登録販売者は取得しやすい公的資格です。受験資格に制限はないですし、試験に合格すれば登録販売者を名乗ることができるようになります。そのため登録販売者は、医薬品業界で働きたい人や販売業で働いている人などに人気のある資格です。

ただ登録販売者を取得した人の口コミの中には、「求人が少ない」というものがあります。

働き口が見つからなければ、登録販売者資格を取得していても無意味となってしまいます。場合によっては、登録販売者以外の働き方を選ぶ必要性も出てくるでしょう。

では、登録販売者の求人は本当に少ないのでしょうか? また登録販売者が働ける場所を見つけるためには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?

ここでは登録販売者の求人の現状と登録販売者として働き続けるための注意点について解説していきます。

登録販売者の求人の現状

一般的に薬剤師は、就職に困らない資格職だと思われています。実際に薬剤師の有効求人倍率は、約5~7倍で推移し続けています(厚生労働省の統計より)。

このとき登録販売者は「医薬品の専門家」という点から、薬剤師と混同されやすいです。そのため登録販売者は、薬剤師と同等の求人がある資格だと思われがちです。ただ実際には、登録販売者と薬剤師では働ける場所に大きな違いがあります。

例えば薬剤師は、登録販売者と同様に市販薬を扱っているドラッグストアなどにも需要があります。それに加えて、医療用医薬品を扱う調剤薬局や病院、研究職などの選択肢もあります。薬剤師はすべての種類の薬品を取り扱うことができるためです。

これに対して登録販売者は、市販薬を一般客に販売するための資格です。そのため登録販売者の就職先は、市販薬の取扱店などが基本となります。

このとき、市販薬は薬全体の約5%しか占めていません。登録販売者が扱える薬は、薬剤師よりもかなり少ないのです。その分だけ、需要も少なくなります。

そのため登録販売者の需要が薬剤師と同等であると思っていると、登録販売者の求人がかなり少ないように感じます。このようなことから、登録販売者は求人の少ない資格であると思われやすいです。

また登録販売者は市販薬を販売できる資格であるため、「薬屋=ドラッグストア」しか働き口がないと思われていることも多いです。ただ実際には、登録販売者はさまざまな業態で重宝されています。

ドラッグストア以外にも薬の取扱店はあり、登録販売者の需要はある

薬剤師は、すべての医薬品を扱うことができます。ただ薬剤師はその専門性の高さから、雇用コストがかなり高いです。そのため市販薬のみを扱っている店のほとんどは、比較的人件費が安い登録販売者が薬の販売を担っています。

例えば以下は、調剤薬局を併設していないドラッグストア(OTCドラッグストア)に掲示されている医薬品店舗販売業の許可証です。

ここには、取り扱われている市販薬が第2類と第3類(登録販売者が販売できる医薬品区分)であり、販売に従事している資格者が登録販売者のみであることが記載されています。薬屋を掲げているドラッグストアであっても、調剤併設ではない場合は登録販売者のみで店舗を回していることが多いのです。

また、薬を扱っているのはドラッグストアだけではありません。コンビニエンスストアや家電量販店などにも薬を販売している店舗があります。

市販薬を販売しているということは、登録販売者の需要があることを意味します。例えば以下は、北海道(札幌)の大手コンビニエンスストア・ローソンの求人です。

ここには、登録販売者の正社員を募集していることが記載されています。

また以下は、福岡の家電量販店の求人であり、同じように登録販売者を欲していることが分かります。

このように、ドラッグストア以外のさまざまな業態が登録販売者を募集しています。登録販売者は需要の多い資格なのです。特に東京や大阪、愛知などの人口の多い地域では、登録販売者が人手不足となっているが現状であり、中途採用の募集はたくさんあります。

登録販売者の求人は全国どこでも多いわけではない

登録販売者を必要としているのは、市販薬を販売している企業です。薬は人が使うものであるため、人が少ない地域では薬の取扱店そのものが少ないです。そのため人口の少ない地方では、登録販売者の求人も少なくなります。

実際に以下は、厚生労働省が発表している東京の職業別有効求人のデータです。

ここには、東京の職業別の有効求人倍率が記載されています。このうち登録販売者は薬を市販する資格であるため、販売員のカテゴリーに分類されます。このデータでは、商品販売の職業の有効求人倍率が5.01となっています。

これに対して以下は、北海道の職業別有効求人のデータです。

ここには、販売店員・訪問販売員の有効求人倍率が1.86と記載されています。これは、東京の半分以下の倍率です。

このデータの販売店員には、登録販売者以外の販売員も含まれています。そのため、登録販売者のみの有効求人倍率を示すものではありません。

ただどの産業でも、東京や大阪などの都市部よりも人口の少ない地域の方が有効求人倍率は低い傾向にあります。そのため登録販売者も、人口の少ない地方では就職しづらくなるのが現実です。

地方で登録販売者が働ける場所はないのか?

東京や大阪、愛知などの人口の多い地域は求人数が多いため、自分の希望に合った求人を見つけやすいです。

一方で人口の少ない地域は、求人そのものが少ないため、選択肢が少ないです。そのため時期や希望の条件などによっては、企業を選ぶ余地がないことがあります。

例えば以下は、求人専用の検索エンジン(転職サイトでの求人検索)を利用した際の表示です。

登録販売者×東京都で検索した結果、1126件がヒットしました。また検索結果には、ドラッグストアやディスカウントストア、スーパーなどのさまざまな業態が表示されました。

一方で以下は、同じ検索エンジンで鳥取県の登録販売者求人を検索した結果です。

ここに表示されている求人検索の結果は46件であり、東京と比べてかなり少ないです。また検索結果には同じ企業の求人が多く並び、コンビニエンスストアの求人は一つもありませんでした。

このような状況では、働く会社や勤務形態などを選ぶことが難しいです。そのため人口の少ない地域で求人を探した場合、希望通りの働き方ができない可能性が高いです。

ただこれは、登録販売者という資格職に限った話ではありません。求人そのものが少なくなると、選ぶ余地は自ずと少なくなります。

また薬は性別や年齢などを問わず、あらゆる人に需要があります。そのため数は少ないものの、人口の少ない地域でも薬を取り扱っている店は存在します。つまり、登録販売者の需要そのものはあるのです。

さらに都市部から離れるほど、インターネットで注文した商品の配送に時間がかかるようになります。

多くの場合、市販薬は症状が出たときに必要となります。そのため都市部から離れた地域では、その日のうちに商品を手にすることができる実店舗の需要が高いです。そのため人口の少ない地域では選択の余地は少ないものの、登録販売者が働ける場所はあるのです。

登録販売者の人手不足はいつまで継続するのか?

資格や免許などを取得する際、もっとも気になるのは「資格がいつまで役に立つか」という点でしょう。

例えば国家資格である美容師は、かなり前から飽和状態であるといわれています。実際に全国にある美容室の数は、コンビニエンスストアよりも多いです。そのため美容師免許を取得しても、美容師として活躍し続けるのは困難です。

このとき、どの業界であっても資格者の需要には上限があります。これは薬を扱う登録販売者も同様です。そのため中には、「登録販売者業界は早い段階で飽和する」という意見があります。

登録販売者が飽和する可能性は低い

登録販売者試験には毎年1万人以上が合格しています。そのため基本的には、登録販売者の数は年々増加しています。

ただ登録販売者は、他の資格に比べて飽和しにくいです。これは、登録販売者が更新制の資格であるためです。

例えば薬剤師や美容師などは、重大な犯罪をしない限り免許をはく奪されることはありません。どれだけブランクがあっても、薬剤師が薬を取り扱ったり美容師が髪を切ったりすることができます。

これに対して登録販売者が薬を販売できるようになるためには、過去5年以内に24ヶ月以上の実務経験(業務経験)が必要となります。ブランクが長くなってこの条件を満たせなくなると、「研修中の登録販売者」に格下げとなります。

研修中の登録販売者は、薬を販売する資格を持ち合わせません。そのため研修中の登録販売者は、「登録販売者募集」と記載されている求人に応募できません。

例えば以下は、全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、登録販売者の資格を持っている人を募集していることが記されており、「研修中可」や「実務経験なし可」などの記載はありません。そのため研修中の登録販売者は、この求人に応募することができません。

ブランクなどによって研修中になるということは、正規の登録販売者が減ることを意味します。そうすると、ライバルが少なくなることによって正規の登録販売者が就職しやすくなります。

さらに登録販売者試験に受かった人の中には、実務経験を積まないまま登録販売者以外の仕事に就いている人もいます。そのため正規の登録販売者数は、登録販売者の資格保有者(登録販売者試験に受かった人)よりもかなり少ないです。

このようなことから登録販売者は、更新制ではない資格に比べて飽和しにくいのです。

登録販売者として働き続けるためにするべきこと

登録販売者は、資格保有者の数に対して求人が多い状況が続くことが見込まれています。そのため地域によっては選択肢が少なくなるものの、就職先に困る資格ではありません。

ただ「市販薬を取り扱う」という資格の性質上、活躍できるフィールドが限られているのは事実です。そのため好条件で登録販売者として働き続けるためには、自分の登録販売者としての価値を落とさないようにすることが大切です。

時短勤務が可能な求人を選び、3年以上ブランクを空けない

登録販売者が飽和しないとされている要因の一つは、ブランクによって「研修中に格下げ」となるためです。そのため正規の登録販売者資格を維持できれば、ライバルが少ない状況で転職活動することが可能となります。

ただ一方で、何らかの原因によってブランクが生じると、資格の価値が低下します。その結果、好条件の求人を選べなくなってしまいます。そのため登録販売者として働き続けたいのであれば、ブランク期間を3年以上生じさせないことが大切です。

このとき中には、事情によってフルタイムでの勤務が厳しいことがあるでしょう。特に育児や介護などでは、時短勤務を選ばざるを得ないことがあります。

ただ正規の登録販売者になるための業務経験は、フルタイム勤務である必要はありません。月あたり80時間以上の勤務が計2年間(24ヶ月間)あれば、正規の登録販売者を維持することができます。そのため育児などによってブランクを生じる可能性がある人は、時短勤務が可能な求人を選びましょう。

例えば以下は、神奈川・横浜などの関東に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには育休からの復帰率が100%であり、子供が小学5年生になるまで時短勤務が可能であることが記されています。このような求人を選ぶと、出産・育児によってフルタイム勤務ができなくなっても登録販売者資格を維持することができます。

スキルアップして再就職を有利にしておく

ブランクが生じないように注意していても、場合によっては「研修中」に戻らざるを得ない状況になることもあるでしょう。

例えば出産後に復職しようとしても、保育園に空きがなければ働くことができません。そのため都市部の保育園の激戦区では、3年以上仕事に復帰できないこともあります。

また病気や介護などで仕事を辞めざるを得ない状況になった場合、これら原因が解消されなければ復職できません。

うつ病などの治療に時間がかかる病気を発症したり、要介護者を見てくれる人や施設などが見つからなかったりする場合は、3年以上のブランクが生じてしまうことがあります。その結果、「研修中の登録販売者」となって再就職が不利になります。

このようなことから登録販売者として長く働くためには、もしものときに備えてスキルアップしておくことが大切です。

例えばドラッグストアなどで店長やバイヤーなどの経験があると、再就職がかなり有利になります。ブランクによって研修中の登録販売者となってしまっていても、将来を見越して採用される可能性が高くなるのです。

また女性の場合は、ビューティーアドバイザーなどの資格を取得しておくという手段もあります。

美容部員としてドラッグストアで働くことができれば、就職後に正規の登録販売者に戻ることができます。そのためビューティーアドバイザーを取得しておくと、ブランクによって研修中の登録販売者となっても再就職しやすくなります。

ただこのとき、スキルアップしにくい会社に入社すると、ブランクを生じたときに再就職が不利となってしまうことがあります。そのため登録販売者として長く働き続けたい人は、キャリアアップしやすい求人を選ぶことが大切です。

例えば以下は、福岡などの九州を中心に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、未経験者が最短6ヶ月で副店長、3年で店長を目指せることが記載されています。このような求人を選ぶと職務経歴書に書けるような実績を積むことができ、ブランクを生じても再就職しやすくなります。

転職サイトで待遇の良い求人を探し、ブランクに強い人材になっておく

「努力して登録販売者資格を取得したのに、応募できる求人がない」という状況に陥らないようにするためには、正規の登録販売者資格を維持しやすい環境で働くことが大切です。また、スキルアップして再就職を有利にしておく必要もあります。

ただ、このような好条件の求人を探すことは簡単ではありません。そのため登録販売者として長く働きたいのであれば、転職サイトを利用することをおすすめします。

転職サイトを活用すると、担当コンサルタントがあなたに合った求人を探してくれます。その結果、希望に沿った企業に勤めることが可能となり、登録販売者としての仕事を長く続けることができるようになります。

求人の少ない地方であっても中途採用の募集を探してくれるため、あらゆる登録販売者に対応しているのが転職エージェントになります。

まとめ

登録販売者は市販薬を販売するという資格の性質上、ドラッグストアでしか働けないと思われやすいです。また「登録販売者試験の合格者は年々増えているため、早い段階で飽和する資格である」という人がいます。

ただ実際には、登録販売者は市販薬を取り扱っているすべての業態で需要があります。またブランクの発生によって薬を売る資格を失うため、資格者が飽和する可能性は低く、人手不足が継続すると考えられています。

しかしながら何らかの事情によってブランク期間が長くなると、登録販売者であっても「求人がない」という状況に陥ることがあります。このような状況を避けるためには、資格を維持したりスキルアップしたりしやすい企業に入社する必要があります。

そのため登録販売者として長く働き続けたいのであれば、転職サイトを活用して好条件の求人を見つけましょう。そうすることで、登録販売者資格を維持して働き続けることができます。


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