世の中には自分の感情や好き嫌い、損得のみで物事を判断し、不条理を人に押し付けるタイプの人がいます。このような人がいるかぎり、理不尽な状況が好転する見込みは薄いです。

ただ、不条理を押し付けられて誠実な仕事ができなくなると、ストレスを溜めやすくなるだけではなくスキルも向上しなくなります。また、不当にキャリアを傷つけられるリスクもあります。

例外なく登録販売者の業界にも、いじめ・パワハラをする人はいます。そのため、もしあなたがパワハラ・いじめから逃れられない環境であるならば、新しい環境を探す選択肢を選ぶことが大切です。

では、登録販売者が「いじめ・パワハラのない職場」へ替わることは可能なのでしょうか? また、いじめ・パワハラがなく仕事に集中できる職場はどのようにして探せば良いのでしょうか?

ここでは、登録販売者がいじめやパワハラなどのない職場へ転職する方法について解説していきます。

登録販売者がいじめ・パワハラのない職場への転職は可能か?

登録販売者は市販薬を販売できるようになる資格です。そのため、市販薬を販売しているドラッグストアなどの小売業界で働くことが多いです。

ただ、小売業界は他の業界よりも離職率が高いことで知られています。このとき、退職に至る理由の半数以上は人間関係の問題によるものであることがわかっています。

このことから「小売業界は他の職種に比べて、人間関係の問題が起こりやすい(=いじめ・パワハラに遭う確率が高い)」と思っている人が多いです。つまり小売業界で働くことになる登録販売者は、いじめやパワハラなどに遭うリスクが高いと思われがちなのです。

小売業は離職率が高い=いじめが多い?

ただ実際には、小売業界がいじめ・パワハラの多い業界であるとはいえません。

例えば、一般的に職場でのいじめ・パワハラは、働いている人の性別が偏っている職場で起こりやすいといわれています。実際に、看護師や保育士などの女性が多い職場ではいじめが発生しやすいです。また、パワハラは建築業などの男性が多い職場で多発します。

さらにパワハラは、ノルマが厳しい職場で起こるケースもあります。例えば、不動産業界や金融業界などの営業職です。

これに対して、小売業界はスタッフの性別が極端に偏ることは少ないです。これは小売業界には非正規雇用スタッフが多いためです。

具体的にいうと、小売業界の正社員には男性が多いです。これは、一般的に小売業界が家庭・子育てとの両立が厳しい業界だといわれているためです。

一方で、小売店舗の非正規雇用は女性が多いです。そのため小売業の店舗には男女のスタッフが在籍しており、性別の偏りによるスタッフ同士のいじめが起こりにくいです。

また小売業界は、営業職に比べて個人が担うノルマの重圧が低いです。そのため、上司からノルマ未達成を強く非難されることがほとんどありません。

さらにいまでは、コンプライアンス(法令遵守)の徹底に力を入れている小売企業がかなり多いです。例えば以下は、東京や愛知、大阪など全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここにはコンプライアンスへの取り組みを推進しており、内部通報制度も充実していると記されています。このような企業では、パワハラの発覚によって当該人物の人事評価が下がります。

そのため、小売業界は他の業界に比べて、いじめ・パワハラが多い業界であるとはいえません。

実際に、営業職(置き薬販売業)から転職した知人の登録販売者は「小売業界はパワハラが少なく、叱責にも優しい」と言っていました。

また、多くの小売業スタッフが「正社員同士のいじめはほとんどない」と言っています。登録販売者として働いている私自身も、正社員スタッフ間でのいじめは見たことがありません。

そのため登録販売者は、慎重に職場を選べばいじめ・パワハラのない職場への転職が可能です。

非正規雇用スタッフによるいじめはある

ただ小売店舗の正社員スタッフは、非正規スタッフからいじめを受けることがあります。小売店舗の中には、非正規雇用のスタッフが勤続年数の長い女性のみで構成されている店舗があるためです。

非正規雇用であっても、勤続年数が長くなると店舗の実情に詳しくなります。その結果、非正規雇用スタッフが「正社員よりも知識・能力が高い」と思いやすくなります。

特に、非正規雇用スタッフ同士の仲が良いと「正社員よりも自分たちの方が優れている」という歪んだ認識を増長しやすくなります。正社員と非正規雇用の力関係が逆転し、非正規雇用スタッフが店舗運営の実権を握ってしまうことがあるのです。

このような状況が発生している店舗では、実権を握る非正規雇用スタッフが「自分たちの意に沿わない従業員」を弾いてしまいやすいです。いじめに遭いやすくなるのです。

実際に私は、いくつかの地域で登録販売者として働いてきましたが、「従業員のほとんどが勤続年数の長いパート女性で構成された店舗」では人間関係のトラブルが頻発していました。

特に、アルバイトスタッフが入社したときや正社員スタッフが他店から異動してきたときなどは、古くから在籍している人たちが新しく入ったスタッフを仲間はずれにすることが多かったです。

そのため小売業界は、正社員同士の人間トラブルよりも非正規雇用スタッフとの人間関係に注意する必要があります。

いじめ・パワハラのリスクが高い業態

ただ当然ながら、どのような職場であっても人間性に問題のある従業員はいます。

前述のように、職種を限定せずに実施された「退職の理由アンケート」では、半数以上が「人間関係の問題によって退職した」という結果が出ています。そのため、どの職種・業態を選んでも、タチの悪い人と関わるリスクをゼロにすることはできません。

ただ、いじめやパワハラなどが起こりやすい傾向にある業態はあります。そのため、いじめ・パワハラを避けたいのであれば、以下のような業態を避けるのが賢明です。

家電業界・置き薬営業などノルマが厳しい業態は避けるべき

登録販売者資格が活かせるのは小売業界だけではありません。登録販売者の資格は、市販薬を取り扱っている業態であればどこでも需要があります。

ただ、そのうちの一つである置き薬営業は、高給になりやすい一方でパワハラが常態化している企業が多いです。置き薬営業職は個人の活動が売上に大きく影響し、個人のノルマ重圧が高いためです。

実際に私が登録販売者として過去に働いていた会社では、置き薬営業のパワハラに耐えきれず転職してきた人が何人かいました。話を聞くと、「ノルマ未達になると人格を否定されるように責められる」と言っていました。中には、上司から休日に叱責の電話がかかってくることもあったそうです。

当然ながら、置き薬販売企業のすべてでパワハラが常態化しているわけではありません。ただ職種の性質上パワハラを受けるリスクは高いため、いじめ・パワハラを受けたくないのであれば置き薬営業職は避けるのが無難です。

また小売業界の中では、家電販売業はノルマが厳しい業態です。

このとき登録販売者が家電業界で働く場合、医薬品や日用品などの「ドラッグストアで扱われている商品」の担当者となります。そのため、登録販売者が家電業界で働く場合「医薬品販売の資格者だから、厳しいノルマが課せられることはない」と思っている人は多いです。

ただ実際には、家電業界では登録販売者にも担当部門(薬や日用品など)の売上ノルマが設定されます。またノルマを達成できないと、厳しく叱責されることが多いです。

また家電量販店では、薬などの担当部門だけではなくクレジットカード入会などの「キャンペーンノルマ」も課せられるケースもあります。そのため、いじめ・パワハラを避けたいのであれば、ノルマが厳しい置き薬営業や家電業界などは避けることをおすすめします。

調剤事務は人間関係のトラブルが起こりやすい

また登録販売者資格は、市販薬の販売業だけではなく調剤薬局でも活かすことができます。ただ、調剤事務も職場いじめに注意する必要がある職種です。基本的に調剤薬局は、少ない人数で運営しているためです。

特に、調剤事務員は1つの薬局に1~2人程度しか在籍していないケースが多いです。また、薬剤師は女性の多い職場です。そのため同じ職場で働く人の中に性格の悪い人がいた場合、いじめ・パワハラが起こりやすい環境となります。

さらに調剤事務では同じ空間で一緒に仕事し続けるため、いじめを避けることができません。調剤事務には転勤もないため、一度いじめが起こるとどちらかが辞めるまで悪い人間関係が続きます。場合によっては、まともに仕事ができない状況に陥ることもあります。

一方で、入社した調剤薬局に気が合う人や性格の良い人などが在籍している場合、楽しく仕事しやすくなります。転勤がない分、深い人間関係を築きやすいのです。

そのため調剤薬局で楽しく働き続けたいのであれば、職場の人間関係に着目して慎重に職場を選ぶことが大切です。

いじめ・パワハラに合わない求人選びのコツ

なお基本的に、新店オープンによるスタッフ募集を除き、ずっと求人が出ていたり頻繁に求人が出たりする企業は慢性的に従業員が足りていません。つまり、従業員が定着しにくい何らかの原因があるのです。

多くの場合、従業員が定着しない原因の多くは職場環境の悪さです。そのため、いつまでも求人が出ていたり離職率が異常に高かったりする企業はいじめ・パワハラが多いことを疑うのが基本です。

また登録販売者の場合、いくつかのコツを踏まえることでいじめ・パワハラの少ない職場を選びやすくなります。具体的には、以下のようなポイントになります。

職場の下見は必須

就職・転職先を探す際、給料や福利厚生、勤務形態などを決め手にする人が多いです。一方で、中には実際の職場を見学せずに転職先を決めてしまう人がいます。

ただ職場の下見を怠ると、現場の人間関係や雰囲気などを確かめる機会がありません。その結果、人間関係がギスギスしている職場やいじめなどが発生しやすい状況となっている職場を選ぶリスクが高まります。そこでいじめ・パワハラのない企業へ転職するためには、職場見学の実施が必要不可欠です。

このとき小売企業は複数の店舗を展開しており、配属店舗が採用後に決まることがほとんどです。そのため登録販売者資格を活かして小売企業への転職を考えている場合、複数の店舗を下見することをおすすめします。

例えば「下見した店舗がたまたま人間関係の良い現場」であった場合、それ以外の店舗の職場環境が悪いケースがあります。そのため一つの店舗しか下見せずに転職先を決めてしまうと、雰囲気の悪い職場へ配属される可能性があります。

一方で、いくつかの店舗を下見しておくと「企業の風土・性質が作り出す職場の雰囲気」が見えるようになります。そのため雰囲気の良い店舗が多い企業を見つけ出しやすくなり、いじめやパワハラなどに遭うリスクを減らすことができます。

育休取得率の高い職場は雰囲気が良い

また、育児休暇の取得率と職場復帰率の高い職場は良好な人間関係を築いており職場の雰囲気が良いケースが多いです。職場復帰できる環境ということは、「子育て中の母親を受け入れる体制が整っている」ことを意味するためです。

例えば、小さな子どもを養育していると子供の都合で急に休まざるを得ない状況が発生します。このような場合、嫌味などを言わずに休ませてくれる職場でないとワーキングマザーが働き続けることはできません。

またワーキングマザーを拒否する雰囲気が出ている職場である場合、妊婦が「職場復帰するために育児休暇を取得しよう」とは考えにくいです。従業員の「子育てしながら働く都合」を許容してくれる職場でなければ、育児休暇を取得して働き続けることはできないのです。

このことから、育児休暇から復帰する人が多い職場は「従業員の都合」を許容できる環境であることがわかります。そのため育休取得率や復帰率などが高い求人は、いじめやパワハラなどに遭うリスクが少ない傾向にあります。

例えば以下は、東京や神奈川などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには育休復帰率が100%であると記されています。つまり、他のスタッフの事情(都合)を考慮・許容することができる(=自己中心的な人が少ない)職場環境なのです。

そのため、いじめ・パワハラを避けたいのであれば育休取得率や育休復帰率が高い求人を選びましょう。

転勤ありの求人を選ぶ

ただどのようにして職場を選んでも、いじめ・パワハラに遭うリスクをゼロにはできません。一見すると性格の良い人であっても、何かのきっかけで態度が悪化する可能性があるためです。

また入社時には雰囲気の良い人しか在籍していなくても、後からタチの悪い人が入社することもあります。そのため、どれだけ雰囲気の良い企業へ入社しても、長く働いていればいじめをするような人間と同じ職場で働く機会は必ずあります。

このとき、転勤がない会社で働いている場合、いじめやパワハラなどを行う人と離れることができません。そのため、転勤のない会社でいじめなどが起こると、どちらかが退職するまでの長い間、いじめ・パワハラを受け続けることになります。

一方で転勤が発生する会社で働くと、いじめなどを受けてもいずれは転勤によって離れることができます。そのためいじめ・パワハラを避けたい登録販売者は、転勤ありの職場を選ぶことが大切です。

例えば以下は、埼玉や千葉、愛知、京都などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、全国転勤や地域内での転勤による働き方が可能であると記されています。このような企業で働けば、人間性に問題のある人と仕事することになってもいじめやパワハラなどを受ける期間を短くすることができます。

転職サイトを利用して雰囲気の良い職場を探す

これまでに述べたように、いじめやパワハラなどに遭わないためには慎重に求人を選ぶ必要があります。

ただ、さまざまな条件を満たした求人を自力で探そうとすると、かなり時間がかかります。また、求人要項からは実際の現場の雰囲気や環境が伝わりません。そのため自力でいじめ・パワハラのリスクが少ない職場を見つけるのは困難です。

そのためいじめ・パワハラのない職場へ転職したいのであれば、転職サイトを活用して求人を探しましょう。

転職サイトを利用すると、担当者が希望の条件を満たした求人をあなたに紹介してくれます。また転職サイトの担当者は、会社の内情にも詳しいです。そのため転職サイトを利用すると、よりいじめ・パワハラの少ない職場を見つけやすくなります。

ただ、転職サイトの担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より雰囲気や環境の良い職場を見つけ出しやすくなります。

まとめ

登録販売者の主な就職先である小売業界は、離職率の高さから「いじめやパワハラなどが多い業界である」と思われることがあります。

ただ小売業界は、いじめやパワハラなどの原因となる「従業員の性別の偏り」や「厳しいノルマ」などは少ないです。そのため、小売業界は特別いじめ・パワハラが多い業界ではありません。

ただ職場の選び方を誤ると、いじめ・パワハラを受けるリスクが高い企業へ転職してしまう可能性があります。特に、営業職や調剤事務などの仕事に就く場合は注意が必要です。

そのため、いじめ・パワハラを受けたくない登録販売者は転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで、人間関係の良い職場へ転職して楽しく仕事を続けることができます。


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