登録販売者は市販薬を販売できるようになる資格であるため、市販薬を販売している小売店で需要が高いです。

ただ小売店勤務は体力仕事が多く、立ちっぱなしになることも多いです。また顧客対応があるため、身だしなみにも気をつけなければなりません。そのため小売店勤務を望まない登録販売者も多いです。

このとき、医薬品は小売店だけではなくネットショップでも販売されています。市販薬を取り扱っているということは、登録販売者の需要があることを意味します。登録販売者は薬のネット通販事業で内勤することも可能なのです。

それでは、登録販売者は薬のネット通販会社でどのような業務に就くのでしょうか? また登録販売者がネット通販求人で働くためには、どのようにして求人を探したらいいのでしょうか?

ここでは市販薬のネット通販求人の仕事内容や、ネット通販会社へ就職するコツについて解説していきます。

ネット通販求人の種類と業務内容

商品を直接、対面で顧客に販売するためには実店舗を用意する必要があります。店鋪を構えるためには、建物を買ったり借りたりなどのまとまった費用が必要です。また、実店舗では顧客と直接的に金銭・商品の受け渡しを行います。

これに対してネットショップで商品を販売する場合、実店舗を持たなくても商品を販売できます。例えば、自宅を事業所として開業すればAmazonや楽天市場などのショッピングサイトで出店が可能となります。そのため基本的に、ネットショップでの商品販売では顧客と直接やり取りをする必要がありません。

ただ、医薬品の販売は例外です。医薬品をインターネット上で販売するためには、実店舗を構えている必要があります。実際に以下は、厚生労働省が定める市販薬のインターネット販売についての案内です。

ここには、薬局・薬店の有形店鋪しか市販薬をネット販売できないことが記されています。また、週30時間以上開店しているなど「一般的な販売店である条件」を満たした有形店鋪があることについて、保健所などの担当者が確認できなければ薬をネット通販することはできません。

市販薬は「形だけの店鋪」を構えても販売できないのです。したがってインターネット通販であっても、登録販売者資格を活かして市販薬を販売する場合、実店舗に勤務するケースがあります。

医薬品のネットショップを管理する内勤業務

実店舗で働くということは、顧客対応が発生することを意味します。そのため登録販売者が薬のネット通販会社で働く場合、店鋪や売上の規模などによっては小売店勤務と同様に顧客対応が発生することがあります。

ただ一定以上の売上がある薬のネット販売会社は、実店舗と通販の業務を分業しているケースが多いです。そのため基本的には、内勤のネット通販求人に応募すれば実店舗業務に関わらないことがほとんどです。

例えば以下は、東京や大阪など全国に店舗を展開するドラッグストアのネット事業部求人です。

ここには、ウェブ上のドラッグストアの店鋪管理・運営を行うとなっています。この求人では実店舗での業務が発生しないのです。そのため薬をネット通販している会社の内勤求人を選べば、実店舗での業務に関わらずに仕事することが可能です。

なお、薬のネットショップ管理業務では直接的な顧客対応はないものの、電話やメールでの対応業務が発生します。そのため、顧客対応が苦手でネットショップで働こうとしている人は注意が必要です。

ネットショップの医薬品倉庫でピッキング・検品業務

また売上規模の大きいネット通販会社は、ネットショップの管理者とは別に倉庫や梱包、検品などの担当者を採用していることがあります。ネット通販において倉庫の管理は経営に大きく関わるためです。

例えば、ネット通販では注文が入ったら数日以内に発送しなければなりません。ネット通販事業で在庫切れを起こし発送が遅れると、売上が激減するだけでなく大きく信用を失うことになります。

また商品が別の人に届いたり配送途中に商品が壊れたりした場合も、顧客からの信用を失う結果となります。このような事実が口コミで広がってしまうと、取り返しのつかない事態になります。

そのためネット通販会社では、倉庫の管理者を専属で雇っているケースが多いです。実際に以下は、福岡にある市販薬を販売するネットショップの求人です。

ここには、倉庫勤務の登録販売者を募集していると記されています。登録販売者は市販薬のネットショップ管理業務だけでなく、倉庫で働くこともできるのです。

登録販売者が倉庫で働く場合、顧客対応はまず発生しません。そのため倉庫勤務は、顧客対応を苦手・苦痛に感じる人に向いています。

一方で、倉庫勤務では単調な仕事を長時間続けることになります。また倉庫中を動き回り、重い荷物を持つこともあります。そのため、飽きっぽい人や体力がない人には向かないでしょう。

コールセンターでのテレフォンオペレーター業務

また薬をインターネットで販売する会社には、専用の問い合わせ窓口を設置することが義務付けられています。そのため市販薬をネット通販している事業者の多くは、専用のコールセンターを設けています。

コールセンターでの問い合わせ内容には薬に関わることもあるため、登録販売者などの専門家が対応する必要があります。登録販売者は、薬のネット販売に関するテレフォンオペレーターとして働くことのもできるのです。

例えば以下は、神奈川県にあるコールセンターの登録販売者求人です。

ここには、「登録販売者資格を所有しているテレフォンオペレーターを募集している」と記されています。登録販売者資格を活かすと、ネット通販事業のコールセンターで内勤に就くことも可能なのです。

登録販売者のコールセンター求人は、ネット販売会社の案件よりも多めです。そのためネットショップの登録販売者求人が出ていなくても、コールセンター求人であれば見つけられるケースがあります。

ただコールセンターで働く場合、対面ではないものの顧客対応を生じます。そのため、顧客対応を避けたい人はコールセンター以外のネット通販求人を選ぶと良いでしょう。

登録販売者の資格者がネット通販求人を選ぶメリット

なお前述のように、ネット通販会社の内勤で働く登録販売者は顧客と対面して対応するケースがほとんどありません。

特に、規模の大きいネットショップでは専用コールセンターを設けているため、ネットショップの管理・運営業務に就く人が直接的に顧客の問い合わせを受けることはありません。この点は、実店舗での登録販売者勤務との大きく異なる点です。

またコールセンターでは電話での顧客対応が仕事であるものの、専用のスクリプト(原稿)通りに案内するのが基本です。自分で発言内容や言い回しなどを考える必要性は低いです。そのためコールセンターでの登録販売者業務は、人と接することが苦手な人であっても業務に就くことができます。

実際に私はコールセンターに勤めていたことがありますが、人との関わりを苦手とする人が多かったです。ネット通販に関する業務はコミュニケーションが苦手な登録販売者であっても問題なくこなしやすいといえます。

土日祝日の定休・夕方退勤を実現できる

さらに、ネット通販の登録販売者求人には大きなメリットがもう一つがあります。それは、プライベートと両立しやすい求人が多い点です。

ドラッグストアは朝から夜まで営業しています。そのため、ドラッグストアで働くと退勤時刻が夜に及ぶこともあります。

また、ドラッグストアは土日祝日も営業しています。土日祝日は来客数・売上額ともに高いため、ドラッグストアで働くと土日祝日を定休とすることはできません。

これに対して、薬のネット通販事業では夕方までの勤務や土日祝日の定休を叶えることができます。実際に以下は、静岡にあるネット通販会社の登録販売者求人です。

この求人は勤務時間が9~18時・土日祝日が休日となっています。薬のネット通販会社では、「ドラッグストアでは不可能な夕方退社・土日祝定休」を実現できるのです。

またドラッグストアなどの小売店は、残業が発生するケースが多いです。小売業はもともと残業が多めの業界であるのに加えて、顧客対応による残業が発生しやすいためです。そのため、小売店勤務では残業なしで働くことが難しいです。

これに対して薬のネット通販会社では、顧客対応などの「絶対に残業しなければならない状況」がほとんど発生しません。そのため、ネット通販会社はドラッグストアなどに比べて、残業が発生するケースが圧倒的に少ないのです。

転勤なしで働くことができる

またドラッグストアは店鋪を複数展開している会社が多いため、転勤の発生が基本です。中には、転勤に引っ越しを伴うケースもあります。

これに対してインターネットの通販会社やコールセンターなどは、店鋪・事業所を複数展開していないので転勤がありません。実際に以下は、東京にあるコールセンターの登録販売者求人です。

この求人は、転勤が発生しないとなっています。薬のインターネット販売業務に就くと、登録販売者であっても転勤せずに同じ地域で安定して働き続けることができます。

髪型や装飾品などを自由にできる

またドラッグストアでは顧客と対面して対応するため、髪型や身につける装飾品などにルールがあります。具体的にいうと、ドラッグストア勤務では髪を明るく染めたりピアスを装着したりすることはできません。

一方で薬のネット通販業務に就く場合、対面での顧客対応がほとんどありません。そのため、髪色や装飾品などが自由であるケースが多いです。

例えば以下は、東京にある薬のネット通販会社の登録販売者求人です。

ここには、髪型・服装自由で働けるとなっています。この求人では、髪を明るく染めたりピアスなどの装飾品を付けたりしても勤務可能なのです。そのため薬のネット通販求人は、ファッションにこだわりのある登録販売者におすすめです。

ネット通販会社で登録販売者が働くためには

これまでに述べたように、薬のネット販売会社での勤務にはドラッグストア勤務では実現できない、さまざまなメリットがあります。

ただ、ネット通販の登録販売者求人は数が少ないです。これは、薬のネット販売は少ない人数で運営できる業態であるためです。

ドラッグストアなどの実店舗では、商品の陳列やレジ、清掃、接客などさまざまな業務が発生します。また取扱商品を多くしたり営業時間を長くしたりしなければ来店数・売上が低下するため、実店舗の運営には多くの人手が必要です。

これに対して、薬のネット通販では取扱商品が少なく営業時間も短いです。そのため、薬をネット販売している会社は少人数で運営されており、その分だけ求人数も少ないです。

このような状況下では、複数のネット通販求人に応募することができません。応募した求人で不採用になると、ネット通販業界で働き始めることが難しくなるのです。

したがって薬のネット販売会社で働きたい登録販売者は、見つけた求人で採用されるように必要なスキルを身につけておくことが大切です。

パソコンスキルが高いと採用されやすい

例えば、ネット通販会社での内勤ではパソコン作業が主な仕事となります。そのためパソコンが使えないと、ネット通販会社で採用されにくいです。実際に以下は、静岡にある薬のネット通販会社の求人です。

ここには、インターネットやメールなどの基礎知識やエクセルのスキルが必須であると記されています。インターネット通販会社で内勤に就く場合、パソコンスキルが必須となるのです。

一方でエクセルやワード、パワーポイントなどの基本ソフトが使える登録販売者は、ライバルに打ち勝ってネット通販会社へ入社しやすくなります。登録販売者は一般的にパソコンスキルが低い人が多いためです。

登録販売者の主な就職先であるドラッグストアでは、パソコンを使用する業務がかなり少ないです。パソコンを使用するとしても、社内向けソフト・サイトを利用する程度です。そのため、店鋪勤務歴が長い登録販売者はパソコンの基礎スキルが低いケースが多いのです。

このような環境でパソコンの基礎スキルがあると、他の登録販売者を出し抜くことが可能となります。

また、倉庫管理を除く内勤業務では社会人マナーも重視されます。顧客からの問い合わせメール・電話に問題なく対応できる能力が求められるのです。そのため内勤に就きたいのであれば、基本的な社会マナーを今一度確認しておきましょう。

転職サイトを利用して医薬品のネットショップ求人を探す

ただ前述のように、薬をネット通販している事業所の求人はかなり少ないです。そのため自力で求人を探しても、なかなか見つからないケースが多いです。

そこで薬のネット販売求人で内勤に就きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

転職サイトの担当者は、非公開案件を含めた数多くの求人からあなたが希望する条件のものを紹介してくれます。そのため転職サイトを利用すると、自力で探すよりも薬のネット販売求人を見つけやすくなります。

ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため、転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、登録販売者資格を活かしてネット通販業務に就きやすくなります。

まとめ

市販薬はドラッグストアなどの小売店だけではなく、ネットショップでも販売されています。そのため、登録販売者は薬のネット通販会社で働くこともできます。

薬のネット通販業務では対面の顧客対応がほとんど発生しません。また、土日休みや夕方退勤などのプライベートと両立しやすい求人が多いです。

ただ、薬のネットショップは少ない人数で運営できます。そのため、薬のネット販売求人はかなり少ないです。

そこで薬のネット通販業務に就きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで薬のネット販売会社への入社しやすくなり、働きやすい環境で内勤を続けることができます。


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