざるを得なくなったりします。要は、転職が失敗しやすくなるのです。
そのため求人数が多い時期に転職活動するのは自由に求人を選べるメリットがある一方で、転職活動が失敗するリスクも高いことを覚えておく必要があります。
研修中の登録販売者が避けるべき転職時期
なお、中には管理者要件を満たさない登録販売者(研修中の登録販売者)もいます。こうした研修中の登録販売者にとって、避けた方がいい転職時期があります。それは、登録販売者試験の合格発表後です。
登録販売者試験を受ける人は、「ドラッグストアで働きながら登録販売者試験を受けている人」「試験合格後に登録販売者として働こうとしている人」に大別できます。
ドラッグストアで働きながら試験を受ける人は、それまで勤務しているドラッグストアで継続して働くのが基本なので特に問題は起こりません。
一方で薬店で働いていない人が登録販売者として働くためには、ドラッグストアなどで新たに働き始める必要があります。薬店に勤めていないと、販売従事登録(登録販売者の資格者となるための手続き)を済ませられないためです。
そのため登録販売者試験の合格発表後には、未経験・研修中の登録販売者の求職者がかなり多くなります。
前述のように、ライバルが多くなるとその分だけ好条件での転職が難しくなります。そのため研修中の登録販売者は、登録販売者試験の合格発表後をなるべく避けて転職活動することをおすすめします。
なお、登録販売者試験は8~12月に行われますが、詳細な日程は都道府県によって異なります。そのため研修中の登録販売者は、転職活動をする地域の試験日・合格発表日をあらかじめ確認しておきましょう。
転職サイトで求人を探す
転職しやすい時期に就職活動しようと考えている人は、なるべく好条件で早期に転職を成功させたいと思っているはずです。ただ、前述のように「転職しやすい時期」に執着して転職活動を行うと、かえって転職が失敗しやすくなります。
そこで転職を成功させたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。
転職サイトの担当者は、未公開のものを含めた膨大な数の案件からあなたに合った求人を紹介してくれます。そのため転職サイトを利用すると、希望の条件を満たした求人に巡り会いやすくなります。
また転職サイトは、あなたと会社との間を取り持ってくれます。給料などの待遇交渉も代行してくれるため、自分で交渉するよりも好条件を引き出しやすくなります。
ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より希望通りの転職が叶いやすくなります。
まとめ
登録販売者としての仕事を退職後、新しい就職先が決まらなければ経済的に困窮してしまいます。また転職するのであれば、なるべく条件の良い会社で働きたいでしょう。このような理由から、再就職を成功させるために時期を見計らって転職活動する人は多いです。
実際に、求人数の多い時期は希望の条件を満たした案件を見つけやすいです。そのため、小売店の閑散期など求人数の多い時期に転職活動することには一定のメリットがあります。
ただ一方で、登録販売者の求人数が多いということは退職した資格者(=求職者)も多いことを意味します。ライバルに打ち勝てなければ、好条件どころか転職前よりも悪い環境となる可能性があります。
そのため転職活動を成功させたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで、時期に関わらず希望の条件を満たした求人を探しやすくなります。
登録販売者が転職を行い、求人を探すにしても自分一人で行うのは現実的ではありません。そこで、ほとんどの人が転職エージェントを活用します。
転職サイトを利用すれば、「年収の交渉」「希望の勤務地」「労働時間の調節」を含めてすべて代行してくれるようになります。
しかし、転職サイトによって「地方在住者でも事前面談に対応している」「40代以上でも利用可能」など特徴に違いがあります。人気の転職エージェントの中でも、これらの特徴を理解したうえで、どの転職サイトを利用すればいいのか検討しなければいけません。
そこで当サイトでは、転職サイトごとの特徴について解説しています。転職では2~3社以上に登録して活動するのが基本になるものの、どの転職エージェントを利用すればいいのか理解したうえで以下のページから比較検討し、転職サイトへ登録するようにしましょう。