登録販売資格を取るためには費用や時間がかかります。そのため「登録販売者資格を取得したのだから、なるべく好条件で働きたい」と思う人は多いです。

このとき、登録販売者の資格を持っていると正社員就職が有利になります。年齢に関わらず働ける業態が増えますし、給料も高くなりやすいです。

では、登録販売者はパート勤務でも有利なのでしょうか? また登録販売者が好条件で働くためには、どのようにして求人を選べばいいのでしょうか?

ここでは、登録販売者のパート求人や登録販売者が好条件で働く方法について解説していきます。

登録販売者のパート求人でも優遇される

当然ながら、会社は自社にメリットのない人を優遇しようとしません。良い条件で働くためには、会社にとって有用な人材である必要があります。

そうしたとき、登録販売者はパート社員であっても「資格を持っている」という事実だけで好待遇になります。登録販売者の資格者は「資格者にしか行えない業務」があるためです。

当然、これについては時給にも反映されます。

登録販売者の時給平均は?

登録販売者は市販薬を販売できる資格です。市販薬は登録販売者か薬剤師しか取り扱うことができません。つまり、会社は「登録販売者か薬剤師を雇用するだけで扱える商品が増える」ことになります。

ただ、薬剤師は調剤・製薬での需要もあるため雇用コストがかなり高いです。そのため市販薬を取り扱っている店鋪では、雇用コストの安い登録販売者が重宝されています。

また、雇用している登録販売者が辞めて店鋪の資格者が不在となると、薬を販売できなくなります。このような状況に陥ると、顧客からの信用を失って顧客離れにつながります。そのため、資格者の退職を防ぐためにも登録販売者は好待遇で採用されるケースが多いです。

実際に以下は、東京や愛知、大阪など全国に店鋪を展開するドラッグストアの求人です。

ここには一般スタッフと登録販売者の募集が記されていますが、90円の時給差があります。登録販売者は無資格者よりも高い時給で働けるのです。

なお、登録販売者の具体的な時給は地域によって差があります。基本的には、店鋪の一般スタッフ求人よりも50~150円ほど高い時給となることが多いです。

登録販売者はシニアでも求人を見つけやすい

また、登録販売者はシニアのアルバイトであっても好条件で働きやすいです。前述のように登録販売者は市販薬を取り扱えるため、会社にとっては「登録販売者の資格者(=採用する価値がある人材)」であるためです。

また、市販薬販売に関する業務はシニアでも問題なくこなしやすいです。市販薬には重量的に軽い商品が多く販売個数も少ないため、体力を使う仕事が少ないためです。

実際に、私が過去に働いていた薬売り場には60~70代のスタッフが登録販売者として働いていました。登録販売者資格を持っていると、シニアでも働きやすい業務に好条件で就くことができるのです。

また、登録販売者のシニアアルバイトを採用している会社も多いです。例えば以下は、東京や神奈川(横浜)、埼玉などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。

この求人はシニア歓迎となっています。登録販売者資格を持っていれば、一般的に就職先がないといわれるシニアでも働くことができるのです。

ドラッグストア以外で働くことはできるのか?

また、登録販売者資格を活かせるのはドラッグストアだけではありません。市販薬を販売している会社であれば、どこでも登録販売者資格を活かすことができます。

例えば、市販薬はコンビニエンスストアやスーパーなどでも販売されています。そのため、登録販売者はコンビニエンスストアなどの販売店でも働くことができます。

実際に以下は、東京にあるコンビニエンスストアの求人です。

この求人は登録販売者を募集しています。コンビニエンスストアなどドラッグストア以外の業態でも、登録販売者資格を活かして働くことが可能なのです。

また市販薬は実店舗だけでなく、インターネット上でも売られています。このとき、薬をインターネットで販売するためには専用の問い合わせ窓口を用意しなければなりません。

このような窓口では薬や健康などについての相談を受けるため、登録販売者などの資格者が対応する必要があります。登録販売者資格は、コールセンターで活かすこともできるのです。

例えば以下は、東京にあるコールセンターの求人です。

この求人は薬の相談員として登録販売者を募集しています。登録販売者資格を持っていると、コールセンターで働くこともできます。

さらに、調剤薬局には市販薬も取り扱っているところが多いです。そのため、調剤薬局は事務職員として登録販売者を採用しているところがあります。

実際に以下は、兵庫にある調剤薬局の求人です。

この求人も登録販売者を募集しています。このように、登録販売者資格はドラッグストアだけでなく、さまざまな職種でのパート勤務に活かすことができるのです。

登録販売者のパート求人を探すコツ

なお基本的にアルバイト・パート求人は、勤務地や募集しているシフト時間などを重視して選ぶことになります。そのため、希望している地域・シフトの登録販売者求人が出ていれば仕事内容・会社に関わらず応募する人が多いでしょう。

ただ登録販売者の場合、求人を選ぶ際の注意点が一つあります。それは、「管理者要件を満たす働き方が可能か」という点です。

登録販売者が正規の資格を維持するためには、過去5年以内に2年以上の業務・実務経験が必要となります。この管理者要件を満たせなければ、研修中の登録販売者へ格下げとなります。

当然、このような事実は会社も理解しています。そのため基本的に、パート登録販売者のシフトを月80時間以下に設定する会社はまずありません。

ただ月80時間ギリギリにシフトを組まれてしまうと、やむを得ない事情で休んだ場合は「管理者要件を満たしていない月」が発生します。そのため、状況によっては正規の登録販売者資格を維持することが困難になるケースがあります。

以下のように欠勤が何度も続くと、月80時間に満たないことがあるのです。

実際に私は出産によって正社員勤務を退職した後、大型スーパーのパート登録販売者として働き始めたことがあります。このとき、会社は月84時間勤務(一日7時間×週3日)のパート社員を求めていたため、私はこの勤務時間で契約・入社することになりました。

ただ私には小さな子供がいたため、子供の病気で休んだり早退したりすることがありました。以下は、実際の給与明細です。

この給与明細では、契約時間は84時間であるものの欠勤によって実働時間が約54時間(3,245分)となっています。この月は二人の子供が交互に熱を出し、早退と欠勤によって業務・実務経験時間が足りなくなりました。

また、社内外の研修や総合レジなどの「管理者要件における業務経験と認められない業務」が発生することもかなり多かったです。契約時間が84時間であったため、欠勤なしで働いても4時間以上総合レジに入ると業務・実務経験が足りなくなったのです。

このようなこともあり、管理者要件を満たさない月が1年間に7ヶ月も発生しました。このような状況では、正規の登録販売者資格を維持することは難しいです。

そのため登録販売者がパート求人を探す際には、問い合わせ時や面接時などで「月100時間程度のシフトを組んでもらえるか」を確認することが大切になります。

見習い登録販売者はドラッグストア・調剤薬局を探す

また、ドラッグストア以外の業態は研修中の見習い登録販売者は働けません。研修中の登録販売者を採用しないケースが多いためです。

ドラッグストア以外の業態は薬の売上比率が低いため、資格者数を最低限にしてシフトを回しています。中には、時間あたりの登録販売者数が1人となる店鋪もあります。

これが、ドラッグストア以外の業態では登録販売者(=正規の資格者)しか募集していないケースがかなり多い理由です。

実際に以下は、兵庫にあるコンビニエンスストアの登録販売者求人です。

ここには、管理者要件を満たしている人を募集していることが記されています。つまり、研修中の登録販売者は応募できないのです。

これに対してドラッグストアは、薬が主力商品の一つであるため多数の登録販売者が在籍しています。中には、薬剤師が勤務している店鋪もあります。そのため、ドラッグストアであれば研修中の登録販売者でも働くことが可能です。

例えば以下は、福岡にあるドラッグストアの登録販売者求人です。

この求人は未経験の人も大歓迎となっています。つまり、登録販売者としての経験がない(=研修中の登録販売者)でも応募できるのです。

また、調剤薬局も研修中の登録販売者が働ける業態です。調剤薬局には薬剤師が駐在しているためです。そのため調剤薬局では、登録販売者が管理者要件を満たしている必要がありません。

したがって研修中の見習い登録販売者は、ドラッグストアや調剤薬局などの「市販薬販売の時間帯責任者」が常にいる店鋪・施設を中心に求人を探しましょう。

高い時給ならドラッグストア以外の業態

一方で既に管理者要件を満たしている条件は必要ですが、なるべく高い給料を得たいのであれば、ドラッグストア以外の業態をおすすめします。ドラッグストア業態はパートの登録販売者が優遇されにくいためです。

実際に以下は、北海道・札幌にあるドラッグストアの登録販売者求人です。

この求人は登録販売者の時給が940円となっています。これに対して以下は、同じ地域にあるコンビニエンスストアの登録販売者求人です。

この求人には時給1,000円以上と記載されています。同じ地域で働く登録販売者であっても、ドラッグストア以外の業態に入社すれば高い時給で働くことができるのです。

これは人材流出を防ぐため、登録販売者の待遇をドラッグストアよりも手厚くしている会社が多いからです。そのため、なるべく高い給料が欲しい人はドラッグストア以外の業態で働くことをおすすめします。

登録販売者がパートから正社員を目指すべき理由

ただ、良い待遇を求めるならばパートではなく正社員として働くべきです。どれだけ高待遇のパート勤務であっても、正社員の待遇には負けてしまします。

例えば以下は、東京や愛知、大阪などに店鋪を展開するドラッグストアの正社員求人です。

ここには、最低月給20万5,000円に加えて登録販売者手当が月額1万5,000円ほど支給されると記されています。これを日給換算すると、「22万円÷21日=1日約1万円」になります。正社員ではこれに加えて、合計で給料4回分程度のボーナスが支給されます。

また以下のように、正社員求人には多くの待遇が用意されており、利用できる制度がかなり多いです。

これに対して以下は、同じ会社のアルバイト・パート求人です。

ここには時給1,140円(17時~1,160円、20時~1,657円)となっています。これを1日8時間働く前提で日給換算すると、早番で9,120円・遅番(12~21時)でも9,697円です。アルバイト・パート社員にはボーナスの支給もないため、正社員に比べるとかなり給料が低くなります。

また、パート求人の待遇欄には交通費や従業員割引などしか記されていません。パート社員は、団体保険や時短勤務などの制度を利用できないのです。

さらにドラッグストアの登録販売者業務(店長除く)は、正社員とアルバイト・パートで大きく変わりません。特に、勤続年数が長いパート社員は正社員スタッフとほぼ同様の仕事を任されることが多いです。つまり、ドラッグストアでは同じような業務に就いていても、雇用形態がアルバイト・パートであるだけで待遇がかなり悪くなるのです。

したがって、より良い待遇を求めるのであればパート社員ではなく正社員を選ぶ方が圧倒的に良いです。

主婦でも働きやすい求人がある

このとき、中には子育てなどの家庭の事情でパート勤務を選ばざるを得ない人もいるでしょう。

ただ、このような人であっても基本的には正社員を選ぶといいです。正社員求人の中にも、プライベートと両立可能な案件があるためです。

例えば「登録販売者資格を活かして正社員職に就くためには、日曜祝日に出勤したり夜遅くまで働いたりしなければならない」と思っている人は多いです。登録販売者の主な就職先であるドラッグストアは、年中無休で夜遅くまで開店しているためです。

ただ、登録販売者資格を活かして調剤事務などの内勤求人を選べば、日祝定休・夕方退勤を実現できます。例えば以下は、埼玉にある調剤薬局の登録販売者求人です。

この求人は平日18時半退勤・日祝定休となっています。登録販売者資格を活かして調剤薬局で働くと、プライベートを優先した働き方が可能となるのです。

また、一般的に正社員はフルタイムでしか働けないと思われがちです。ただ実際には、時短勤務を利用すれば1日の労働時間を短くできます。

中には、子供が一人で留守番できる年齢まで時短勤務を利用できる会社もあります。このような求人を選ぶと、子供に負担をかけることなく正社員として働き続けることができます。

例えば以下は、神奈川(横浜)にあるドラッグストアの登録販売者求人です。

ここには、「子供が小学校5年の進級時まで時短勤務制度を利用できる」となっています。また、最長で1日あたり4時間も勤務時間を短縮できます。このような求人を選べば、子育てを優先させながら正社員待遇を受けることが可能となるのです。

なお当然ながら、正社員として働けばその分だけ経済的な不安が少なくなります。そのため「家庭を優先しなければいけないからパート勤務しかできない」と思い込まず、公私ともに両立可能な正社員求人を探しても問題ありません。

転職サイトで働きやすい正社員求人を探す

ただ、あなたが働きやすい求人を自力で探すことは難しいです。企業が提示している求人からは会社の雰囲気や内情などを判断することができないためです。

また合わない会社へ入社してしまうと、会社になじめずに早期退職してしまいやすいです。そうすると経歴に傷がついて正社員就職が難しくなり、再びパート社員へと戻ってしまいかねません。

そのため、良い条件で働きたいパート登録販売者は転職サイトを利用して正社員求人を探しましょう。

転職サイトの担当者は会社の制度や内情などを踏まえ、あなたに適した求人を紹介してくれます。そのため転職サイトを利用すると、あなたが働きやすい条件の揃った求人へ挑戦しやすくなります。

ただ、担当コンサルタントの力量には個人差があります。そのため転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、働きやすさを維持しながら正社員としてのキャリアを始めることができます。

まとめ

登録販売者資格を持っていれば、パート勤務であっても好条件で働くことができます。年齢に関わらず採用されやすくなりますし、無資格者よりも高い時給で働くこともできます。

ただ、どれだけ条件の良いパート勤務であっても、正社員の待遇にはかないません。正社員と同じ業務内容であっても、パート勤務を選ぶとかなり損をしてしまいます。

また登録販売者の主な就職先である小売業界は、経歴不問で募集している求人が多いです。中には、子育てなどの家庭事情を優先させやすい求人もあります。

そのため、なるべく好条件で働きたいパート登録販売者は転職サイトを利用してキャリア形成を始めましょう。このときは正社員まで視野に入れるといいです。そうすることで金銭的な不安が少なくなり、安定した日々を過ごすことができるようになります。


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