子供が小さいうちは、家事・育児に時間がかかります。生活のほとんどを介助してあげなければいけないですし、コミュニケーションを取る時間が短いと子供の情緒が不安定になります。そのため、小さな子供を育てている母親は時短勤務を活用します。
ただ登録販売者が働く小売業界は、アルバイト・パートが多い業界です。そのため「小売業界での時短勤務=パート勤務になる」という認識の人が多いです。
では、登録販売者が時短勤務制度を利用して正社員勤務を続けることはできるのでしょうか? また時短勤務を利用したい登録販売者は、どのように求人を選べば良いのでしょうか?
ここでは、子育て中の登録販売者が時短勤務を利用する方法について解説していきます。
もくじ
子持ち登録販売者は時短勤務が可能か?
時短勤務は正社員(正規雇用)のまま就業時間を短くする働き方のことであり、パート勤務(非正規雇用)とは異なります。
時短勤務を利用すると、正社員の給与形態・待遇を維持しながら勤務時間を短くできます。そのため小さい子供を育てながら働くのであれば、パート勤務ではなく正社員として時短勤務する方がいいです。
また、時短勤務は「管理監督者を除く、3歳未満の子供を養育している一般的な労働者」であれば誰でも取得することができます。これは法律で定められます。そのため、3歳未満の子供を育てている人は会社に申し出れば時短勤務を利用できます。
待遇に時短勤務の記載がない企業は避ける
ただ、法律上は時短勤務を利用できる人であっても、実際に時短勤務を利用できるかどうかは会社の性質・雰囲気によります。
具体的にいうと、条件を満たしている人が会社に「時短勤務を利用したい」と申し出れば、勤務時間を短くすることはできます。事業者は時短勤務希望の申し出を受け入れる義務があるためです。
しかし時短勤務制度に理解がなかったり利用者が少なかったりする職場では、時短勤務を利用することによって不当な扱いを受けやすいです。
特に、小売業界には低賃金で働いている短時間勤務スタッフ(=アルバイト・パート)がいます。そのため中には、時短勤務を利用すると降格したりパート勤務を促されたりするケースがあります。
したがって時短勤務を利用したいのでれば、時短勤務を利用しやすい会社を選ばなければなりません。
例えば以下は、東京や神奈川、大阪など全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。
このように時短勤務の表記があり、時短勤務を利用する人の応募も想定して求人が出されています。このような表記のある求人は、実際に時短勤務を利用しやすい職場環境であるといえます。
一方で以下は、千葉や愛知、京都などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。
ここの待遇欄には、福利厚生項目が多いにも関わらず「時短勤務」という表記がありません。つまり時短勤務を利用する人に向けて求人を出していないのです。このような表記の職場は、時短勤務を利用しづらい可能性が高いです。
そのため小さな子供を養育している子持ち登録販売者は、時短勤務を利用しにくい職場を避けて求人を選ぶ必要があります。
時短勤務は一定期間勤続しないと利用できない
ただ待遇欄に時短勤務の表記がある企業であっても、入社後すぐに時短勤務を利用できるとは限りません。法律で定められている時短勤務の対象者となるためには、いくつかの条件を満たす必要があるためです。
具体的にいうと、時短勤務を利用できるのは1日6時間・週3日以上の勤務を1年間以上勤続した人です。そのため正社員として働いていても、勤務期間が1年未満の人は法律上の時短勤務の対象者とはなりません。
実際に以下は、東京や大阪、兵庫などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。
ここには、時短勤務制度が一定期間勤続した後ではないと利用できないことが記されています。基本的に、入社直後は時短勤務を利用できないのです。
ただ中には、まれに独自の制度を設けることによって入社直後から時短勤務を利用できるようにしている求人もあります。
例えば以下は、富山にあるドラッグストアの求人です。
この求人には、勤務時間欄に「時短勤務の相談が可能」と記されています。つまり、入社直後に時短勤務を利用することができるのです。入社後すぐに短時間勤務したい場合は、このような表記のある求人を探しましょう。
子持ち登録販売者が時短勤務を活用する方法
法で定められている時短勤務では、1日あたりの労働時間を2時間ほど短縮できます。例えば1日の就業時間が8時間である場合、6時間勤務に短縮することが可能です。
ただ企業によっては、より柔軟な働き方が可能なケースがあります。
例えば1日8時間・週3日勤務にして、週の労働時間を40時間から24時間に減らせるケースがあります。ライフスタイルに合わせて勤務時間の短縮方法を選ぶことができるのです。
このとき、週3日勤務を選ぶと保育園激戦区での入園が有利になります。
週5日の時短勤務では、保育園へ入園できなければ就業が難しいです。認可外保育園を利用しなければならないためです。
認可外保育園の保育料は認可保育園よりも割高です。そのため、時短勤務によって給料が減っている状態では家計への負担がかなり重いです。
また認可保育園の一時保育には日数制限があることがほとんどです。実際に以下は、東京にある認可保育園の一時保育についての記述です。
ここには、一時保育の利用は週3日までであると記されています。認可保育園の一時保育では、週5日勤務が不可能なのです。
一方で時短勤務を利用して週3日勤務にすると、一時保育を利用して働き始めることができます。さらに一時保育を利用すると、自治体から「保育の必要性が高い」と判断されます。その結果、認可保育園に入所する優先順位が高くなるのです。
そのため認可保育園に入れず働けていない子持ち登録販売者は、時短勤務の利用方法を工夫できないか会社に相談しましょう。
子育て中の登録販売者が時短勤務しやすい求人を探すコツ
ただ、実際に時短勤務を利用するためには求人選びを慎重に行う必要があります。前述のように、中には時短勤務を利用しづらい企業があるためです。
また、義務化されている法定の時短勤務制度は最低限の基準です。そのため、法律で定められている時短勤務制度しか導入していない企業は、家庭と仕事を両立させやすいとはいえません。
家庭と仕事を両立させたいのであれば、会社独自の時短勤務制度を定めている求人を選ぶことが大切です。具体的には、以下のような基準で求人を選びましょう。
時短勤務を利用できる期間の長い企業を選ぶ
法律上、子供が3歳の誕生日を迎える前月まで時短勤務を利用できます。ただ、子供が3歳になったからといって急に家事・育児の負担が減るわけではありません。まだ多くの介助が必要な年齢です。
また、子供が小学校へ上がると学童保育を利用して働くことになります。ただ、学童保育が利用できるのは小学3年生までの学校が多いです。中には、小学1年生までしか学童保育を利用できない学校もあります。
このような学校に通っている場合、時短勤務を延長できなければ小さな子供を一人で留守番させなければいけなくなります。そのためママ登録販売者が正社員として長く働き続けたいのであれば、時短勤務を利用できる期間が長い求人を選ぶことが大切です。
例えば以下は、東京や愛知、大阪などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。
ここには、時短勤務が中学1年生になるまで利用できることが記されています。子供が小学生のうちは時短勤務が可能なのです。
このような求人を選べば、子供を一人にすることによるリスクを回避できます。そのため育児中の登録販売者は、時短勤務の利用可能期間が長い求人を選びましょう。
短縮可能時間が長い企業を選ぶ
前述のように、法律で定められている時短勤務は1日の就業時間が6時間です。ただ、この勤務形態では子供を一人にしてしまうリスクが生じます。
例えば、小学校2~3年生には5時間授業の日があります。5時間授業の日は終了時間が15時前になります。そのため学童保育を利用できない場合、15時過ぎには帰宅することになります。
ただ1日の就業時間が6時間の場合、9時始業で終業が16時になります(休憩含む)。1日の就業時間が6時間だと、小学校低学年の子供を一人にしてしまう時間が生じるのです。そのため子育て中の登録販売者は、短縮可能時間が長い求人を選ぶことが大切です。
例えば以下は、東京や神奈川・横浜などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。
ここには、勤務時間を4時間短縮して働くことが可能であると記されています。始業時間が9時である場合、13時には終業することができるのです。
このような求人を選べば、小学校低学年で学童保育を利用できなくなっても働き続けることが可能となります。
育休復帰率が高い職場は子育て経験者が多い
さらに、育休から復帰している人が多い職場は時短勤務を利用しやすい可能性が高いです。「育休から復帰している=子育て中の人が働きやすい環境である」ためです。
また、子育てを経験している人は「子育てと仕事の両立の大変さ」を知っています。そのため育休から復帰している人が多い職場は、時短勤務を利用することに理解を得やすいのです。
例えば以下は、東京や神奈川などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。
ここには育休からの復帰率が100%であることが記されています。この会社は育児経験者が多く、子持ち登録販売者が時短勤務を利用しやすい環境だといえます。
そのため時短勤務を利用しやすい子持ち登録販売者は、育休復帰率の高い求人を選びましょう。
子育て中の登録販売者が時短勤務できる企業に転職するコツ
小売業は女性が活躍しやすい業界です。そのため小売業界の中には、独自の子育て支援制度を設けて、子育て中の人が働きやすい環境を整えている企業は多いです。
ただ企業からしてみれば、短時間勤務するスタッフを優遇することにはリスクがあります。フルタイムで働いている人に不満が溜まる可能性がありますし、短時間勤務では就ける業務やスキルアップなどに限界があります。
特に、小売店舗にはアルバイトやパートなどの就業時間が短いスタッフもいます。能力・働き方が変わらないのであれば、時短勤務を利用する正社員よりもパートスタッフの方がコスト面で優秀です。
そのためどれだけ制度が整っている会社へ転職しても、あなたの態度・取り組み方次第では時短勤務を利用しづらくなるので注意が必要です。
例えば「会社の制度を利用しているだけ」と大きな態度を取っていると、反感を買いやすくなります。そのため、時短勤務を利用するのであれば「他のスタッフに負担をかけている」という謙虚な気持ちでいることが大切です。
時短勤務を利用したいだけの人は採用されない
また時短勤務では、こなせる業務量が物理的に減少します。また基本的に、時短勤務中は残業なし・少なめで働くことになるため、責任ある仕事にも就きにくいです。
このような環境下でアルバイト・パートと意欲・能力を差別化できなければ、会社にとっては「コストが高いだけの人材」となります。面接官に「高待遇と短時間勤務を両立させたいだけの人である」という印象を与えると、採用に至らないのです。
そのため時短勤務を利用する予定の会社に採用されたいのであれば、正社員として働く意欲を明確に提示することが大切です。
例えば「時短勤務しなければいけない家庭環境であるが、やりがいのある仕事に就きたい」と伝えると、「正社員としての責任を負える人材である」とアピールすることができます。
また、「時短勤務の終了後にはキャリアアップを目指したい」と伝えるのも有効です。前向きで努力する人材である印象を与え、将来性を買われて採用されやすくなります。
転職サイトを利用して求人を探す
前述の通り時短勤務はどの会社でも利用できるものの、家庭と仕事を両立できる環境は限られています。就職先を誤ると時短勤務をうまく活用できず、退職につながりやすくなります。
ただ、条件の良い時短勤務制度がある企業を自力で探すのは困難です。求人には時短勤務制度の詳細が記されていないケースが多いためです。
そこで時短勤務を利用したい子育て中の登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。
転職サイトの担当コンサルタントは、求人には記載されていない詳細な情報も把握しています。また企業の内情にも詳しいため、転職サイトを利用すると時短勤務を利用しやすい求人を見つけやすくなります。
ただ、担当コンサルタントの力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より育児と仕事を両立しやすい企業へ入社しやすくなります。
まとめ
時短勤務を利用すると、正社員の待遇のまま勤務時間を短縮できます。そのため勤務時間を短くしたいのであれば、パートではなく正社員の時短勤務制度を利用する方が良いです。
このとき、育児などの事情によって従業員が短時間勤務を希望した場合、その希望を叶える義務が会社側にあります。また、時短勤務を希望したことによって従業員を不当に扱うことは禁止されています。
ただ中には、時短勤務を利用しにくい会社があります。そのためママ登録販売者が育児と仕事を両立させるためには、時短勤務を利用しやすい職場で働く必要があります。
そこで育児中の登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで時短勤務を活用しながら働くことができ、育児しながらでもキャリアを積むことが可能となります。
登録販売者が転職を行い、求人を探すにしても自分一人で行うのは現実的ではありません。そこで、ほとんどの人が転職エージェントを活用します。
転職サイトを利用すれば、「年収の交渉」「希望の勤務地」「労働時間の調節」を含めてすべて代行してくれるようになります。
しかし、転職サイトによって「地方在住者でも事前面談に対応している」「40代以上でも利用可能」など特徴に違いがあります。人気の転職エージェントの中でも、これらの特徴を理解したうえで、どの転職サイトを利用すればいいのか検討しなければいけません。
そこで当サイトでは、転職サイトごとの特徴について解説しています。転職では2~3社以上に登録して活動するのが基本になるものの、どの転職エージェントを利用すればいいのか理解したうえで以下のページから比較検討し、転職サイトへ登録するようにしましょう。