登録販売者は薬剤師に次ぐ薬のスペシャリストです。また登録販売者は薬剤師よりも取得が容易であり、目指しやすいという特長もあります。

ただ薬剤師に比べて難易度が低いとはいっても、登録販売者になるためには薬の成分や体の構造、薬機法などの専門的な内容を勉強しなければなりません。

また勉強するためにはまとまった時間が必要ですし、費用もかかります。登録販売者は手軽に取れる資格ではないのです。

そのため資格取得後に仕事に活かせなければ、時間とお金の無駄になります。したがって登録販売者の取得を悩んでいる人は、登録販売者という資格の特長やデメリット・リスクなどを理解しておく必要があります。

そこで、登録販売者としての仕事の魅力やメリット、デメリットなどについて解説していきます。

登録販売者という資格の魅力やメリット

登録販売者という資格の最大の魅力は、誰でも挑戦できるという点です。

例えば薬剤師は、医療用医薬品を含めたすべての薬を取り扱えます。この専門性から、薬剤師の平均年収は500万円以上となっています。ただ薬剤師になるためには、大学の薬学部(6年制)に通い、国家試験に合格する必要があります。

これに対して登録販売者は、一般用医薬品(市販薬)しか取り扱えません。そのため基本的に、年収は薬剤師よりも低くなります。一方で試験に合格して実務経験を積めば、誰でも登録販売者になることができます。

また登録販売者は、受験資格に制限がありません。極端なことをいえば、小学生でも受験することができます。そのため登録販売者は、金銭的な事情などによって薬剤師を目指せなかった人でも薬の専門家になることができます。

さらに、働きながら薬剤師を取得することはかなり困難です。最低でも6年間大学に通わなければならないためです。これに対して登録販売者は、通学の必要性がありません。そのため、仕事しながらでも資格取得に挑戦することができます。

専門知識を活かして、顧客に感謝してもらえる仕事に就ける

基本的にコンビニエンスストアやスーパーなどで働いても、商品の中身について相談を受けることはほとんどありません。顧客に聞かれることといえば、商品の置かれている場所くらいです。

これに対して登録販売者は、薬についての接客をすることになります。「どの薬を使えばいいのか?」と相談されるのです。

このとき顧客には、薬に対する知識がありません。そのため顧客の症状などをヒアリングし、適切な薬を紹介する必要があります。

例えば以下は、ドラッグストアの解熱鎮痛剤コーナーです。

このように、解熱鎮痛剤だけでもかなりの種類があります。この中から、薬の知識がない人が自分に適切なものを選ぶことは不可能です。そのため登録販売者は一般従事者(登録販売者の資格がない人)に比べて、顧客とコミュニケーションを取る必要性が高いのです。

コミュニケーションを伴う接客をすることは、簡単ではありません。間違った対応をしてしまえば、健康的な被害を生じる危険性があります。ただその分だけ、やりがいもあります。

例えば顧客に適切な接客ができた場合、後日に感謝の言葉をもらえるケースもあります。「あの薬効いたよ」「おかげさまで悩んでいた症状がなくなった」などと言ってもらえることがあるのです。

実際に私が登録販売者として働いているとき、足がつりやすいという顧客の接客をしたことがありました。ヒアリングの結果、栄養不足で足がつりやすくなっているようだったので、薬ではなくサプリメントを勧めました。

そうすると数日後にご来店頂き、「サプリメントを飲んだら次の日から足がつらなくなった。まさか、足がつっていた原因が栄養不足だとは思わなかった。薬ではなく栄養補給で症状を治せて良かった」と感激してもらいました。

このような経験は、働く上で大きなモチベーションとなります。そのため接客が好きで人の役に立ちたいと思っている人は、登録販売者の資格を取得して働くことをおすすめします。そうすることで、やりがいを感じながら楽しく仕事することができるようになります。

登録販売者を取得すると、小売業の中で将来も安定して働くことができる

登録販売者は市販薬を販売することができる資格であるため、販売業(小売業)で働くことになるのが基本です。ただ登録販売者の仕事は「薬を売る」という性質から、医療業とも関係があります。

医療業は、景気などに左右されにくく安定した業界です。わたしたち人間が、一度も病気にならずに生きていくことは不可能であるためです。

このとき日本では、病院にかかった際の医療費の一部を国が負担する仕組みになっています。そのため病院を利用する人が増えると、その分だけ国の経済的な負担が増えます。

したがって国は医療費を削減するために、病院ではなく一般用医薬品の使用を推し進めています。この傾向は、高齢者が増え続ける今後も変わらないと見込まれています。

そのため登録販売者は、今後長期に渡って需要のある資格だといわれています。登録販売者の資格を取得すれば、将来にわたって安定した業界で働くことができるのです。

実績を上げて達成感を得ることができ楽しい

基本的に事務仕事では、数値の達成目標などは設定されません。決まった作業を正確にこなすことが求められます。そのためコツコツ作業が得意な人には向きますが、単調なことが苦手な人には向きません。

これに対して登録販売者としての仕事では、店舗の性質を理解して売上を上げるための工夫を実践することが求められます。

例えばビジネスマンなどが多く来店するオフィス街の店舗では、目薬や栄養ドリンクなどを店頭に展開するようにします。一方で主婦層が多く来店する店舗では、お菓子や洗剤などを目玉商品に設定します。

また登録販売者が扱うことになる商品は、新商品が出たりキャンペーンが行われたりする機会が多いです。新商品が出ることで知識を増やすことにつながり、好奇心を満たすこともできます。

また新商品やキャンペーンなどがあると、これに応じて商品の展開・訴求方法を考えることになります。したがって登録販売者としての仕事は、事務仕事に比べて工夫の余地が大きく、やりがいを感じやすいです。

登録販売者を取得すると、高収入で待遇が良くなる

登録販売者が店舗にいれば、ドラッグストアではなくても薬を取り扱うことができます。そのため登録販売者は、ドラッグストアだけではなく、スーパーなどの一般小売店でも重宝されています。

基本的に登録販売者として働く場合、雇用形態にかかわらず一般従事者よりも給与が高くなります。例えば以下は、東京や大阪など全国に店舗を展開しているドラッグストアの正社員求人です。

ここには、登録販売者を取得している人は月1万5000円の手当が支給されることが記載されています。登録販売者の資格によって待遇が良くなり、年間18万円も収入が多くなるのです。

また以下は、全国に店舗のあるドラッグストアのパート・アルバイトの求人です。

ここには、登録販売者の資格を持っている人は時給が上がることが記載されています。このことからも登録販売者は、正社員としてだけではなくパートで働く場合も、高めの給料で働くことができることが分かります。

さらに中には、高収入を目指せる登録販売者求人もあります。例えば以下は、長野にある配置薬販売業の求人です。

ここには、「医薬品のルート営業で月40万円以上が支給された実績がある」ことが記載されています。医薬品を一般の人に販売するためには、登録販売者か薬剤師の資格を取得していることが必須条件です。つまり登録販売者資格を取得していると、このような高収入求人にも応募できるようになるのです。

登録販売者としてやりがいを感じられる職場に勤めるには?

これまでに述べたように、登録販売者としての仕事はやりがいを感じやすいです。ただ当然のことながら、どの企業であっても楽しく仕事ができるというわけではありません。求人選びを間違えると、やりがいを得られず仕事が苦痛になってしまうことがあります。

実際に現役の登録販売者の口コミ・評判の中には、「仕事が大変なばかりで、やりがいがない」「仕事を辞めたい」などと言っている人もいます。

インターネット上にはネガティブな口コミの方が集まりやすいため、「インターネット上の意見=実際の評判」ではありません。ただ、実際に楽しく仕事ができていない人もいるのは事実です。

そのため登録販売者として働こうと思っているのであれば、デメリットやリスクなどについて知り、やりがいを得られる職場の選び方を知っておくことが大切です。

薬の専門家として働きたい場合、薬担当にしてくれる店を選ぶ

おそらく、ドラッグストアに一度も行ったことがない人はいないでしょう。そのためあなたは、「ドラッグストアは薬だけを扱っている店ではない」ことを知っているはずです。実際にドラッグストアで働いたら、薬以外の商品も取り扱うことになります。

これは登録販売者も同様です。薬の専門家としてドラッグストアに就職したとしても、化粧品や消耗品などの陳列・接客に携わることが多いです。むしろ、薬の販売専属員として働けるケースの方が少ないです。

さらに中には、薬の販売にまったく携われないこともあります。

例えば薬剤師が駐在している店舗では、より高度な知識を持つ薬剤師が薬の専門家として接客することになります。そのためこのような店舗では、薬の専門家として活躍することはほとんどありません。

またコンビニエンスストアへ薬を買いに来る人は、欲しい薬を自分で判断して薬を購入するケースがほとんどです。そのためコンビニエンスストアなどで働く場合も、薬の接客をすることはほとんどありません。

接客がしたくて登録販売者を取得した場合、このような店舗ではやりがいを得られません。その結果、登録販売者としての仕事をつまらなく感じてしまいます。そこで薬の接客をして顧客の助けになりたいと感じている人は、薬の接客を任せてもらえる店舗を選ぶことが大切です。

例えば以下は、全国に店舗を展開しているドラッグストアの求人です。

ここには、「登録販売者が薬の提案に専念できる」ことが記載されています。このような求人を選ぶと、薬の専門家としてのやりがいを得ながら働くことができます。

裁量権を与えてくれる店を選ぶ

登録販売者として働く場合、チェーン展開している企業で働くことになるケースが多いです。チェーン展開している企業は、本部が企業の方針を決めます。そのため基本的には、企業の意向に則った運営をしていくことになります。

このとき現場の裁量権がほとんどない企業に就職すると、本部・上司の言われたことを正確にこなすことが求められるようになります。このような状況は楽である一方で、やりがいがなくつまらないと感じやすいです。またスキルアップも実現しにくくなります。

そのため登録販売者としてやりがいを得られる環境で働きたいのであれば、裁量権が与えられる企業に就職することが大切です。例えば以下は、埼玉県を中心に関東エリアへ店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには各店舗に裁量権があると記載されています。このような求人を選ぶと、自分で考えて仕事を進めることができるため、仕事を面白く感じやすくなります。

また創意工夫が結果につながれば、強い達成感と自信を得ることもできます。そのためやりがいを感じられる環境で働きたいのであれば、裁量権を与えてくれる企業で働くことが大切です。

転勤ありの求人を選ぶと、人間関係の悩みが長期化しにくくなる

転勤ありと聞くと、多くの人はマイナスな印象を抱くことでしょう。ただ転勤があることは、必ずしも悪いことばかりではありません。人間関係の悩みを解決する一つの手段となるためです。

例えば上司がトップダウン気質である場合、自分のいう通りに行動する部下を評価します。このとき、前述のように裁量権を与えてもらえないと、やりがいを感じにくくなります。

また場合によっては品出しや掃除などしか任されず、薬にまったく関われないケースもあります。実際に登録販売者の口コミ・評判の中には、「登録販売者として入社したのに、雑務係になっていてつまらない」という声もあります。

このような上司は、どの業態・企業にも存在します。そのため登録販売者として働く場合に限らず、このようなケースに遭遇することはよく起こります。

このとき異動のある企業で働くと、悪質な上司のもとで働く期間が短くなります。「上司にやりがいを奪われている状態」が長続きしなくなるのです。そのためやりがいを感じながら楽しく働きたいのであれば、転勤ありの企業で働くことをおすすめします。

例えば以下は、全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、全国に転勤の可能性があることが記載されています。このような企業を選ぶと、悪い上司に当たってもいずれは離れることになります。

またドラッグストア求人には、転勤エリアを限定することが可能なものも多いです。例えば以下は、福岡などの九州に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、通勤可能なエリア内での異動があることが記載されています。このような求人を選ぶと、転居することなく異動することが可能となります。そのため何らかの事情によって引っ越しができない人は、異動範囲が限定されている求人を選びましょう。

実績が評価に反映されやすい企業に入り、楽しく働き続ける

どれだけ仕事内容が魅力的であっても、それに見合う金銭的リターンがなければ働く意欲が低下していきます。そのため楽しく仕事を続けるためには、一定水準の収入確保が必要不可欠です。

このとき、一般的に販売業の収入は低めです。そのため登録販売者として働いても、販売店で働く場合は低めの年収からスタートすることが多いです。

ただドラッグストアは、早期のキャリアアップが可能な企業が多いです。例えば以下は、東京や埼玉などの関東に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、月給が19~28万円からスタートすることが記載されています。販売業の経験がない場合は、まず最低月給である19万円から始まると考えるのが無難でしょう。

ただその下には、経験2年で年収350万、経験5年で500万となっている年収例が記載されています。未経験で入社しても、早期にキャリアアップすることが可能なのです。

短期間で出世・昇給できるということは、実績が評価されやすいことを意味します。キャリアや収入などに努力が反映されれば、その分だけ仕事を楽しく感じやすくなります。登録販売者として仕事し続けたいのであれば、企業の待遇にも注目することが大切です。

登録販売者を目指す際にするべきこと

登録販売者試験は、誰でも挑戦することができます。勉強して試験に受かれば、登録販売者を名乗ることが可能となります。

ただ、「薬を販売できる登録販売者」となるためには、規定の実務・業務経験が必要です。具体的にいうと、一般用医薬品を扱っている店舗で月80時間以上の勤務を24ヶ月以上続ける必要があります。

この条件(管理者要件)を満たしていない登録販売者は、研修中の扱いとなり、薬を売ることができません。つまり、どれだけ時間や費用を費やして勉強を頑張っても、登録販売者試験に受かっただけでは薬を販売できないのです。

ただ正規の登録販売者になるための実務経験は、登録販売者になる前にも積むことができます。

そのため登録販売者試験に合格する前にドラッグストアなどで月80時間・2年以上の実務経験ある人は、合格後の手続きを済ませるだけで正規の登録販売者となれるのです。

したがって登録販売者として働きたいのであれば、試験を受ける前からドラッグストアで経験を積むことをおすすめします。そうすることで、正規の登録販売者になるまでの期間を短縮することができます。

転職サイトを活用して、資格取得しながら働ける職場を見つける

登録販売者の求人の中には、資格取得の支援制度がある企業があります。例えば以下は、東京などを中心に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、登録販売者資格取得のための通信講座などのサポート体制が充実していることが記載されています。このような企業で働くと、資格取得のための時間や費用などを格段に抑えることができます。

ただ膨大な数の求人から、このような条件の良い求人案件を自力で探すことは難しいです。そのため登録販売者として働き始めようと考えている人は、転職サイトを活用することをおすすめします。

転職サイトを利用すると、希望の条件に沿った求人をエージェントの担当コンサルタントが提案してくれます。転職活動に時間をかけずに、好条件の求人に応募することができるようになるのです。

転職活動への時間を短縮できると、登録販売者の勉強に時間を費やすことができるようになります。そして面接までに試験勉強を進めておけば、資格取得への熱量をアピールすることができます。その結果、やる気のある人だと見なされて採用されやすくなります。

まとめ

人の役に立つのが好きな人や単調な仕事が苦手な人などは、登録販売者としての仕事にやりがいを感じることができます。また登録販売者資格を取得すると、販売業に従事しながら高収入を狙うこともできます。

登録販売者の試験は、年齢や学歴などを問わず誰でも挑戦できます。また、受験のために通学する必要性もありません。そのため、仕事を続けながら資格取得することが可能です。

ただ正規の登録販売者となるためには、薬の販売店での実務経験が必要です。また企業選びを誤ってしまうと、薬の専門家として活躍できなかったり上司の言いなりになったりして、仕事がつまらなくなってしまうこともあります。

そのため登録販売者として働きたいと思っているのであれば、転職サイトを利用して条件の良い求人を探しましょう。そうすることで働きながら資格を取得し、やりがいのある仕事に従事して楽しい毎日を送ることができるようになります。


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