登録販売者は薬を販売できる資格であるため、薬を主力商品とするドラッグストア業界での需要が高いです。実際に、ドラッグストアは登録販売者の主な就職先となっています。
このとき、大手ドラッグチェーンであるサンドラッグは、ほとんどの都道府県に店舗を展開しています。そのためサンドラッグを利用した経験がある人は多く、転職先の候補に入れる登録販売者もいるでしょう。
それではサンドラッグは、他のドラッグストア企業とどのような違いがあるのでしょうか? またサンドラッグで働くことには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
ここでは、サンドラッグでの登録販売者の働き方や、登録販売者がサンドラッグで働くメリット・デメリットについて解説していきます。
もくじ
サンドラッグで働く登録販売者の仕事内容
サンドラッグは都市型や郊外型、テナント型など、さまざまな形態の店舗を展開しています。中には、調剤薬局を併設している店舗があります。
都市型やテナント型の店舗は、郊外型店舗に比べて商品数が少なめです。また都市型店舗は土日祝日関係なく来客数が多いのに対して、郊外にある店舗は土日祝日に来客が集中します。そのため配属される店舗によって、客層や来客の傾向などが異なります。
またサンドラッグでは、正社員の役割を店舗運営担当と接客販売(カウンセリング)担当に分ける2ライン制運営を行っているのが特徴的です。
これらのうち接客販売は、薬剤師が担当するのが基本です。ただ中には、登録販売者が接客販売担当となる店舗もあります。例えば以下は、サンドラッグ公式ホームページに記載されている採用情報です。
この求人は店舗運営スタッフとカウンセリング販売職の2種類を募集しており、カウンセリング販売職に登録販売者が就業することができます。接客販売の担当となれば、登録販売者が薬の担当者になることが可能となります。
登録販売者は店舗運営担当となる
ただ、カウンセリング販売職の登録販売者枠はかなり少ないです。
まず、薬剤師が在籍している店舗だと登録販売者はカウンセリング販売職には就けません。薬剤師の方がカウンセリングに必要な知識が豊富であるとともに、顧客からの信用度が高いためです。
また売り上げの少ない店舗では、カウンセリング販売職が配置されず、店舗運営スタッフが接客販売も担います。そのため、登録販売者が接客販売専属となっている店舗はかなり少ないのが実情です。
実際に、以下はサンドラッグの医薬品相談カウンターです。
このカウンターは無人であり、品出し途中の商品が多数置かれていることから、相談カウンターが形骸化していることがわかります。この店舗は薬剤師が在籍していないサンドラッグなので登録販売者が店舗を運営していますが、品出しとレジに集中しており顧客相談に乗っている姿を見ることはありませんでした。
さらに、カウンセリング販売職は店舗運営職に比べて仕事の負担が軽く、休みを取りやすいです。労働条件が良いため、カウンセリング販売職に就いている人は離職しにくい傾向にあります。
このようなことから、登録販売者の接客販売枠には空きがほとんど生じません。これを裏付けるように、サンドラッグから出ている転職求人のほとんどが店長候補などの店舗運営職となっています。
そのため薬の接客が好きで登録販売者資格を取った人は、サンドラッグだと満足の得られる仕事に就けない可能性が高いです。
なお参考までに、正規の登録販売者資格を持っている人は、店舗運営職であっても資格者手当が1万5,000円支給されます。そのためサンドラッグでは登録販売者資格を活かす機会が少ないものの、資格が無駄になることはありません。
自由に売り場を作ることができる
一方でサンドラッグの店舗運営職では、商品や売り場の管理、チラシ準備など多くの店舗運営業務を任されます。限られた時間で多くの仕事をさばくことになるため、効率的に業務をこなすのが好きなタイプはサンドラッグの店舗運営職にやりがいを見出しやすいです。
また店舗運営職では、適切な在庫数を保ったり売れる売り場を作ったりなどの努力・工夫の結果が数値で出ます。サンドラッグでは売り場・ディスプレイ作りを店舗に任せているため、あなたのアイディアを自由に売り場へ反映させて数値実績を積むことが可能となるのです。
そのためサンドラッグは、売り場作りが好きな人や仕事に効率を求める人に向いた職場であるといえます。
サンドラッグで登録販売者が働くメリット
なお、どの小売店であっても土日祝日は売上が高い傾向にあります。そのため、小売企業に勤める正社員は土日祝日を定休にすることはできません。サンドラッグも例外なく、基本的に土日祝日は出勤です。
ただサンドラッグでは、正社員であっても慣習的に土日を含めた希望休を月3日まで取得することができます。当然ながら人員の都合で取得が難しい場合もありますが、基本的には休み希望が通るケースがほとんどです。
小売業界の中には希望休を取得しづらい企業もあるため、希望休の取りやすさはサンドラッグで働くメリットの一つといえます。
研修制度が充実しており、未経験の登録販売者も働きやすい
また、サンドラッグでは研修制度が充実しているのが魅力的です。
一般的な小売企業では、店舗運営に関する仕様変更などは書面・メールで通知が来る程度であり、研修が行われないことが多いです。中には、店舗でのOJTを新人研修として採用している企業もあります。このような企業では、店舗運営に関する知識・経験が乏しいまま責任のある仕事に就かざるを得ない事態に陥りやすいです。
これに対してサンドラッグは、新入社員研修や業務研修などが充実しており、独り立ちできる程度の知識を得てから店舗へ本配属となります。また、業務の仕様変更や新しい市販薬の販売時などの際にも研修会が開催されるケースが多いです。
さらに店舗責任者に就く前にも研修があるため、サンドラッグでは「何もわからないまま、責任のある仕事を任される」という事態には陥りにくいです。
また、サンドラッグは登録販売者資格者の育成にも力を入れています。登録販売者試験の研修が定期的に行われる上に、研修で使用されるテキストは地域の試験傾向に合わせた内容となっています。
さらに模擬試験を受けることもできるため、サンドラッグで働けば登録販売者試験に受かるための実力を着実に付けることができます。実際に以下は、サンドラッグの転職求人です。
この求人は登録販売者資格の取得をサポートしており、地域の傾向に合わせたテキストや定期研修、模擬試験などの実施があります。それにより、入社1~2年でほとんどの人が登録販売者資格を取得しています。サンドラッグであれば、未経験であっても無資格から登録販売者の資格保有者となることができます。
これに加えて、前述のようにサンドラッグでは薬剤師が在籍している店舗が多いです。そのため登録販売者試験の合格後も、薬剤師から薬の接客方法を学ぶことができます。
また薬剤師のいない店舗に配属された場合でも、薬の接客で発生した疑問・不明点を本部の薬担当者に電話相談することができます。そのためサンドラッグだと、未経験だったり経験が少なかったりする登録販売者でも働きやすい環境が整っています。
転勤の有無を社員区分で選べる
また店舗を全国展開している小売企業で働くと、引越しを伴う転勤が発生するのが基本です。サンドラッグでも例外なく、転居を伴う異動があります。
ただサンドラッグでは、正社員であっても転勤の有無を選択できます。実際に以下は、サンドラッグの転職求人です。
この求人は「全国転勤」「エリア内転勤」「転居を伴う転勤なし」という3つの社員区分から働き方を選択できます。
これらのうち全国転勤ありの社員区分だと、全国のサンドラッグに転勤の可能性がある一方で、給料が高く出世コースに乗りやすいメリットがあります。
これに対して「転居を伴う転勤なし」の社員区分では、全国転勤よりも出世しにくいものの、自宅から通える範囲内でしか異動が発生しません。
またエリア内転勤区分は、居住地を大きく変えることなく店長~エリア責任者を狙えます。異動エリアを限定することによって実家・自宅に帰省しやすくなるため、プライベートと仕事を両立させやすい働き方といえます。
参考までに、小売業界では全国転勤なしという働き方を選ぶと非正規雇用(契約社員や準社員)となる企業が多いです。このような中、転居を伴う転勤なしでも正社員待遇を受けられる点は、サンドラッグで働くメリットの一つといえます。
転勤ありで働くと、早期キャリアアップで高い給料を実現できる
また全国転勤の社員区分を選んだ場合、出世が早くなるのもサンドラッグの特長です。
一般的な小売企業では、副店長などの責任ある立場を任されるまでに5~10年かかります。中には、店舗状況などにより勤続10年を超えても一般スタッフのままとなる企業もあります。
これに対してサンドラッグは、入社から半年~2年で副店長になるのが基本です。また、店長になるまでの平均的な勤続年数は3年ほどとなっています。中には、2年で店長へ昇格している人もいます。
さらにサンドラッグでは、このような早期出世がまれな事例ではありません。ほとんどの人が2年以内に副店長まで昇格します。サンドラッグでは、誰でも早期キャリアアップが狙えるのです。
当然ながら、店長などの役職に就くと基礎給が上がります。また役職手当が支給されるようになるため、給料の手取り金額がかなり高くなります。そのため、入社後に短期間で給料を上げたい人にはサンドラッグが向いているといえます。
参考までに店長として実績を上げれば、勤続10年ほどでスーパーバイザーを狙えます。スーパーバイザー以上の役職に就けば、小売店舗勤務では不可能な土日定休を実現することができるようになります。
福利厚生におけるサンドラッグのメリット
なお、サンドラッグはドラッグストア業界大手の大企業です。そのためサンドラッグで働くと、充実した福利厚生を利用できます。
例えばサンドラッグには団体保険制度があり、格安の保険料で高い保障を得ることができます。また定期健康診断では、生活習慣病チェックや人間ドックなどを受診可能です。がん検診の補助金も出るため、健康維持に必要な費用の多くを安く抑えることができます。
またサンドラッグは保養施設を自社保有しており、一人当たり1泊500円という格安料金で利用できます。またそれ以外にも、有名テーマパークやリゾートホテルなど利用時に2,000円ほどの補助金が出ます。
さらにサンドラッグの提携クレジットカードを利用すると、社員割引価格で取扱商品を購入できます。サンドラッグでは日用品から食料品まで幅広く取り扱われているため、社割制度を利用すると生活にかかる経済的負担が軽くなりやすいです。
独身や家族での転勤など、社宅制度を利用できる
またサンドラッグでは、お得な社宅制を利用できるのも魅力的です。実際に以下は、サンドラッグの公式ホームページに記載されている福利厚生についてです。
ここには、一人暮らしの人や会社都合による転勤時に社宅を利用できます。サンドラッグの社宅制度に関する具体的な内容としては、社員寮や独身者マンションを利用できます。
これらは月1~2万円程度の自己負担額で利用でき、社員寮であれば1日300円程度の負担で朝夕の食事をとることもできます。そのため社員寮を利用すると、生活費を大きく節約することができます。
また家族がいる人であっても、規定を満たせば転勤時に会社の借り上げマンションを家賃の半額程度で利用できます。配属地域によっては地域手当も支給されるため、サンドラッグで働くと手取り給料の金額が高くなりやすいです。
子育て支援制度が充実している
これに加えて、子供がいる人だと子供一人あたり月1~2万円受け取ることができます。実際に以下は、サンドラッグの転職求人です。
この求人は育児手当として、第一子に1万円、第二子に1万5,000円、第三子に2万円が月給に上乗せされます。そのため家族がいる人は、子供の人数に応じて手取り給料が高くなります。
また国で定められている育児休業の期間が最長1年であるのに対して、サンドラッグであれば子供が2歳になるまで育休を取得できます。
さらにサンドラッグの時短勤務制度では、子供が中学生になるまで一日当たりの勤務時間を6時間に短縮できます。法律が定める最低限の支援制度しかない企業だと、子供が3歳になるまでの期間しか時短勤務を利用できないため、サンドラッグの子育て支援制度はかなり手厚いといえます。
役職に就くと拘束時間が長くなるデメリット
一方で、サンドラッグは拘束時間が長いというデメリットがあります。小売店では、アルバイト・パートで店舗を運営する時間があるのが一般的です。
これに対してサンドラッグでは、アルバイト・パートに責任・権限の委譲を行っておらず、社員の責任範囲が広いです。サンドラッグでは、開店時間中に店舗運営責任者が勤務していることが求められるのです。
店舗運営責任者を務められるのは副店長と店長のみです。そのため週7日開店から閉店までの責任者シフトを、副店長・店長の二人で回すことになります。具体的には、副店長と店長が交代で通し勤務を実施して責任者シフトを回しています。
つまり副店長以上の役職に就くと、開店から閉店まで店舗勤務することになるのです。そのため副店長以上の役職者の1日の実労働時間は、12時間を超えるのが基本です。
このとき8時間を超えた分の勤務時間は、休みに充てることができます。
例えば、12時間勤務を2日こなすと「12時間×2日=24時間(=8時間勤務3日分)」となり、休みが1日増えます。そのためサンドラッグでは、一日の拘束時間が長い分だけ休みが多くなります。
ただ前述したサンドラッグの研修の中には、休日に参加しなければならないものがあります。休日を研修に充てても、休日出勤扱いとはなりません。
研修への参加は自由となっていますが、キャリアアップのためには研修への参加が事実上必須となっています。また不参加が続くと、上司から不参加の理由を問われることもあります。サンドラッグで働くと、実質強制参加の研修によって休日がなくなるのです。
また店舗運営責任者は店舗での拘束時間が長いため、休憩中にも対応しなければならないケースが多発します。実際にサンドラッグで働いている人の口コミ・評判では、「シフト上は休憩時間が2時間となっているが、実際には1時間も取れない」「30分休憩できたら良い方」と言う人がほとんどです。
これに加えて、サンドラッグでは自宅から通勤可能な範囲を片道1時間半以内と設定しているため、自宅と配属店舗の距離によっては通勤に長い時間を要することになります。
そのためサンドラッグでは「昇進・昇格しやすい」「休みが多くなりやすい」などメリットがある一方で、プライベート時間を確保しにくいことを覚悟する必要があります。
転勤ペースが早く、年に2~3回転勤する
また一般的な小売企業では、4~5年は同じ店舗に所属となるケースが多いです。
これに対してサンドラッグだと、全店舗的な人員不足から1年に2~3回転勤が発生します。サンドラッグで全国転勤ありの社員となると、数ヶ月に一度は店舗が変わることになるのです。中には新しい店舗へ配属後、2ヶ月で異動となった人もいます。
転勤ペースが早いと、短期間でさまざまな仕事・状況を学ぶことができます。また人間関係が一新されるため、スタッフ同士の癒着による不正・腐敗が起こりにくいメリットがあります。
ただ2~3ヶ月で異動となると、店舗や新しい人間関係に慣れてきた頃に転勤となります。そのため仕事にじっくり取り組みたいタイプや人間関係に注力するタイプには、サンドラッグの全国転勤社員は向かないといえます。
転職サイトを利用してサンドラッグ求人を探す
サンドラッグでは、プライベートの状況などに合わせて正社員でも転勤の有無を選択することができます。
また全国転勤ありの社員区分を選べば、誰でも早期キャリアアップが可能です。そのため居住地を固定したい登録販売者や、早期に責任ある仕事に就きたい登録販売者はサンドラッグへの転職を候補に入れることをおすすめします。
このとき、サンドラッグへの転職を検討している登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探すことをおすすめします。
転勤なしで働く場合、働きたい地域のエリア限定求人を見つけなければなりません。そのためタイミングによっては、希望地域のサンドラッグ求人が出ていないケースがあります。
このような中、転職サイトを利用すると希望エリアの求人が出たタイミングで担当者から連絡を受けることができます。そのため転職サイトを利用すると、希望地域でサンドラッグのエリア限定社員求人へ挑戦しやすくなります。
そのため全国転勤ありやエリア限定で働きたい登録販売者は、少なくとも3社以上の転職サイトを利用して好待遇での入社を狙いましょう。
まとめ
サンドラッグは2ライン制運営を実施しており、正社員の仕事を店舗運営と接客販売の2つに分業しています。これらのうち、登録販売者は店舗運営職に就くのが基本です。そのためサンドラッグで働く登録販売者は、薬の接客に専念することは難しいです。
ただ一方で、サンドラッグには薬剤師が常駐している店舗が多く、経験の少ない登録販売者でも働きやすい環境にあります。そのため店舗運営に興味のある登録販売者や接客に自信のない登録販売者は、サンドラッグが向いています。
またサンドラッグでは、転勤の有無を社員区分で選ぶことができます。全国転勤ありの社員区分を選べば、早期キャリアアップも可能です。
そこでサンドラッグへの転職を検討している登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで、希望条件を満たしたサンドラッグ求人へ好条件で入社しやすくなります。
登録販売者が転職を行い、求人を探すにしても自分一人で行うのは現実的ではありません。そこで、ほとんどの人が転職エージェントを活用します。
転職サイトを利用すれば、「年収の交渉」「希望の勤務地」「労働時間の調節」を含めてすべて代行してくれるようになります。
しかし、転職サイトによって「地方在住者でも事前面談に対応している」「40代以上でも利用可能」など特徴に違いがあります。人気の転職エージェントの中でも、これらの特徴を理解したうえで、どの転職サイトを利用すればいいのか検討しなければいけません。
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