一般的に夜勤は「つらいことばかりであり、なるべく避けたいもの」と思われがちです。実際に夜に働くと、身体的に負担がかかりやすくなります。特に交代制の夜勤では、勤務時間の切替時に生活リズムが大きく変化するため、さまざまな不調を生じやすくなります。

ただ夜勤シフトのみで働く「夜勤専従」という働き方を選ぶと、身体的負荷を抑えながら夜間勤務で働けます。さらに夜勤専従には、経済面や時間面などのメリットもあります。

このときドラッグストアなどの薬の取扱店には、夜に営業している店もあります。薬が販売されているということは、登録販売者の需要があることを意味します。登録販売者は夜勤専従で勤務することも可能なのです。

そこで、登録販売者が夜勤専従で働く方法・メリットや夜勤勤務する際の求人選びについて解説していきます。

登録販売者が夜勤専従できる業態と仕事内容の特徴

夜勤とは、22~5時を含む7時間以上の労働を指します。そのためこの時間帯に営業しているお店では、夜勤することが可能となります。

ただ地域によっては、薬を扱っている店が深夜営業していないケースがあります。例えば以下は、鳥取県での薬を扱っているローソン(24時間営業)の分布図です。

この画像に表示されているローソンは、1件のみです。このことからも、人口の少ない地域では薬を扱っているコンビニエンスストアが少ないことがわかります。そのため、人口の少ない地域で登録販売者が夜勤専従することはかなり難しいです。

一方で東京や大阪などの人口の多い地域では、薬を扱っている24時間営業のコンビニエンスストアが多いです。実際に、以下は東京にある薬を扱っているローソンの分布図です。

この画像から、東京都にいくつも薬を扱っているローソンがあることがわかります。人口の多い地域に住んでいる登録販売者は、夜勤を選ぶことが可能です。

夜勤シフトはパート・アルバイトを中心に回している

労働基準法では、夜間に労働させた人に対して給与を上乗せしなければならないことが決められています。具体的にいうと22~5時の労働には、賃金の25%が上乗せされて支払われます。

賃金が上乗せされるということは、企業の金銭的負担が増えることを意味します。深夜営業は、企業に経済的な負担がかかるのです。

このとき正社員は、アルバイトやパートなどよりも人件費が高いです。そのため正社員を夜働かせると、企業の負担がかなり重くなります。一般的に夜間は昼間よりも売上が低いため、場合によっては採算が取れなくなることもあります。

このようなことから夜間のシフトは人件費の安いアルバイト・パートで回すのが基本となっており、夜勤枠の正社員募集はほとんどありません。

実際に以下は、正社員の求人が検索できる求人サイトで「登録販売者×夜勤」で検索した結果画面です。

ここには、条件に合う求人がないことが記載されています。これに対して以下は、アルバイト求人を確認できるサイトで検索した結果です。

ここには、234件が表示されています。このことからも、夜勤のアルバイト・パート求人は多いものの、正社員の求人は非常に少ないことがわかります。

正社員で夜勤専従することは不可能なのか?

求人はほとんど出ていないものの、正社員の登録販売者が夜勤することは可能です。実際に以下は、京都のコンビニエンスストアの登録販売者求人です。

ここには、勤務時間の欄に夜勤帯の記載があります。このような求人を選ぶと、正社員であっても夜勤で働くことが可能となります。

ただ正社員はアルバイトなどよりも、会社の状況に合わせて働くことが求められます。そのため入社時に夜間専属で働いていたとしても、昼勤シフトに人員不足が出た場合は勤務時間の変更を求められます。

基本的に、やむを得ない事情がない場合は会社からの命令を断ることはできません。そのため正社員の登録販売者は、自分の意志でずっと夜勤専従し続けることはできません。

また何らかの理由によって命令を断ることができても、何度も命令を拒否しているとキャリアアップへの道が閉ざされます。「企業の意向に準ずる意思がない」と見なされるためです。

さらに夜間は、昼間よりも忙しくない店舗がほとんどです。そのため夜勤しか経験していない人は、実力が伸びません。その結果、出世が難しくなるケースもあります。

企業の意向に応えず実力もない社員は、企業にとっては不要の存在です。そのため自分の希望を通し続けて夜勤専従を続けていれば、いずれは会社から厄介者扱いされて退職やアルバイト勤務などを迫られることになるでしょう。つまり、基本的に正社員がずっと夜勤専従となることはできないのです。

ただ夜勤と昼勤を頻繁に入れ替えると、体に大きな負担がかかります。そのため入社時に夜勤の働き方を選んだ場合、しばらくは夜勤のままであることが多いです。

実際に私がディスカウントストアで働いていたとき、人員の都合で登録販売者が夜勤専従となることがありました。どの従業員も1~2年は夜勤専従を続けており、会社の都合で頻繁に日勤と入れ替わることはありませんでした。

また状況と上司の考え方などによっては、長期間夜勤を選べるケースもあるでしょう。例えば昼間に介護などの用事が入りやすい人は、夜勤の方が時間の都合をつけやすくなります。このような事情がある場合は、考慮されて夜勤を続けることができる可能性もあります。

ただ入社時の契約が「夜勤専従」でない限り、昼勤へ回される可能性はゼロにはならないことを覚えておく必要があります。

登録販売者が夜勤専従で働くメリット

一般的に、夜勤は「つらそう」と思われがちです。確かに、多くの人は日中に活動する生活リズムになっているでしょう。このような人が急に夜勤のリズムで生活しようとすると、心身に強い負荷がかかります。

また医師や看護師などの医療関係者は、日勤と夜勤が入り混じったシフトで働くことがあります。このような場合も、生活リズムを一定に保てないため強い疲労・ストレスを感じるようになります。このようなことから、一般的に夜勤は「身体的な負担の強い働き方である」と思われています。

ただ夜勤のみで働く場合は、一般的に思われている夜勤のつらさがないことが多いです。むしろ収入面などのメリットが多いため、夜勤専従を希望する登録販売者は多いです。

割増賃金や夜勤手当などで収入がかなり高くなる

前述のように、夜勤の時間帯は賃金の25%が上乗せして支払われます。そのように法律で決められているからです。そのため夜勤専従で働くと、収入がかなり多くなります。

例えば通常の月給を20万円、1ヶ月の勤務日数を20日と仮定すると、1日あたりの給与は1万円となります。1日の基本的な労働時間は8時間であるため、1時間あたりの給与は「10,000円÷8時間=1,250円」となります。

この企業で22時~翌朝7時までの夜勤シフトで働いた場合、22~翌朝5時までの7時間が賃金上乗せタイムとなります。この間に休憩を1時間取ることになるため、実質の賃金上乗せ時間は6時間となります。

賃金が上乗せされている時間の給与は、1時間あたり「1,250円×1.25=1,562.5円」です。そのため夜勤シフトで働いた場合の1日の給与は、「1,250円×2時間+1,562.5×6時間=11,875円」となります。

このような夜勤シフトを1ヶ月間続けると、1ヶ月の給与は「11,875円×20日=23万7,500円」となります。日勤での給与が20万円である場合、夜勤すると月収が37,500円も高くなるのです。

また場合によっては、法令による賃金上乗せとは別に夜勤手当がつくケースもあります。例えば以下は、全国に店舗を展開するドラッグストアの夜勤専従求人です。

ここには深夜割増賃金とは別に、72,000円の夜勤専従手当が支給され、月収が30万2,000円以上となることが記載されています。このような企業に入ると、夜勤による収入が特に高くなります。

夜勤のみのシフトは生活リズムを保ちやすい

「夜勤は体調を崩しやすい」と思われがちな要因の一つは、生活リズムの変化です。

普段日勤で働いている人が夜勤で働き始めると、普段寝ている時間に働かなければならなくなります。そのため、夜勤を始めたばかりの頃は仕事に集中できない日が続きます。

また就寝時間が普段活動している時間になるため、最初はなかなか寝付けません。その結果、寝不足になって心身の不調が現れやすいです。そのため、もともと日中に活動していた人が夜勤を始めた場合、しばらくは体調を崩しやすい時期が続きます。

ただ夜勤専従となって夜に活動することが増えると、体がこのリズムに慣れてきます。その結果、夜に活動することによる心身の負担がほとんどなくなります。

またドラッグストアなどでの日勤では、朝型シフトと昼型シフトの両方をこなすことが求められます。例えば12~21時まで勤務した次の日に9~18時で働くことがあるのです。

21時まででの勤務では、家に着くのが22時過ぎとなります。その後に食事や入浴などを済ませると、24時頃になるでしょう。

このとき翌日9時に出勤するためには、7時くらいには起床しなければなりません。そうすると食事・入浴を済ませてすぐ寝ても、確保できる睡眠時間は7時間程度となります。

このような状態では趣味などの時間は取れないですし、人によっては睡眠時間を足りなく感じるでしょう。ドラッグストアなどでの販売店で日勤すると、勤務時間が頻繁に入れ替わって十分な休息時間を確保しにくくなるのです。

一方で夜勤専従では、シフトが固定化されることが多いです。例えば以下は、横浜にあるコンビニエンスストアの夜勤専従登録販売者の求人です。

ここには、勤務時間が23~翌朝8時までであることが記載されています。ここで夜勤専従として働けば、毎日同じ時間に働くことができます。生活リズムを一定に保つことができるのです。

生活リズムを保つことができれば、その分だけ体調管理がしやすくなります。一般的に体調を崩しやすいと思われがちな夜勤であっても、夜勤専従ではむしろ体調を維持しやすくなります。

趣味に没頭したり家族・友人と過ごしたりする時間が取れる

日勤で働いている場合、日中に用事を済ませることができません。ただ、昼間しか済ませられない用事は多いです。

例えば基本的に、銀行や役所などの手続き・届け出は日中にしか行えません。また病院も、日中のみの診察であることが多いです。そのためドラッグストアなどに日勤すると、平日の休憩時間に用事を済ませなければならなくなります。

これに対して夜勤専従では、日中しかできない用事を仕事の前後に終わらせることができます。例えば仕事上がりに銀行へ行ったり、仕事前に病院を受診したりすることができます。

そうすると、休日を自分の好きなように過ごすことができます。遠出したり長時間趣味に没頭したりなどの、充実した時間を送ることができるのです。

また通常、ドラッグストアなどの小売業では土日祝日に休むことができません。土日祝日の日中は、来客数が多いためです。そのため小売業の日勤では、土日祝が休日の友人や子供などとの時間を取りづらくなります。

一方で日曜日の夜は、次の日が平日であるため来客数が少ないです。そのため夜勤専従では、日勤よりも日曜(日曜夜の仕事)を休日としやすいです。

日曜夜の仕事が休みになると、土曜の夜勤明けに出かけることができます。休日は固定しやすいですし、夜勤専従で働くと、友人・家族との時間を確保しやすくなるのです。

実際に夜勤専従として働いている人の口コミの中には、子供との時間が取りやすくなったというものがあります。このことからも夜勤専従は、日勤よりも家族との時間を確保しやすい働き方であることが分かります。

接客に時間をかけることができ、顧客に信頼してもらえる

基本的に昼間は、出歩いている人や買い物する人などが多いです。そのため飲み屋街などの「夜の街」を除き、ほとんどの店舗では夜よりも昼の方が忙しいです。

来客数が多く忙しい環境では、レジや品出しなどにかかる時間が長くなります。またドラッグストアやディスカウントストアなどの業態では、日中に商品が納品されます。そのためこれら業態での日勤は、納品作業に追われながら仕事にあたることになります。

このような環境下では、接客に充てられる時間がかなり少なくなります。そのため、一人の顧客の話をじっくり聞くことは難しいです。

一方で夜間は、来客数が少ないです。来客が少ないということは、一人ひとりの顧客にかけられる時間が多くなることを意味します。そのため夜勤では、日中よりも接客に時間をかけることができます。

顧客の話をしっかり聞いて要望に答えると、信頼関係が生まれます。そうすると、定期的に来店してくれる常連客となります。

実際に私が登録販売者として夜勤で働いていたときは、一人ひとりの顧客に時間をかけて接客していました。その結果、「あなたから薬を買いたい」という常連客がかなり多くなりました。夜勤では、あなたの固定客を増やすことができるのです。

固定客が付いてくれると、売上が上がりやすくなるだけではなく、やりがいも得られます。そのため接客が好きな人が夜勤を選ぶと、楽しく仕事しやすい職場環境となります。

登録販売者が夜勤専従する際のデメリットとその対処法

夜勤専従には、金銭面や時間面などのメリットが多数あります。そのためお金が欲しい人や自由な時間が欲しい人などは、夜勤専従が向いています。

ただ夜間の勤務は、日勤にはないデメリットやリスクなどもあります。そのため夜勤専従を選ぶ際は、覚悟するべき点も認識しておく必要があります。

地域によっては酔っぱらいの相手をすることになる

どの時間帯・地域でも、ガラの悪い人はいます。そのため、どうしても悪質な顧客に対応するリスクはあります。

ただ夜勤の場合、日勤よりも顧客に絡まれるリスクが高いです。夜の時間帯は、お酒に酔った人の来客が多いためです。特に飲み屋街に位置している店舗は、酔った顧客に対応する機会が増えます。

酒に酔った人は、正常な会話ができなくなりやすいです。そのため理不尽なクレームを付けられたり、接客に時間と労力がかかったりします。

また中には、泥酔している人が来店することもあります。このような人は店内で寝たり嘔吐したりすることがあります。実際に私が夜勤していたとき、泥酔して店内で寝たり吐いたりした人がいました。

夜勤で働く場合、このようなリスクをゼロにすることはできません。ただ飲み屋街の店舗を避けると、酔っぱらいの相手をする機会を少なくすることができます。そのため酔っぱらいの相手をしたくない場合は、歓楽街の中にある店舗を選ばないようにしましょう。

立地とタイミングによっては交通手段がない

コンビニエンスストアなどの24時間営業の店で夜勤する場合、朝6~8時に退勤となることが多いです。この時間には交通機関が動いているため、問題なく帰宅することができます。

ただ中には、朝6時よりも前に閉店する店舗があります。例えば以下は、大阪の薬を扱っているディスカウントストアの営業時間です。

ここには、営業時間が朝5時までであると記されています。そのためこのような店舗では、5時半などに退勤することになります。

ただこの時間帯は、地域によっては交通機関が動いていないタイミングです。営業時間が5時までの店舗で夜勤する場合、始発が動く前に退勤となることがあるのです。このような場合、店舗や外などで長時間始発を待つことになります。

そのため徒歩で通勤できないようであれば、24時間営業の店舗を選び、始発の時間より前に閉店する店舗を選ばないことが大切です。

パートナーの理解が得られないと体に無理がかかる

前述のように、夜勤専従は日曜日や祝日などの日中に自由な時間を確保しやすいです。

ただ頻繁に徹夜すると体に負担がかかるのと同様に、夜勤明けの休みに毎回活動すると疲れが溜まります。そのため夜勤の場合、休みのたびに日中活動することは避けるのが賢明です。

ただ、パートナーが夜勤に理解がなかったり小さな子供がいたりする場合、休日の日中に休息をとることが困難になるでしょう。

例えばパートナーが日勤の仕事だったり専業主婦・主夫だったりする場合、休日の昼間に寝ていることに対して不満を持ちやすいです。「せっかくの休みなのだから、お出かけしたい」と思われます。

また小さな子供がいる場合、家でゆっくりすることはできません。たとえ夜勤明けで疲れていても、子供にとって日中は活動時間(=遊べる時間)です。

そのためパートナーの理解と協力がない限り、夜勤明けであっても日中に子供の面倒を見ることになります。家庭を持つ人が夜勤専従で働く場合は、パートナーに協力してもらうことが必要となるのです。

ウエルシアなどの休日が多い夜勤専従で休息時間を確保する

基本的に、アルバイト・パート以外の働き方では1日8時間・週40時間の勤務となることが多いです。ただ夜勤専従の中には、休日が通常よりも多い求人もあります。

例えば以下は、ウエルシアの夜勤専従求人です。

ウエルシアの中途採用では「夜勤専従休暇が3日付与され、月の休みが12日である」ことが記されています。このような求人を選ぶと、パートナー・子供がいない平日の日中に休息を取りやすくなり、体への負担を減らすことができます。

まとめ

一般的に、夜勤は体に負担のかかる働き方であると思われています。実際に日勤の人が夜勤で働く場合、普段寝ている時間に活動することになるため心身に負担がかかります。

ただ夜勤専従で働くと、夜型のリズムに体が慣れてきます。その結果、ドラッグストアなどの日勤で働く場合よりも生活リズムを一定に保つことが可能となります。

また夜勤専従では、割増賃金や夜勤手当などによって収入が上がります。さらに日中に空き時間を作ることができるため、用事をこなしたり友人・家族との時間を確保したりしやすくなります。

ただ夜勤には、日勤にはないデメリットがあるのも事実です。そのため夜勤専従で働きたい人は、これまでに述べた情報を参考にして求人選びをしましょう。そうすることで、心身の健康を保ちながら自由な時間と高収入を手に入れることができます。


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