医療職では、通学しなければ取得できない国家資格が多く、ハードルが高いと思われがちです。そのため医療業界で働きたくても、資格取得の難易度で諦める人は多いです。

このような中、登録販売者は一から挑戦しやすい医療職の一つです。登録販売者資格は国家資格の一つでありながら、通学が必須ではないためです。

それでは、登録販売者資格は本当に通学しなくても独学で取得できるのでしょうか? また働きながら登録販売者資格を取得するためには、どのようにしたらいいのでしょうか?

ここでは、働きながら登録販売者資格を取るコツについて解説していきます。

正社員勤務しながら登録販売者資格を取れるのか?

登録販売者資格に限らず、資格・免許を通学や通信教育などで取得しようとする人は多いです。たしかに、学校や通信講座などは受講者を合格させるための組織や手段であるため、利用すると合格に必要な知識を得ることができます。

ただ当然ながら、学校や通信講座などの利用には費用がかかります。専門学校に通学するためには数十万円の出費が必要ですし、通信講座や学校の短期講座でも約5万円はかかります。

さらに、これは登録販売者の受験費用や都道府県への資格申請を含まない金額です。つまり登録販売者資格を取得するために学校の短期講座や通信講座を利用すると、最低でも10万円程度かかります。

一方で市販の参考書などを利用して独学受験すると、登録販売者試験の受験費・申請費を含めても2~3万円で済みます。独学で登録販売者資格に挑戦すれば、取得費用を半分以下に抑えることができるのです。

ただこのとき、多くの人が気になるのは「働きながらでも独学で登録販売者試験に合格できるのか」という点でしょう。独学で取得可能といっても、仕事を辞めてまで勉強時間を確保しなければならないようであれば資格取得は難しいです。

このような中、登録販売者は正社員として働きながらでも独学で取得可能な資格です。実際に登録販売者資格を正社員勤務しながら独学で取得している人は多く、私もそのうちの一人です。

登録販売者試験では、身体構造や薬の成分、薬機法などについて出題されます。このうち薬の成分は外国語を由来とする名前がほとんどであるため、覚えづらく難解に感じる人が多い項目です。

ただこのとき、ドラッグストアで働いていれば成分名と効果を理解しやすくなります。ドラッグストアには実際の薬(商品)が陳列されており、成分名や効果などを目にする機会が多いためです。

例えば以下は、ドラッグストア店舗に陳列されている市販薬です。

この商品の外箱表面には「頭痛・生理痛・発熱」という効能と「イブプロフェン」という成分が大きい文字で記載されています。このことから、イブプロフェンが頭痛・生理痛・発熱に効く成分であるとわかります。

このように、ドラッグストアで陳列されている市販薬には効能効果と薬の成分が記載されています。ドラッグストアで働くと、仕事しながら勉強することができるのです。

さらに、登録販売者資格の取得を目指す人がドラッグストアで働くべき理由がもう一つあります。それは正規の登録販売者として働くためには、ドラッグストアでの勤務経験が必要である点です。

正規の登録販売者になるためには実務経験が必須

登録販売者資格には研修中と正規の2種類があります。正規の登録販売者は自分の責任で一般客に薬を販売できる一方で、研修中の資格者は一人で薬を販売できません。そのため研修中の登録販売者は資格者としての価値が低く、需要も少ないです。

研修中の登録販売者が正規の資格者になるためには、過去5年以内に2年以上の業務・実務経験が必要となります。この条件(管理者要件)は、市販薬を扱う店舗(ドラッグストア)で既定の期間働けばクリアすることができます。

このとき正規の資格者になるための業務・実務経験は、登録販売者資格の取得前にも積むことができます。例えばドラッグストアで2年働いた人が登録販売者資格を取得すれば、申請後すぐに正規の資格者として働くことができます。

また1年ドラッグストアで働いた人は、登録販売者試験合格後にもう1年働けば正規の資格者に昇格します。登録販売者資格の取得前にドラッグストアで働くと、正規の資格者となるタイミングが早まるのです。

資格取得支援制度のあるドラッグストアだと働きながら試験合格しやすい

さらに、ドラッグストア企業の中には登録販売者資格の取得を支援している求人が多数あります。

ドラッグストアは薬が主力商品であるため、多くの資格者(登録販売者)を確保する必要があります。そのため登録販売者資格の取得を支援することで、多数の資格者を抱え込もうとするのです。

例えば以下は、愛知に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人を出している会社は資格取得をサポートしており、勉強会などを実施しています。専門学校や通信教育などを利用しないと受けられない講義を無料で受講することができるのです。

そのため資格取得支援制度のある求人で勤務すると、働きながら登録販売者試験の合格を実現しやすくなります。もちろん、その分だけお金の節約にもつながります。

資格取得支援制度のあるドラッグストア求人の選び方

ただ「登録販売者資格の取得支援制度がある」と記載されている求人の中には、実際に制度を利用することが難しい場合もあります。

例えば制度が形骸化していて、制度そのものが店舗従業員に周知されていないケースなどです。資格取得支援制度を利用するためには、店舗配属後に上司(店長)に依頼することになります。このとき上司が制度について知らないと、案内してもらえなかったり制度の利用を断られたりしやすいです。

また、制度の内容も会社によって異なります。市販の参考書に記載されているような内容をダウンロード印刷できるだけの企業がある一方で、薬剤師などの講師を招いてセミナーを開催している企業もあります。どちらの方が勉強しやすいかは一目瞭然です。

そのため働きながら登録販売者資格を取りたいのであれば、資格取得支援制度の内容を詳細に記載している求人を選びましょう。例えば以下は、東京や神奈川、大阪など全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人だと、地域の傾向に合わせたテキストを利用できたり定期研修・模擬試験などを受けたりすることができます。また資格取得率がほぼ100%となっていることからも、資格の取得しやすさがわかります。

このような求人を選べば、働きながらでも問題なく登録販売者試験に合格することができます。

郊外型店舗は先輩に教えてもらうことができる

また同じ資格取得支援制度のある求人であっても、働く店舗の性質によって勉強できる内容や勉強方法などが異なります。

例えば郊外にあるドラッグストアは、駅前などにある都市型店舗よりも来客数が少なめです。手が空く時間が多く、品出し・前出しに時間をかけられます。そのため、売り場メンテナンス時に実際の商品を見ながら勉強しやすい環境だといえます。

また郊外型のドラッグストアであれば、顧客がいない時間を見計らって現役の薬剤師・登録販売者に教えてもらうこともできます。テキストだけでは理解しづらいポイントであっても、知識のある先輩から教えてもらえば理解しやすくなります。

そのため、ゆったりした環境でじっくりと勉強したいのであれば、郊外に店舗を多く展開しているドラッグストアを選ぶといいです。

・郊外型のドラッグストアでは接客のコツを習得できない

なお登録販売者試験では薬や身体、薬機法などについての出題はありますが、具体的な接客方法については問われません。そのため試験に受かっただけの知識では、実際の薬の接客をこなせないケースがほとんどです。

このとき、郊外型のドラッグストアは店舗面積が広く、薬売り場と総合レジが離れた場所にあります。中には、薬専用のレジが設置されている郊外ドラッグストアもあります。このような環境では、資格を持つ先輩が離れた場所で作業するため、彼らの接客内容を知ることができません。

郊外型のドラッグストアでは、薬の接客に役立つ知識を覚えにくいのです。そのため郊外型のドラッグストアで働きながら登録販売者資格を取得した人は、資格取得後の接客で苦労する傾向が強いです。それにも関わらず、郊外のドラッグストアでは登録販売者が店舗に一人だけのこともあり、一人で何とかしなければいけません。

登録販売者試験に合格しただけでは、一人前の登録販売者として勤務することが難しいです。そのため郊外型のドラッグストアで登録販売者資格の取得を目指す場合は、店舗の接客マニュアルや市販の接客手引きなどで資格取得後も勉強を続ける必要があります。

都市型店舗は先輩の接客を盗み聞きできる

これに対して都市型のドラッグストアは、店舗が狭く総合レジと薬売り場の位置が近いです。そのため先輩の接客を盗み聞きし、実際の接客方法を学ぶことが可能です。

実際に私は都市型のドラッグストアで働きながら勉強し、登録販売者資格を取得しました。試験合格前から実際の接客を聞いて学んでいたため、資格取得後、すぐに登録販売者として接客にあたることができました。

ただ都市型のドラッグストアは店舗規模に対して売上・来客数が多く、忙しい店舗がほとんどです。そのため勤務中に勉強時間を確保することが難しく、時間を取って先輩に勉強のコツなどを聞くことはできない環境です。

そのため都市型ドラッグストアでの勤務は、自宅で登録販売者試験の勉強を十分にできる人に向く環境といえます。

資格取得支援制度のあるドラッグストアに受かるコツ

なお基本的に、ドラッグストアで正社員として働く人は登録販売者資格を持つのが前提になります。そのため無資格の人を募集している場合であっても、登録販売者資格を取得する意向がない人はドラッグストアで採用されないのが基本です。

また登録販売者資格を取得するつもりであっても、「資格取得支援制度を利用して登録販売者資格の取得を考えている」とだけ言うと、面接官の心象が悪いです。自力で試験に受かろうという気概を感じられず、他力本願のような印象を与えるためです。

そのため資格取得支援制度のあるドラッグストアを受ける際には、独学で勉強中であることをアピールしましょう。

具体的には、「現在、登録販売者試験合格に向けて勉強中。御社の資格取得支援制度を利用してより知識を深め、最短で合格を目指したい」などと表現するといいでしょう。

転職サイトで資格取得支援制度のある求人を探す

また資格取得支援制度のあるドラッグストアへ転職して登録販売者試験の合格を目指すのであれば、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

前述のように、資格取得支援制度の内容は企業によって異なります。また、求人には企業が用意している資格取得支援制度のすべてが記載されているわけではありません。支援制度の詳細を知るためには、企業研究を実施する必要があります。

当然ながら、登録販売者試験の勉強と並行して企業研究に時間を割くのは困難です。また企業研究に時間をかけすぎると、希望条件を満たした求人の応募が締め切られてしまうリスクもあります。

このような中、転職サイトを利用すれば担当者が登録販売者資格を取りやすい制度の整っているドラッグストア求人をあなたに紹介してくれます。そのため試験勉強の時間を確保することができ、求人に応募し損ねるリスクもなくなります。

ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、よりあなたが勉強しやすい環境のドラッグストア求人へ挑戦しやすくなります。

まとめ

登録販売者試験で出題される内容の一部は、ドラッグストアで働きながら学習することができます。そのため登録販売者資格は、働きながらでも独学にて取得することが可能です。

また資格取得支援制度のあるドラッグストアで働けば、専門家が作成した上質なテキストを入手したり、講義・模擬試験を受けたりすることができます。そのため登録販売者資格を取得したいのであれば、資格取得支援制度の整っているドラッグストアを選びましょう。

ただ、資格取得支援制度の内容は企業によって異なります。中には制度が周知されておらず、実際に利用するのが難しくなっているケースもあります。

そこで働きながら登録販売者資格を取得したい人は、転職サイトを利用して資格取得支援制度が充実している求人を探しましょう。そうすることで最短で試験合格を実現し、薬の専門家として活躍できるようになります。


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