残業すれば、その分だけプライベートの時間が少なくなります。また、残業が多い職場で働くと就業後の予定を立てにくくなります。そのため「できるだけ残業したくない」という人はかなり多いです。

ただ登録販売者の主な就職先である小売業界は、一般的に残業が多いといわれています。中には、サービス残業が常態化していて残業代を全額支給しない会社もあります。

それでは、登録販売者は残業なしで働くことは不可能なのでしょうか? また登録販売者がサービス残業なしで働くためには、どのような求人を選べばいいのでしょうか。

ここでは登録販売者が「残業なし求人」「残業代が全額支給される求人」を見つけるコツについて解説していきます。

残業したくない登録販売者が避けるべき求人

登録販売者は一般客に市販薬を販売する資格です。一般客を相手にする職種では、顧客の都合に合わせて仕事をしなければなりません。そのため登録販売者資格を活かした職に就く場合、残業せざるを得ない状況が発生しやすいです。

そうした中でも、残業が特に多い登録販売者求人もあります。例えば配置薬営業職は、残業したくない登録販売者が避けるべき業種の一つです。

このとき配置薬営業求人の中には、「残業なし」「残業少なめ」と記されているケースがあります。

ただ、配置薬営業の営業先は個人宅です。そのため営業先の中には、夜遅くしか在宅していない世帯があります。このような世帯に営業活動を実施するためには、夜遅くに出向くしかありません。配置薬は仕事の性質上、残業が多くなりやすい職種なのです。

そのため残業したくない登録販売者は、求人に「残業なし」などと記されていても置き薬営業は選ばないようにしましょう。

家電量販店・ディスカウントストアは残業多め

また、残業したくない登録販売者避けるべき業態がもう一つあります。それは、家電量販店やディスカウントストアなどの「安値で集客している業態」です。

このような業態は、売価競争して売上を確保しています。商品の価格を下げると、その分だけ利益額が少なくなります。そのため売価競争をする業態は、少ない人数で運営して人件費をカットし、利益を確保しています。

ただ従業員数が少なくなると、その分だけ一人当たりの業務量が多くなります。そのため家電量販店やディスカウントストアなどは、もともと残業が多めの業態です。

これに加えて、家電量販店などで働く登録販売者は多くの仕事を少ない人数でこなさなければなりません。家電量販店などドラッグストア以外の小売店は薬の売上比率が低く、資格者の在籍数をギリギリに絞っているためです。中には、営業中の時間あたりの資格者数が一人となるケースも多いです。

通常、スーパーやコンビニなどドラッグストア以外の小売店は資格者数が少なくても問題なく店舗を運営できます。薬の売上が低いため、薬に関する仕事(=登録販売者の仕事)も少ないからです。

ただ、薬を扱っている家電量販店・ディスカウントストアでは外国人観光客の来店があります。また、外国人観光客は団体で訪れるケースが多いです。

そのため家電量販店などで一人勤務する登録販売者は、外国人の団体客を一人でさばかなければなりません。その結果、交代の時間になっても接客が長引いたり他の業務が滞って残業せざるを得なくなったりしやすいです。

実際に私がディスカウントストアで登録販売者として一人勤務していたとき、退勤間際の外国人観光客の来店によって残業したことが何度もあります。また、外国人の団体客が訪れた後の納品は量がかなり多かったため、退勤時間までに終わらずに残業したこともあります。

そのため残業したくない登録販売者は、家電量販店やディスカウントストアなどを避けて求人を探しましょう。

みなし残業制度のある求人だと確実に残業が発生する

また、家電量販店やディスカウントストアでなくても避けるべき求人があります。それは、みなし(見込み)残業制度のある求人です。

みなし残業制度を取り入れている求人は、給料にあらかじめ一定額の残業代が含まれています。実際には残業しなくてもみなし残業代は支給されますが、そのようなケースはまれです。基本的には、給料に含まれている残業代分の残業が生じることになります。

例えば以下は、東京や京都、大阪などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人は13,100~13,900円(10時間分)の見込み残業代が支給されます。つまり、この求人は少なくとも10時間は残業が発生するのです。

また見込み残業制度を取り入れている会社は、従業員が残業する前提の業務量となっているため、見込み残業以上に残業が発生するケースが多いです。したがって残業したくない登録販売者は、見込み残業制度を取り入れている求人は避けましょう。

変形労働時間制はシフトがしんどい上に残業代が支給されない

また、ドラッグストアなどの小売店は朝から夜遅くまで営業しています。そのため、シフト交代制で運営している店舗がほとんどです。

ただ中には、正社員に通し勤務させる求人があります。通し勤務では朝9~10時に出勤して、21~22時に退勤します。通し勤務がある求人だと、仕事の進捗に関わらず労働時間が8時間を超える日が発生するのです。

このとき、一般的な会社だと実働8時間を超えた分は残業代が支給されます。

ただドラッグストアなど小売店の中には、通し勤務をしても残業代が発生しない求人があります。具体的にいうと変形労働時間制を取り入れている会社は、通し勤務をしても残業代が発生しないケースがあります。

変形労働時間制では、月の労働時間が規定を超えたときに残業代が発生します。例えば月の規定労働時間が「8時間×20日=160時間」である場合、10時間勤務した日があっても月間160時間を超えなければ残業代が支給されないのです。

実際に以下は、変形労働時間制を取り入れている会社のシフト例です。

この求人は水曜・土曜がポイントUPの日であり、勤務時間が10時間に設定されています。ただ、その分だけ月曜日の勤務時間を4時間に減らしているため、このシフト通りに勤務すると残業代が発生しません。変形労働時間制を取り入れている求人だと、一日に長時間働いても残業代を受け取ることができないのです。

また短時間労働の日であっても、実際にその時間通りに帰れるとは限りません。退勤間近に混雑すれば必然的に残ることになりますし、4時間ほどの短時間労働では、工夫して業務にあたらなければ所定の業務が終わりません。

さらに長時間労働のための調整日であったとしても、短時間で帰る正社員を快く思わないパート従業員もいます。特に、納品などのデイリー業務が終わっていない場合や副店長などの役職に就いた場合は、勤務時間の調整日であっても短時間で帰れない日が発生しやすいです。

実際に私が過去に働いていたドラッグストアでは、変形労働時間制が取り入れられていた時期がありました。最繁忙期を迎える12月末に12時間勤務のシフトを作るため、月初のスケジュールに4時間勤務の日を何日か組み込みました。

ただ4時間ではこなせる業務量に限界があるため、退勤時間までに処理できない納品物が発生します。このとき、仕事を残されるのを嫌がるパート従業員がいたため、この従業員に引き継ぐ日は短時間労働日であっても7時間ほど勤務していました。

また短時間労働日に残業を重ねると注意を受けるため、サービス残業にせざるを得ない日もありました。このようなことからも、残業したくないのであれば変形労働時間制を取り入れている求人を避けることをおすすめします。

登録販売者が残業なしで働く求人選び

なお、基本的に小売業界などのサービス業で働く場合、残業をゼロにすることはできません。終業の間近で店舗が混み合うと、レジや接客などで残業しなければいけないケースが発生するためです。

特に登録販売者は、薬の接客業務が発生します。薬の接客は他の商品と異なり、ヒアリングなどの必要性があるため時間がかかります。そのため終業時間に薬の接客が入ると、残業となるケースがほとんどです。したがって小売業界で働く場合、残業ゼロとすることは難しいです。

調剤薬局・コールセンターは基本残業なし

ただ、登録販売者が働けるのは小売業界だけではありません。登録販売者は、調剤薬局の調剤事務職やテレフォンオペレーターなどに就くこともできます。

これらはどちらも、残業がかなり少ない職種です。例えば以下は、大阪にある調剤薬局の求人です。

この求人は登録販売者を募集しており、残業が月5時間程度とかなり少ないです。また以下は、神奈川にあるコールセンターの求人です。

この求人も登録販売者を募集しており、残業なしで働くことができます。登録販売者資格を活かして調剤薬局やコールセンターなどで働くと、残業なしでの勤務が可能となるのです。

ドラッグストアは残業時間の記載がある求人を選ぶ

ただ、調剤薬局やコールセンターなどの登録販売者求人は数が少ないです。そのため、時期や地域などによっては求人を見つけられないケースがあります。このような場合、ドラッグストアなどの小売店を選ぶことになるでしょう。

前述のように、小売店勤務はサービス業という性質上、残業をゼロにすることはできません。ただ残業時間が明記されている求人を選ぶことで、残業を極力少なくすることは可能です。求人を出す企業は、残業が少ないことをアピールするために残業時間を明記するためです。

例えば以下は、東京や神奈川、愛知などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人は残業が月10時間程度と明記されています。このような記載のある求人は、表記されている通りの残業時間であるケースが多いです。

一方で以下は、北海道や東京、大阪などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人には残業時間に関する記述がありません。このような求人は「残業時間の目安を表記できない(=残業時間が長いケースがある)」である可能性が高いです。

そのため残業が少ない会社で働きたいのであれば、残業時間が明記されている求人を選びましょう。

登録販売者が残業代全額支給の求人を見つけるコツ

ただ、求人に表記されている残業時間は「残業代が支払われる正式な残業時間」です。そのため、会社に残業を認定されない「サービス残業」は含まれません。

当然ながら、求人に表記された「見かけの残業時間」が短くてもサービス残業が多いのであれば意味がありません。また「残業時間が多くても問題ない」という人であっても、残業代の支給されないサービス残業はしたくないはずです。

そのため残業の少ない会社で働きたいのであれば、残業時間だけでなくサービス残業の有無にも着目するべきです。

例えば中には、求人に「サービス残業なし」を明記しているケースがあります。実際に以下は、東京や神奈川、千葉などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人はサービス残業なしとなっています。このような求人を選べば、サービス残業せずに勤務することができます。

「残業代全額支給」の記載がある求人が基本

またサービス残業なしと明記されていない場合は、残業代全額支給と記されている求人を選ぶことでサービス残業の可能性を減らすことができます。このような会社は、少なくとも「残業代を支払わない前提の企業」ではないためです。

例えば以下は、愛知や静岡、京都などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人は「残業手当が全額支給される」と明記しています。このような求人を選べば、サービス残業の可能性を低くすることができます。

退店時間を記録する会社はサービス残業が少ない

また、勤務時間の計上方法でサービス残業の有無を確認することもできます。例えば正社員の勤怠をタイムカードで管理している会社は、自己申告による勤怠管理を実施している会社よりもサービス残業を行いにくいです。

これに加えて退店時間を記録している会社では、タイムカードの退勤打刻後に働くことができません。タイムカードを退勤打刻した時間と退店時間に大きな差があると違法残業とみなされるためです。そのため、退店時間を管理している企業ではサービス残業を強いられるリスクがかなり低くなります。

また、このような管理下で上司にサービス残業を強いられても、退店時間の記録をもとにして本社や労働組合などに違法残業であることを訴えることが可能となります。サービス残業して泣き寝入りすることがないのです。

そのためサービス残業したくない登録販売者は、退店時間を記録している会社を選びましょう。具体的には、職場見学や面接時などに「退店時間を記録する仕組みがあるか」を確認することが大切です。

面接官などに直接聞きづらい場合は、従業員入り口に退勤時刻を記録する端末があるかどうかを確認しましょう。多くの場合、タイムカードの打刻端末は事務所に設置されています。そのため従業員入り口に「社員証をスキャンできる端末」などがある場合、退店時刻を記録している可能性が非常に高いです。

また、勤怠管理の電子システムを導入していない会社の場合、店舗の入り口に警備員が配置されており、個別に退店時間を記録しているケースもあるので覚えておきましょう。

転職サイトを利用して求人を探す

ただ、自力でサービス残業・残業が少ない求人を探すのは困難です。求人に記されている情報は、あくまで「表向きの勤務内容」であるためです。

残業代を支給するのは会社の義務です。そのため本来、「残業代全額支給」は求人に改めて記すことではありません。また、求人に「残業時間が短い」と記している会社であっても、サービス残業が常態化しているケースがあります。

さらにドラッグストアの面接は本社(または支社本部)で行われるため、面接時に店舗の従業員入り口を通過しないケースがあります。このような場合、サービス残業の有無を自力で調べることは難しいです。

そこで不当な残業を避けたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

転職サイトの担当者は会社の内情を熟知しています。そのため転職サイトを利用すると、自力で探すよりも「実際に残業が少ない求人」を見つけやすくなります。

また、転職サイトの中には面接同行サービスを利用できるケースがあります。面接同行サービスでは担当コンサルタントが面接に付き添ってくれます。

面接に同行したコンサルタントは、残業の有無など自力では聞きづらい内容についてうまく聞き出してくれます。また、面接後の職場見学に余裕をもって挑めるようになるため、サービス残業の有無を見極めやすくなります。

ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より残業・サービス残業の少ない求人を見つけやすくなります。

まとめ

一般的に、小売業界は残業が多めの業界です。中には、サービス残業が常態化している店舗もあります。そのため小売業界が主な就職先である登録販売者は、残業なしで働くことができないと思われがちです。

ただ実際には、登録販売者は調剤薬局やコールセンターなどの内勤に就くこともできます。これらはどちらも、残業が少なめの業種です。資格を活かして内勤に就けば、登録販売者であっても残業なしを実現することができます。

また小売業界であっても、求人を精査すれば残業少なめで働くことができます。

そのため残業・サービス残業なしで働きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで不当な残業をしなくて済み、プライベートを大切にしながら勤務することが可能となります。


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