どのような業務内容であっても、仕事は効率よく進めることを求められます。そのため業務内容に関わらず、仕事では達成目標が設定されることが多いです。

ただ必達目標であるノルマが設定されると、モチベーションが下がったりストレスを溜めたりしやすくなります。そのため、ノルマなしの環境で働きたい登録販売者は多いでしょう。

では、登録販売者がノルマなしで働くことは可能なのでしょうか? また登録販売者がノルマなしで働くためには、どのような求人を選べばいいのでしょうか?

ここでは、登録販売者がノルマなしでストレスなく働く方法について解説していきます。

ノルマが辛い登録販売者が避けるべき業態

基本的に、会社の業績に直接的な関係のある仕事ほど達成すべき目標が厳しくなっていきます。そのため、個人の実績が会社の業績に強い影響を与える営業職はノルマが課せられやすい職種です。

これは、登録販売者業界も例外ではありません。例えば置き薬営業(配置薬販売)は、登録販売者職の中でもっともノルマが激しい仕事です。

実際に、私の知り合いには置き薬営業職から小売業界へ転職した登録販売者がいます。この人は「給料は営業職の方が良かったが、毎月のノルマが嫌だったため転職した」と言っていました。登録販売者であっても、営業職を選ぶとノルマからは逃れられなくなるのです。

そのためノルマを避けたいのであれば、配置薬営業の求人は避けましょう。

営業以外にもノルマはあるのか?

また営業以外でも、ノルマを課せられやすい登録販売者職があります。それは、価格競争の激しい小売企業でのスタッフ職です。

商品の値段を下げると、その分だけ商品1点あたりの利益が減少します。例えば以下は、東京や大阪など全国に店舗を展開する大手ディスカウントストアのPOPです。

この店舗は、近隣店舗の商品価格を調査してライバル店より154円安い売価を設定しています。仕入れ価格が同じである場合、このディスカウントストアは競合店よりも商品1つあたりの利益額が154円少なくなるのです。

そのため売価競争の激しい小売店では、さまざまな工夫をこらして利益額を向上させなければ経営が成り立ちません。人件費をギリギリまで削ったり、陳列や展開などを工夫したりして利益を確保しているのです。

そのため、価格競争を行う店鋪は売上金額・利益額などの数値にシビアにならざるを得ません。このことからディスカウントストアや家電量販店などの「他店と売価競争を行う業態」は、スタッフ個人に対する厳しい数値目標(=ノルマ)が課せられやすいです。

このとき「ディスカウント」という表記は「顧客にお買い得であることを示すためのアピールである」と思っている人は多いです。

ただ実際には、ディスカウントを表記している店鋪は経営・運営方法が異なります。具体的には、取引先や取引方法などが一般的な小売店と異なっていたり、従業員個人の業務量が多かったりします。

そのため、ディスカウントを売り出しているドラッグストアは「数値にシビアな経営・運営方針を取っている」と考えるのが正解です。

例えば以下は、大阪や京都、福岡などに店鋪を展開するドラッグストアのホームページです。

ここには、ディスカウントドラッグという表記があります。このような表記のあるドラッグストアは売上額のノルマを課せられる可能性が高いです。

また店名に「ディスカウント」が含まれない「ディスカウント形態のドラッグストア」も存在するので注意が必要です。例えば以下は、北海道や東京、沖縄などに店鋪を展開するドラッグストアのホームページです。

このドラッグストアの店名にはディスカウントの文字はないものの、「激安でおなじみ」と記されています。つまり、このドラッグストアはディスカウント形態の店舗なのです。

そのためノルマを避けたいのであれば、「ディスカウント」「激安」などを売りにしている小売企業を避けることが大切です。

ノルマがしんどい登録販売者がストレスなく働ける求人

なお小売業では、ディスカウントストア・家電量販店でなくても、目標を課せられることは避けられません。小売業では商品を売らないと経営が成り立たないため、店舗で働く従業員には必ず数値目標が設定されます。

そのため、登録販売者資格を活かして小売業界で働くのであれば、どのような営業方針の会社へ入社しても「目標達成へ向けて仕事を進める必要がある」ということには変わりません。

ドラッグストア以外はきつい推売ノルマがない

また登録販売者資格を活かしてドラッグストアへ入社する場合、推売(推奨販売)商品のノルマが課せられるケースが多いです。ドラッグストアでNB品(パブロンなどのメーカー市販薬)ばかり販売すると、薬部門の利益額がかなり少なくなるためです。

有名メーカーの販売するNB品は、知名度・人気が高く取り扱っているだけで売れていきます。

ただNB品はテレビCMなどに多大なコストがかかっているため、仕入原価が高めであるケースが多いです。また近隣店鋪と競合したり目玉商品を作ったりするために、売価を下げざるを得ないケースもあります。

そのためドラッグストアのほとんどは、NB品と処方の似たプライベートブランド商品(PB品:ドラッグストアのオリジナル商品)をラインナップしています。

PB品はNB品に比べて仕入原価がかなり低いです。そのためNB品の代わりにPB品を売ると、その分だけ利益率が高くなっていきます。このようなことから、ドラッグストアではPB品を売ることが推奨されています。

またPB品だけでなく、取引先との契約などで特定の商品を推売することもあります。医薬品だけでなく、化粧品や健康食品などの推売ノルマが発生するケースも多いです。ドラッグストアでは、推売ノルマを課せられる可能性が高いのです。

一方で、ドラッグストア以外の小売店では推売ノルマがないケースがほとんどです。ドラッグストアに比べて薬の売上規模が低いためです。

ドラッグストア以外の店舗であっても、市販薬のPB品や「PB品に相当する低原価の商品」などの取り扱いはあります。そのため、NB品の代わりにPB品を売るように指導されることが多いです。

実際に、以下は北海道にあるスーパーの薬売り場です。

ここには有効成分が同じ風邪薬が2種類並べて陳列されており、「同じ効果でこの価格」というPOPが付けられています。ドラッグストア以外の店舗であっても、NB品ではなくPB品を積極的に販売しているのです。

ただ、ドラッグストアは「薬を買う目的で訪れる人」の来店がメインである一方で、ドラッグストア以外の店舗は「他の買い物のついでに薬を買う人」が多いです。そのため、きつい販売ノルマを設定できるほど薬を購入する顧客がいません。

このことからドラッグストア以外の小売店では、推売商品はあるもののノルマが課せられるケースは少ないのです。

ドラッグストアでもノルマなし求人はある

ただ、ドラッグストアでもノルマなしで働ける求人があります。具体的にいうと、接客に力を入れているドラッグストアではノルマなしで働けるケースが多いです。

個人に販売ノルマを設定すると、ノルマを達成するために顧客への売り込みが強くなりやすいです。顧客の意向を無視して、無理やり売りつける社員も発生しやすくなります。

このような状況になると、顧客からの信頼を失ってしまいます。その結果、「値段が高くてもかまわないから、信頼できる店舗で安心して買い物をしたい」と考えられてしまい、最終的に顧客を失って価格競争しなければ勝ち残れなくなってしまいます。

そのため、過度な価格競争に参加せず「信頼と安心を売りにしているドラッグストア」は、従業員にノルマを設定しないケースが多いです。

例えば以下は、東京や神奈川、愛知などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人は販売ノルマがなく、「顧客に寄り添ったサービスに力を入れている」となっています。この会社では、従業員にノルマを課さずに誠実な接客をすることを求めているのです。

そのため、ノルマのないドラッグストアへ入社したいのであれば、丁寧・誠実な接客に力を入れている会社を選びましょう。

コールセンター・調剤事務にはノルマがない

また基本的に、内勤にはノルマがありません。内勤の仕事内容は直接的に業績へ影響しないため、ノルマを課す必要がないからです。

登録販売者資格を活かせる内勤業務には、コールセンターでのテレフォンオペレーターや調剤事務などがあります。市販薬は通販や調剤薬局などでも販売されているため、これら施設でも登録販売者の需要があるのです。

例えばコールセンターでは、市販薬通販の受付窓口を担当します。また場合によっては、商品お届け後などに発信業務を行うこともあります。

このとき、コールセンターでは効率良く受発信業務を行うことが求められます。そのため電話業務終了後の入力作業を迅速に済ませ、多くの電話を受けるように指導されます。ただ、商品販売などのノルマが課せられることはありません。

また調剤薬局では、効率よく事務・会計作業を進めなければ患者に迷惑がかかります。そのため、素早くレセプト処理することが求められます。

ただ調剤事務の仕事は、調剤薬局の業績(売上)へ直接的に影響することがありません。また調剤薬局で取り扱われている市販薬の種類はかなり少なく、購入する顧客も限定されています。調剤薬局ではドラッグストアのような推売ノルマが発生しないのです。

そのため、ノルマなしで働きたい登録販売者は、コールセンターや調剤薬局などで働くことも視野に入れるといいでしょう。

登録販売者がノルマなし求人を見つけるコツ

なお、ノルマを課せられることを好む人は当然ながらいません。そのため、ノルマのある会社であっても、求人に「ノルマあり」とは記さないのが基本です。

また「ノルマなし」と表記していても、実際には従業員にノルマを課す求人もあります。実質的にノルマであるにも関わらず、「ノルマではなく目標である」として達成を強要させるケースがあるのです。

実際に、就職関連の口コミには「ノルマなしの求人に応募したのに、実際にはノルマを課せられた」という声が多いです。そのため、求人に記載されている「ノルマなし」の文言を妄信せず、きつい求人かどうかを見極めるコツを理解しなければいけません。

事務所の掲示物を確認する

このとき、もしあなたが職場見学や面接時などに事務所を訪れる機会があるのであれば、掲示物に注意することをおすすめします。個人の業績・成績を事務所に張り出す会社は、従業員にノルマを課すケースが圧倒的に多いためです。

通常、店舗・事業所の売上目標などは、どの業態・会社であっても掲示されていることが多いです。例えばコールセンターであれば、一日の発信回数や受信回数などが張り出されています。

ただ従業員にノルマを課さない会社であれば、個人名を用いた掲示物を張り出しません。個人の業績を掲示すると「実力のない人」が明瞭になってしまい、職場の雰囲気が悪化しやすくなるためです。

これを言い換えると、個人の業績を張り出しているということは「従業員に劣等感や焦燥感を与えてでも、目標を達成させようとしている」ことになります。つまり、従業員に厳しい目標(=ノルマ)を課しているのです。

そのため、ノルマを避けたいのであれば事務所に個人の業績ランキングなどを掲示している会社は避けるべきです。

転職サイトでノルマなし求人を探す

ただ、入社前に事務所の掲示物を確認できないケースも多いです。また、求人票・求人案内だけでは会社の実態のすべてを知ることはできません。

そのため自力で求人を探すと、入社後に「ノルマのない会社へ入社したはずなのに、ノルマを課せられる」というケースに陥りかねません。

そこでノルマなしで働きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

転職サイトの担当者は会社の内情を熟知しており、あなたの希望条件を満たした求人を紹介してくれます。そのため転職サイトを利用すると、ノルマなしで働ける求人を見つけやすくなります。

ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、ストレスなく仕事を遂行できる会社へ入社しやすくなります。

まとめ

どのような業態・職種であっても、仕事をする以上は基本的に達成目標が設定されます。特に、登録販売者は市販薬を販売する資格です。そのため登録販売者職の中には、厳しい数値目標(=ノルマ)を課せられる求人が存在します。

ただ、登録販売者であってもノルマなしで働くことは可能です。例えば、顧客との関係性を大切にする小売店は、従業員にノルマを課さないケースが多いです。ノルマを設定すると顧客本位の接客を行わない人が増えやすくなるためです。

しかし求人に「ノルマなし」と表記されていても、実際にはノルマを課せられるケースがあります。そのため、登録販売者がノルマを避けるためには慎重に求人を選ばなければなりません。

そこでノルマなしで働きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで、ストレスなくあなたのペースで仕事を進めることが可能となります。


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