一般的に、公共のサービスは信頼性が高いとされています。そのため厚生労働省が管轄しているハローワークは、信用のおける求職先のあっせん機関として昔から利用されています。

ただ現在では、ハローワーク以外にも求人を探す方法があります。そのため、一昔前のように「就職先を探すのであれば、まずはハローワークに登録」という状況ではなくなっています。

特に、ハローワークは「資格を必要としない求人」が多く、専門性の高い仕事は取り扱われにくいとされています。

それでは、医療系資格の一つである登録販売者では、ハローワーク利用で就職活動することは可能なのでしょうか? また、ハローワークで求人を探すことには他の求職方法に比べて、どのような利点があるのでしょうか?

ここでは、登録販売者がハローワークで求人を探すメリット・デメリットについて解説していきます。

ハローワークに登録販売者求人はあるのか?

ハローワークは「公共職業安定所」と呼ばれ、厚生労働省の管轄する失業者に職業をあっせんする組織です。

ハローワークは失業者を減らす目的で設置されている施設であるため、「誰でも応募できる求人」が集まりやすい構造となっています。そのため資格や有用な経験などがない人でも求人を見つけやすいです。

一方で、専門分野の資格者を求める案件は少なめの傾向にあります。そのため登録販売者の中には、ハローワークへの登録を迷っている人もいるでしょう。

ただ実際には、ハローワークにも登録販売者求人はあります。例えば以下は、兵庫や広島、岡山などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人はハローワークから出されている情報です。有資格者の求人が少ないハローワークであっても、登録販売者求人はあるのです。

登録販売者になる職業訓練を受けることもできる

またハローワークでは、これから登録販売者資格を取ろうとする人に対する支援も行っています。

ハローワークでは失業者を減らすために、条件を満たす人材に無料・安価で職業訓練を行っています。この職業訓練の中には、登録販売者資格を取得できるコースがあるのです。

実際に以下は、大阪で実施されている職業訓練の情報です。

この職業訓練には、登録販売者資格を取得できるコースがあります。ハローワークを利用すると、このような職業訓練を受けることができるのです。

なお、職業訓練の内容や費用などは自治体によって異なります。中には、安価ではあるものの十数万円の費用がかかるケースもあるので注意しましょう。

ハローワークで求人を探すメリット

なおハローワークは、誰でも無料で利用できるという特徴があります。例えば、失業者がハローワークで職を探す際に費用は発生しません。

また一般的に、求人募集企業が求人サイトや求人誌などに案件を載せる際には掲載費がかかります。

これに対してハローワークでは、企業は求人を無料で掲載することができます。そのため、ハローワークは他の求人サイト・求人誌に比べて求人数が多いことが最大のメリットとなっています。

地元での就職を叶えやすい

またハローワークでは、「利用者が引越しをせずに就職できる求人」を中心に紹介するように定められています。そのためハローワークを利用すると、あなたの希望条件を満たした地元の求人を見つけやすくなります。

またハローワークは公的機関であることや掲載料が無料なことから、地方の中小企業求人も数多く掲載されています。

特に小さな個人薬局などは、掲載料のかかる求人誌などに案件を掲載しないケースがあります。そのため、ハローワークを利用すると地元密着企業を見つけて地元でゆっくり仕事をしやすくなります。

年齢不問求人でシニアでも働ける

さらに、ハローワークは「働きたいのに働けていない人」を減らすことを目的とする公共機関です。そのため、どのような条件の人であっても仕事を見つけられるように、さまざまな種類の求人が存在しています。

例えば、一般的にシニアは求人が少ないです。そのため、働くつもりがあっても働けないシニア求職者は多いです。

このような中、ハローワークではシニア求人の取り扱いが多いです。ハローワークは雇用を求める人に広く求人先を用意しているためです。

例えば以下は、北海道にあるドラッグストアの求人です。 

この求人はシニア登録販売者を歓迎しています。ハローワークはシニア層も求人を探しやすいのです。

またハローワーク施設には、シニア専用窓口があるケースが多いです。実際に以下は、北海道にあるハローワーク施設の写真です。

ここにはシニア向けの「生涯現役支援窓口」が設置されており、60歳以上向け求人の一覧表が用意されています。このような窓口を利用すると、一般的に職を見つけにくいシニアであっても求人を見つけやすくなります。

ハローワークのデメリットとリスク

ただ一方で、ハローワークを利用することにはデメリットもあります。例えばハローワークで扱っている求人は、原則ハローワークへ出向いて求職登録を済ませた人しか求人先に応募できません。

実際に以下は、神奈川にあるハローワークの登録販売者求人です。

この求人に応募するためには、ハローワークの施設に出向かなければ応募できません。

またハローワークに記載されている求人の面接では、ハローワーク施設で発行される紹介状が必要となります。求職者がハローワークの窓口での手続きを終えた後、ハローワークスタッフが企業と直接連絡を取らなければ、この紹介状は発行されません。

そのため紹介状をもらう際には、長い待ち時間が生じます。混雑具合や手続きをしたタイミングによっては、発行に1時間以上かかるケースもあります。ハローワークを利用した求人探しには時間がかかるのです。

求人の質が悪いケースが多い

また、ハローワークに掲示されている求人の中には質の悪い案件も混じっています。ハローワークでは無料で求人を掲載できるため、どのような会社でも求人を出せるからです。つまり、悪質な運営をしている企業の求人が混じりやすいのです。

また求人誌や求人サイトなどの民間企業では、担当者による求人内容のチェックが入ります。実態とかけ離れた求人を載せた結果として求人誌・求人サイトの評価が下がると、利用者が減り経営が成り立たなくなるためです。

そのため求人誌などに掲載されている求人は厳しく管理されており、実態と大きな差は生じません。

一方でハローワークでは、求人サイトなどの民間組織とは異なり求人内容の精査が行われません。求人内容の実態は、ハローワーク運営に大きな影響がないためです。

また、採用ごとに国からの給付金が会社へ支給される制度もあります(若年者等正規雇用化特別奨励金など)。そのため悪質な会社の中には、求人内容を実態よりも良く記載して応募を促しているケースがあります。

このようなことから、ハローワークが掲示している求人の中には、実態とはかけ離れた求人が混じっているケースがあるのです。

実際にネット上の口コミには「求人内容とは別の部署で働かされた」「入社してみたら、求人内容とはかけ離れた条件で働くことになった」などの声があります。

登録販売者であれば、「資格を活かして就職したのに、市販薬販売とは関係のない部署に配属される」という事態に陥るリスクがあるのです。

そのためハローワークの求人に応募する際には、企業ホームページや他のサイトなども参考にして求人内容を確かめてみることが大切です。

満足のいく就職相談は難しい

また、前述のようにハローワークでは、窓口のスタッフが就職先の相談に乗ってくれます。ただ、真摯に対応してくれるスタッフは多くありません。あくまでも公務員であり、スタッフが真摯に対応してもスタッフ本人の評価にはつながらないためです。ハローワークのスタッフだと、「仕事内容が評価されて早期キャリアアップを実現する」ということがないのです。

またハローワークは公共機関であるため、役所などと同じスケジュールで営業しています。実際に以下は、ハローワークの開館時間です。

ここでは開館時間が月~金曜日の8:30~17:15となっています。ハローワークでは、この時間内に数多くの求職者対応をしなければならないのです。

そのため、ハローワークでは「求職者に質の良い対応をすること」よりも「多くの問い合わせをさばくこと」が求められます。

またハローワークは公共の施設であるため、原則的に「担当者」を決めることができません。希望すれば同じスタッフに対応してもらうことは可能ですが、混み合っている場合は別のスタッフに対応されることになります。

このとき、求職者に真摯に向き合うスタッフは、他の人からも人気が高いです。そのため、希望しても対応してもらえず、質の低い担当者にあたってしまうケースは非常に多いです。

そのためハローワークは無料で就職の相談ができるものの、質の良い回答をもらうことは困難であるといえます。

未経験・見習い可の求人を探しにくい

なおハローワークで掲示している求人は、ハローワークの公式サイトでも確認することができます。

ただ、未経験や見習いの登録販売者は、応募できる求人を探しにくいです。ハローワークの公式サイトに掲示されている登録販売者求人には、応募要項欄に資格の状態についての記述がないケースが多いためです。

例えば以下は、東京にあるコンビニエンスストアの登録販売者求人です。

この求人に応募要項には「登録販売者」とだけ記されており、資格の状態に関する記述がありません。そのため、この求人を見るだけでは未経験・見習いの登録販売者が応募できるかどうかがわかりません。

ただ、基本的にドラッグストア以外の小売店は研修中の登録販売者を採用しません。ドラッグストア以外の小売店は薬の売上割合が低く、時間当たりの資格者数をギリギリまで減らしているためです。

つまり前述の求人も、研修中の登録販売者を採用していない可能性が高いのです。

またハローワークのスタッフは医薬品業界について無知の人がほとんどであり、登録販売者資格に「研修中」という状態があることを知らないケースがほとんどです。

そのためハローワーク施設で職の相談をしても、あなたに適した登録販売者求人を紹介してもらえない可能性が高いのです。

職業訓練を受けなくても登録販売者資格を取れる

なお前述のように、登録販売者資格はハローワークの職業訓練を利用して取得することができます。

ただ、登録販売者資格は独学でも取得可能です。登録販売者資格は試験に合格するだけで取得でき、通学の必要性がないためです。実際に、ドラッグストアなどで働きながら独学で登録販売者資格を取得している人はかなり多いです。

また、職業訓練を利用して登録販売者資格を取っても、ドラッグストアなどでの勤務経験がなければ見習い登録販売者となります。正規の登録販売者となるためには、過去5年以内に2年以上の業務・実務経験が必要であるためです。

一方で、職業訓練で通学している期間をドラッグストアでの勤務に充てて業務・実務経験を積むと、登録販売者試験に合格後すぐに正規の登録販売者として働くことができます。

またドラッグストアの中には、登録販売者資格の取得を支援している会社もあります。例えば以下は、東京や神奈川、埼玉などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この会社には資格取得支援制度があり、模擬試験も開催しているとなっています。このような会社へ就職すると、業務・実務経験を積みながら登録販売者資格を取得することが可能なのです。

そのため登録販売者として働くつもりなのであれば、職業訓練ではなくドラッグストアへの就職を検討することをおすすめします。

転職サイトを利用して求人を探す

このようにハローワークは公共機関であるため、誰でも無料で手軽に利用できる一方で、さまざまなデメリットもあります。そのためハローワークだけで転職活動を進めると、余計な時間がかかったりあなたに合った求人を見つけられなかったりしやすいです。

これに対して民間企業が運営している転職サイトであれば、これまでに述べたようなハローワークのデメリットをほとんどカバーできます。

例えば転職サイト利用では、転職サイト経由で採用が決まると求人先企業側から転職サイトへ紹介料が支払われます。

ただ、求人先企業が採用した人材が早期退職すると、その企業は転職サイトへの紹介料支払や採用費用などによって損をしてしまいます。そのため、求人先企業は転職サイトに「自社の特色・風土にマッチした早期退職のリスクの低い人材」の紹介を求めます。

また企業側からしてみれば、「早期退職する人材」ばかり紹介する転職サイトには求人を依頼したくありません。そうなると、転職サイトには収入が入らなくなります。

そのため、転職サイトの担当者は「会社と求職者の双方が満足できる転職活動」を実現できるように全力で支援します。あなたが長期間働ける会社へ入社することは、転職サイトの担当コンサルタントにとってもメリットとなるのです。

さらに転職サイトでは、初回面談が可能であるものの、その後は基本的にメールや電話などでのやり取りになります。そのため、ハローワークのように何度も足を運ぶ必要がないですし、ハローワークの施設内で待ちぼうけの状況に陥るケースもありません。

そのため転職を成功に導きたいのであれば、ハローワークではなく転職サイトを利用して求人を探すことを考えましょう。

ただハローワークほどではないものの、転職サイトであっても担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、よりあなたに合った企業へ好条件で入社しやすくなります。

まとめ

一般的に、ハローワークには資格職の求人が少ないとされています。ただ資格職の一つである登録販売者の求人は、ハローワークにも掲載されています。

このとき、ハローワークは失業者を減らす目的で設置されている施設であるため求人の総数が多く、地元中小企業の求人も取り扱われています。

ただ、ハローワークに掲載されている求人の中には、実態と大きくかけ離れた案件も混ざっています。またハローワークスタッフのほとんどが医薬品業界について理解しておらず、登録販売者は仕事を探しづらいのが事実です。

そこで就職・転職を成功させたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで、あなたに合った会社への入社が実現しやすくなります。


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