1つの会社に勤め上げる時代は終わり、いまでは転職を前提にキャリアプランを組むことが珍しくありません。また、昔よりも年を重ねてからの転職が成功しやすくなっています。
特に登録販売者は資格職であるため、無資格者よりも就職先に困りにくいです。そのため中には、「登録販売者資格を持っているから、何歳になっても転職できるだろう」と思っている人がいます。
ただ、あなたが30代で今の会社に不満を抱えているならば、早めに転職を考えるべきです。希望の条件での入社が叶う最後のチャンスかもしれないからです。
では30代登録販売者は、どのようにして求人を選べばいいのでしょうか？ また30代登録販売者が転職を成功させるためには、どのような点に注意したらいいのでしょうか？
ここでは、30代登録販売者が転職するコツについて解説していきます。
もくじ
なぜ30代登録販売者は転職を急がなければならないのか？
登録販売者は市販薬を販売できる資格であるため、薬を販売している業態（=小売業）で需要が高いです。そのため小売業界は、登録販売者の主な就職先の一つとなっています。
小売業界は年功序列ではなく実力主義の会社がほとんどです。そのため、「実績を上げられそうである」と判断されれば年齢が高くても採用されます。登録販売者資格を持っていれば、年を重ねても転職が成功しやすいのは事実です。
年齢制限のある登録販売者求人がある
ただ、これは「ミドル世代でも無条件で採用されやすい」というわけではありません。同じスキルを持つ若年者とミドル世代であれば、若い人材を採用するケースがほとんどであるためです。
特に、小売業界は実力があれば早期の出世が可能であるため、20～30代で店長を経験している人が多いです。そうしたとき年を重ねてから転職活動を開始すると、「若い役職経験者」という強力なライバルと戦う可能性があります。
また年齢を重ねると、応募できる求人そのものが少なくなります。これは、キャリア形成の観点から「若年層しか採用しない求人」があるためです。
実際に以下は、福岡や佐賀などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。
この求人は35歳以下の人材を募集となっています。このように、年齢を重ねると応募できなくなる求人が増え、選択の幅が狭まるのです。
そのため現在30代で転職を考えているのであれば、あなたの市場価値が低下する前に転職を成功させることが大切です。
30代登録販売者の転職求人選び
ただ「早く転職しなければならない」とむやみに就職先を選んでしまうと、合わない会社へ入社してしまいやすいです。そうすると再び退職してしまい、経歴に傷をつけてしまいます。その結果、年齢・経歴ともに不利な条件で転職活動を再開させることになります。
したがって、30代で転職を成功させたいのであれば、あなたに合った会社へ転職することが大切です。そのためにも以下を参考にして、「あなたが今どのような理由で転職したいと考えているか」を今一度見つめ直してみましょう。
仕事がきつい人は残業なし求人を選ぶ
例えば「業務量・残業が多い」「もう少しゆったり仕事をしたい」と考えているのであれば、成果主義の傾向が低い会社を選ぶことが大切です。
具体的にいうと、家電量販店やディスカウントストア、ディスカウント形態のドラッグストアなどは成果主義である会社が多く、残業やノルマなどが多めです。そのため自分のペースで仕事をしたいのであれば、これらの業態を除外して求人を探しましょう。
特に、給料にみなし残業代が含まれるケースは要注意です。みなし残業があるということは、残業することが前提の業務形態を意味するためです。
例えば以下は、北海道や東京、沖縄など全国に店鋪を展開するドラッグストアの求人です。
この求人に記載されている給料には、30時間（4万5,000円）分のみなし残業代が含まれています。つまり、この求人は月に少なくとも30時間残業が発生する可能性が高いのです。
また、みなし残業制度を取り入れている会社だと、みなし残業以外の残業も多い傾向にあります。そのため、業務負担の多さで転職を考えているのであれば、みなし残業制度を取り入れている求人を避けましょう。
一方で残業なし（または少なめ）と記されている求人は、数値・業務に追われることなくマイペースに仕事をしやすいです。例えば以下は、東京や神奈川、埼玉などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。
この求人には「残業ほとんどなし・連休取得が可能」と記されています。残業する必要がないほど個人の業務負担が少ないのです。そのため仕事のつらさから転職を考えている登録販売者は、残業少なめの表記がある求人を中心に挑戦しましょう。
店長候補の求人で高い給料をもらう
一方で高い給料が欲しいのであれば、役職候補の求人を選びましょう。店長候補の求人であれば、入社直後は給料が安くても早期にキャリアアップして給料を上げることができます。
例えば以下は、大阪や京都、福岡などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。
この求人には最短6ヶ月で副店長、3年で店長を目指せると記されています。また、入社5年で年収474万円となっている年収例も記載されています。
このとき、一般的な入社5年目の平均年収は400万円を下回っています。この会社では、早期に高収入を達成することが可能なのです。
そのため、高収入を得たい人は店長候補求人や年収例の記載がある案件を選びましょう。
正社員の登録販売者でも土日休みが可能
ただ、ドラッグストアで働くと土日に休むことができません。ドラッグストアは土日祝日も営業しています。また土日祝日は売上が多い日であるため、基本的には定休とすることができません。
ただ中には、子育てなど家庭の事情などで土日に定休が欲しい人もいるでしょう。そのため家庭を優先させて働かなければならない人は、調剤事務やコールセンターなどの内勤を選びましょう。
例えば調剤事務は資格者しか就けないと思われがちですが、無資格でも働けます。また調剤薬局は市販薬の取り扱いがあるため、調剤事務として登録販売者の求人もあります。
さらに、基本的に調剤薬局は日祝休みです。そのため調剤薬局で働くと、ドラッグストアでは不可能なカレンダー通りの休日が可能となります。
実際に以下は、兵庫にある調剤薬局の求人です。
この求人は登録販売者を募集しており、日祝が定休となっています。調剤薬局を選ぶと、登録販売者であっても日祝定休を実現できるのです。
また他にも、登録販売者はコールセンターで薬・健康に関する相談員として勤務することもできます。コールセンターは基本的に土日休みであるため、テレフォンオペレーターも土日休みを実現できる業態です。
実際に以下は、東京にあるコールセンターの登録販売者求人です。
この求人は土日祝休みとなっています。コールセンターも、登録販売者が土日に休める業態なのです。
そのため土日や日祝に休みが欲しい30代登録販売者は、調剤薬局やコールセンターなどの内勤を選びましょう。
30代の登録販売者が転職を成功させるコツ
なお、これまでに述べたような希望条件を満たした求人を見つけても、場合によっては再び退職せざるを得ないケースがあるので注意が必要です。30代はライフステージが変動しやすい時期であるためです。
例えば、女性であれば、妊娠出産によって必ず休まなければいけない期間が生じます。このとき、会社の制度・雰囲気が子育てしながら働きやすい環境でなければ復職が難しくなります。そのため、結婚・出産する可能性のある女性は子育てしながら働きやすい会社をあらかじめ選ぶことが大切です。
例えば以下は、東京や神奈川（横浜）などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。
ここには育休からの復帰率が99.2%とかなり高く、「育児のための時短勤務を小学校6年生終了まで利用できる」となっています。この求人は、子育てをしながら働きやすい環境が整っているのです。そのため、この求人はライフステージが変化しても勤続しやすいといえます。
また、登録販売者の主な就職先である小売業界は転勤を生じる業態です。ただ、結婚直後や育児中などに引越しを伴う転勤を生じると夫婦ともにストレスがかかります。そのため、結婚する予定がある人は転勤の有無を選べる会社がおすすめです。
例えば以下は、千葉や愛知、京都などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。
この求人は、「申請によって転勤範囲の異なる3つの総合職（社員）区分を選べる」となっています。そのためライフステージの変化によって転勤のための引越しすることが困難になっても、退職せずに働き続けることができます。
過去の経験を活かせることをアピールする
また30代が転職を成功させるためには、今までの経歴・スキルを新しい会社で活かせることをアピールする必要があります。
30代登録販売者には、40代登録販売者ほど「即戦力になれること」は求められません。ただ、20代登録販売者のように熱意とポテンシャルだけで転職を成功させることもできません。
特に、小売業は実績を出す能力が重視される業界です。そのため30代登録販売者が能力をアピールできずに熱意ばかり主張すると、「30代にもなって新人気分でいる」「キャリア・スキルアップを考えずに働いてきた」と判断されます。
当然ながら、面接官にこのような印象を与えてしまうと不採用となります。そのため30代登録販売者が転職を成功させるためには、「過去の経歴を新しい会社で活かせる」ことをアピールする必要があります。
例えば小売店で数値責任を負って業務に就いていた人は、実績を交えて「数値を上げられる能力」をアピールするといいです。また登録販売者としてのキャリアが長いのであれば、接客力の高さや顧客のニーズ理解が深いことなどを売り込めるでしょう。
業界未経験の場合は「過去の職種で培ったスキルを、登録販売者としてどのように活かせるか」を考えてみましょう。例えば営業職で培われるコミュニケーション能力は、登録販売者としての接客時やアルバイト・パートスタッフのマネジメントで活かすことができます。
また事務職などの正確さが問われる職種に就いていたのであれば、丁寧な商品管理や数値管理などによって店鋪のクリンネス向上・数値改善などに貢献できます。
そして、このようにして過去の経験を活かせることをアピールしつつ「新しい会社でどのようなキャリアを積んでいくか」を伝えましょう。そうすることで、明確なビジョンを持っている人材（=考える能力があり、実績を作れる人材）であることをアピールできます。
転職サイトであなたに合った求人を探す
ただ、前述のように転職の成功率は年齢を重ねるほど低下していきます。そのため、30代登録販売者が転職に失敗して退職してしまうと、年齢を重ねて市場価値が下がった状態で再び転職しなければならなくなります。
そうなると、勤務条件がどんどん悪化していき「転職活動を始める前の方が良かった」という事態に陥りかねません。30代は「登録販売者が希望の条件で転職できる最後のチャンス」かも知れないのです。
そこで、30代登録販売者は転職サイトを利用して求人を探しましょう。
転職サイトを利用すると、担当者があなたの希望に沿った求人を紹介してくれます。そのため、自力で求人を探すよりもあなたに合った会社へ転職しやすくなります。
また、転職コンサルタントはあなたと会社との間を取り持ってくれます。あなたの能力やポテンシャルなどを踏まえて勤務条件の交渉をしてくれるため、自力で交渉するよりも好条件での入社が叶いやすくなります。
ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、あなたの希望通りの転職を実現しやすくなります。
まとめ
登録販売者は資格職であるため、年齢を重ねても就職先が見つかりやすいです。
ただ、登録販売者求人の中にも年齢制限のある案件があります。30代での転職は、希望通りの就職を成功させる最後のチャンスかもしれないのです。そのため転職を考えている30代登録販売者は、なるべく早く転職活動を始めるべきです。
ただ、猶予がないからといって焦って求人を決めてしまうと、あなたに合わない会社へ入社してしまいやすいです。そうすると、早期退職してあなたの市場価値が下がった状態で再び転職活動しなければならなくなります。
そのため30代登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで、希望通りの転職を実現できて毎日を充実させることができます。
登録販売者が転職を行い、求人を探すにしても自分一人で行うのは現実的ではありません。そこで、ほとんどの人が転職エージェントを活用します。
転職サイトを利用すれば、「年収の交渉」「希望の勤務地」「労働時間の調節」を含めてすべて代行してくれるようになります。
しかし、転職サイトによって「地方在住者でも事前面談に対応している」「40代以上でも利用可能」など特徴に違いがあります。人気の転職エージェントの中でも、これらの特徴を理解したうえで、どの転職サイトを利用すればいいのか検討しなければいけません。
そこで当サイトでは、転職サイトごとの特徴について解説しています。転職では2～3社以上に登録して活動するのが基本になるものの、どの転職エージェントを利用すればいいのか理解したうえで以下のページから比較検討し、転職サイトへ登録するようにしましょう。
