登録販売者は市販薬を販売できる専門職です。そのため、市販薬を取り扱っているドラッグストアなどの小売店で需要が高いです。

このとき、「薬の販売店=ドラッグストア」があるのは日本だけではありません。アメリカなどの海外にもドラッグストアは存在しています。そのため登録販売者の中には、海外で資格を活かしたいと考える人もいます。

それでは、登録販売者の資格を海外で活かすことは可能なのでしょうか? また登録販売者資格を海外で活かすためには、どのように行動したらいいのでしょうか?

ここでは、登録販売者が海外で活躍する方法について解説していきます。

登録販売者資格は海外で活かせるのか?

当然ながら、法律は国によって異なります。そのため、薬を取り巻く環境も国によって差があります。例えば日本で手軽に手に入る薬の中には、海外で薬として取り扱われていないものがあります。また、その逆のケースも多いです。

ただ、薬の販売店(=ドラッグストア)という業態は日本独自のものではありません。ほとんどの国に「一般顧客が処方箋なしに薬を購入できる店舗」があります。

特に都市部や観光客の多い地域には、日本にあるドラッグストアのように「薬や化粧品、日用品を扱う店舗」がある国が多いです。日本において登録販売者の主な就職先であるドラッグストアは、全世界に存在するのです。

それでは、登録販売者資格は海外のドラッグストアでも活かすことができるのでしょうか?

結論からいうと、登録販売者の資格を活かして海外で働くことは不可能です。登録販売者は日本独自の資格であり、全世界で共通しているわけではありません。そのため登録販売者資格を持っていても、海外で資格を活かして働くことはできません。

現地でファーマシーテクニシャン資格を取得する

ただ、登録販売者資格の保有者は薬の基本的な知識があります。そのため、知識を活かして薬剤師の補助職(ファーマシーテクニシャン)などを目指すことが可能です。

ファーマシーテクニシャンとは、日本での調剤補助職にあたります。ただ多くの場合、ファーマシーテクニシャンは日本の調剤補助に比べて、より専門的な業務に就きます。

具体的にいうと、薬剤師が顧客への接客に専念するために、ファーマシーテクニシャンが調剤業務や小売店での薬の販売業務を行います。国によっては、ファーマシーテクニシャンが顧客へのカウンセリングを実施するケースもあります。

このように、ファーマシーテクニシャンは「薬剤師の下位互換」の性質を持つ資格であり、このような側面から登録販売者と似た資格といえます。

なおファーマシーテクニシャン資格の取り扱われ方は、国によって異なります。例えばイギリスでは国が管理する資格である一方で、アメリカでは民間資格としている州が多いです。

ただ、いずれの場合であってもファーマシーテクニシャン資格を取得するためには薬の専門知識が必要です。登録販売者の知識は、海外での調剤補助資格を取得する際に役立てることができるのです。

そのため海外で登録販売者資格を活かしたい人は、ファーマシーテクニシャンという選択肢があることを知っておきましょう。

海外で登録販売者資格を活かせる転職求人

ただ、海外で新たに資格を取得することは難易度が高いです。

当然ながら、資格試験に受かるためには現地の言葉に精通している必要があります。仮にビジネスレベルの英語を話せたとしても、英語が母国語でない国で専門資格を取ることは難しいです。

特に、ファーマシーテクニシャンは現地の薬剤師・顧客と専門的なコミュニケーションを取れなければ仕事になりません。そのため、外国でファーマシーテクニシャンとなるためには、通常よりも高い言語力が必要となります。

また、国によっては就労ビザなどの取得条件が厳しいケースもあります。移住費用も高額であるため、志半ばであきらめてしまうと大きな損失を生じてしまいます。

海外で新たに登録販売者に相当する資格(=ファーマシーテクニシャン)を取得して働くことは、現役の登録販売者資格者であってもハードルが高いのです。

店舗を海外展開しているドラッグストアへ転職する

ただ、海外で就業先を見つけなくても海外移住する手段はあります。具体的にいうと、海外で事業を手掛ける日本の会社に就職すれば、海外赴任によって海外への移住が可能です。

海外赴任の場合、自力で海外移住するよりもビザの取得が容易です。また職に就いたまま海外へ移住できるので、経済的なリスクも少ないです。

このとき、国内ドラッグストア企業の中には海外に店舗を展開している企業があります。当然ながら、ドラッグストアは登録販売者資格を活かして転職できます。海外進出しているドラッグストア企業で働けば、海外事業を任されて外国へ移住できる可能性があるのです。

例えば以下は、東京や大阪など全国に店舗を展開するドラッグストアのホームページです。

この企業はタイに店舗を展開しており、世界中で20,000店舗を展開することを目標としています。このようなドラッグストアで働くと、日本の企業に勤務しながら海外で働ける可能性があります。

そのため「海外で暮らしたいが、自力で移住するのは難しい」という登録販売者は、店舗を海外展開しているドラッグストアへ転職し、海外赴任をめざすといいでしょう。

登録販売者は医療機器の営業も可能

また、海外で働きたいのであれば登録販売者職にこだわらず、候補を広げて求人を探すことをおすすめします。海外事業を手掛けるドラッグストアであっても、展開店舗のほとんどは国内であるためです。

そのためドラッグストアでは、海外赴任を希望してもあなたのスキルや会社の意向によっては希望が叶わない可能性が高いです。

また、海外事業を手がける日系小売企業は数が少ないです。このような環境で海外赴任への切符を手にすることは、かなり難易度が高いといえます。

一方で医療機器メーカーの中には、商品を海外へ展開している会社が多く存在します。このような会社で働くと、職に就いたまま海外で働くことが可能となります。

特に登録販売者は、顧客とコミュニケーションを取る職種であり医療の基礎知識も備えています。また小売業勤務では数値管理スキルも身に着くため、営業に必要なスキルを持ち合わせているはずです。医療機器メーカーの海外営業は、登録販売者が海外赴任しやすい職種なのです。

例えば以下は、栃木に本社のある医療機器メーカーの求人です。

この求人はさまざまな国に拠点を置いており、海外赴任のチャンスがあります。また営業経験(業界不問)があれば応募できるため、登録販売者業務の経験者が挑戦しやすい求人です。そのため海外で働きたい登録販売者は、医療機器などの海外営業まで候補を広げて求人を探しましょう。

海外現地で医療通訳として働く

ただ海外赴任求人で働く場合、いずれは日本に戻ってくる可能性があります。また、会社の業績やあなたの実績次第では海外赴任のチャンスが巡ってこない可能性もあります。そのため自分で滞在先を決めたい人や海外に定住したい人には、海外赴任求人は向きません。

一方で、日本で探せる求人の中には、海外企業の医療求人もあります。中でも、医療通訳は登録販売者が活躍しやすい職種です。

医療通訳は、海外の医療機関で現地スタッフと日本人患者のコミュニケーションを助ける役割を担います。具体的には日本語と現地言語(もしくは英語)を使用し、患者から症状や既往歴などの情報をヒアリングします。そして、患者から得た情報を翻訳して医療スタッフへ伝えます。

このとき、登録販売者には医療の基礎知識があります。また登録販売者は、症状のヒアリングなどを日常的に行う業務に就きます。そのため、登録販売者としての業務経験がある人は医療通訳の業務を理解・遂行しやすいです。英語と日本語の両方を扱える人なら、医療通訳は登録販売者に向いている仕事なのです。

例えば以下は、マレーシアの医療事務求人です。

この求人には患者への通訳業務があり、小売業経験者を優遇しています。このような求人を選べば、登録販売者としての業務経験をアピールして医療通訳職へ転職しやすいです。

また海外求人の中には、ビザの取得費用を負担してくれたり現地への航空券代を支給してくれたりする案件もあります。例えば以下は、インドの医療通訳求人です。

この求人では、赴任時の航空券代や一時帰国費用、ビザやFRRO(外国人登録)費用などを支給するとなっています。このような求人を選べば、海外への移住費用を安く抑えることが可能となります。

転職サイトを利用して求人を探す

ただ、海外で働ける求人を自力で見つけるのは難しいです。海外現地の求人は日本企業の求人に比べて数が少なく、自力で見つけることが困難です。

また、海外営業求人の中には海外赴任が発生しない案件もあります。実際に海外で働くためには、求人探しに膨大な時間をかけなければならないのです。

そこで海外で活躍したい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

一般的に、転職サイトは「日本の求人を見つけるためのツール」だと思われがちです。ただ実際には、転職サイトは海外・現地の求人も取り扱っています。そのため、転職サイトを利用すると海外求人を見つけやすくなります。

また転職コンサルタントは、あなたと会社との間を取り持ってくれます。あなたの語学力やビジネススキルを会社へ訴求し、「将来的に海外事業に携わりたい」という希望も伝えてくれます。そのため、転職サイトを利用すると海外赴任を前提とした転職を実現しやすくなります。

ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで「働きながら海外移住」の夢を叶えやすくなります。

まとめ

登録販売者は日本独自の資格であり、海外には存在しません。そのため、登録販売者資格を活かして海外で就業することは不可能です。

ただ、医療系の日本企業の中には海外赴任が発生する会社があります。登録販売者資格を活かしてこのような会社へ転職すると、就業しながら海外へ移住するチャンスを得ることが可能となります。

また、日本に住みながら海外の医療系求人を探すことも可能です。海外現地の求人を選べば、確実に海外で働くことが可能となります。また、移住先も自分の意志で決められます。

そこで海外移住に憧れる登録販売者は、転職サイトを利用して海外勤務が可能な求人を探しましょう。そうすることで、海外移住を実現することができます。


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