登録販売者の求人の多くはドラッグストアなどの販売員です。ただ登録販売者の資格を持っている人の中には、自分のスキルを活かして営業職に就きたいと思っている人もいることでしょう。
一般的に営業職は、店舗の販売員よりも収入が高めです。また薬の販売店は土日祝日も営業しています。そのため販売員として働く場合、定休が平日となることがほとんどです。
これに対して営業職では、土日祝日が休みとなるケースが多いです。そのためコミュニケーション能力が高い人であれば、営業職に就くことによって土日祝日の定休と高年収を実現することが可能となります。
ただ、あなたに適切な求人を選ばなければ、思うように業績が上げられないことがあります。その結果、収入が低くなったり残業が多くなったりしやすくなります。
そこでここでは、登録販売者が就ける営業職の特長と適切な求人の選び方について解説していきいます。
登録販売者が就ける営業職とそのメリット
業界を問わず、営業職で実績を出すためにはコミュニケーション能力などの営業スキルを高める必要があります。これを言い換えると、営業スキルが高ければ、どの業界の営業であっても活躍できるということです。
特に「登録販売者=薬剤師に次ぐ薬のスペシャリスト」としての付加価値があると、高収入を実現したり安定して働き続けたりしやすくなります。そのため営業スキルをもつ登録販売者は、資格を活かした営業職に就くことをおすすめします。
ただ営業職といっても、業態によって給与形態や働き方などが異なります。そのため登録販売者を活かして営業職に就く場合は、どの業態が自分に適しているかを見極めることが大切です。
市販薬(置き薬)のセールスマンで高収入を得る
さまざまな営業職の中でも、登録販売者の取得が必須となるのが配置薬(置き薬)のルート営業です。
配置薬の営業では、一般客に薬を販売することになります。そのため配置薬の販売員になるためには、登録販売者などの薬を市販できる資格が必須となります。このことから配置薬の販売は、登録販売者がもっとも挑戦しやすい営業職であるといえます。
配置薬営業では担当となったエリアの既存客の家を、1日10~20件ほど訪問します。そして、置き薬の利用分の代金を回収したり使用した商品の補充をしたりしていきます。
ただ薬の利用代金を回収するだけでは、なかなか業績が上がっていきません。具合が悪くならないと薬が使われないためです。
そのため顧客の家にただ薬を置いておくだけでは、ノルマを達成できないのです。したがって配置薬の営業では、顧客の健康状態などをヒアリングして新商品や健康食品などの使用を提案・推奨していく必要があります。
例えば以下は、大阪にある配置薬販売会社の求人の業務内容欄です。
ここには、置き薬の精算や補充だけではなく、病気に対する予防医学や体調改善などについてアドバイスを行うと記載されています。つまり、病気の予防や体調改善などのために商品を提案する業務があるのです。
商品を新しく使用してもらえれば、その分だけ成績が上がります。そうすると、給与が上がったり昇格したりしやすくなります。「商品の提案力=営業スキル」が高いと、高収入を実現することができるのです。
特に歩合給を取り入れている企業では、成績が収入に反映されやすいです。例えば以下は、長野にある置き薬販売企業のルート営業求人です。
ここには、試用期間中も固定給に加えて歩合給が出ることが記載されています。また歩合給によって、平均給与が37万7000円となっていること、試用期間中に40万円以上が支給された実績があることも記されています。
そのため歩合給を取り入れている企業で実績を出すと、入社後早い段階で高収入を実現することができます。
一方で歩合給の割合が高い企業では、商品が売れずに業績が下がることによって収入がかなり低くなります。また、会社・上司からもっと商品を売るように圧力がかけられることになるため、強いストレスを感じやすくなります。
実際に私の知り合いの登録販売者は、資格を取得して配置薬の販売業に2年ほど従事していました。ただノルマ達成への重圧によって強いストレスを感じ、販売業へと転職しました。
このことから配置薬の営業は、スキルに自信がある人や高収入を狙いたい人、ノルマの重圧に強い人などに向いているといえます。
市販薬の販売以外の営業職で安定した収入を得る
登録販売者は薬を販売することができる資格です。そのため一般的には、登録販売者は薬の販売店以外での需要がないと思われがちです。
ただ実際には、登録販売者の資格は製薬会社や薬の卸会社などで活かすこともできます。
製薬会社で働くためには、薬の知識を蓄える必要があります。入社後に研修を受けて勉強することは可能ですが、数回の研修で薬に詳しくなることは不可能です。
このようなことから薬の基本的な知識をもつ登録販売者は、採用面で優遇されます。また同様の理由で、医薬品の卸会社などへの就職も有利になります。
例えば以下は、一般用医薬品の卸会社の営業職の求人です。
ここには、「ドラッグストアなどでの販売経験が活かせる」との記載があります。またこの企業で扱っているのは、登録販売者が販売に携わる一般用医薬品です。そのため登録販売者としてドラッグストアで勤務した経験があれば、このような企業で優遇されやすくなります。
実際に私の知り合いにも、登録販売者の資格を活かして製薬会社や医薬品卸会社などの営業、MRなどになっている人がいます。そのため登録販売者の資格を必須とする企業ではなくても、資格を取得した際に得た知識は他業界で役立てることができるのです。
ただ基本的に、営業職にはノルマがつきものです。そのため製薬会社などの営業でも、配置薬の営業と同様に達成するべき数値目標が課せられます。
また配置薬の営業が一般用医薬品の知識を活用するのに対して、製薬会社などでは医療用医薬品を取り扱うことがあります。そのためこのような業態の営業職に就くためには、登録販売者としての知識だけでは不十分です。場合によっては、MR認定資格などの資格を新たに取得することが推奨されることもあります。
一方で深い知識が必要とされると、その分だけ給与が高くなりやすいです。そのため医療用医薬品を扱う職種は、一般用医薬品を取り扱う職種よりも年収が高い傾向にあります。
例えば以下は、大阪や京都などに営業所のある置き薬販売会社の求人です。
ここには年収例として、入社5年で380万円、入社10年で500万円となることが記されています。
これに対して、以下が東京のMRの求人です。
ここには、年収が500~800万円であることが記されています。つまり、最低でも転職直後から年収500万円となるのです。
また製薬会社や医薬品卸、MRなどの営業では、給与形態が固定給であるところが多いです。
歩合給制度が取り入れられている企業は、実績次第で即座に収入を上げられる一方で、収入が安定しにくいという側面もあります。したがって医療用医薬品を取り扱うMRやMSなどは、置き薬の販売業よりも給与が安定しやすい傾向にあるといえます。
このようなことから営業スキルをもつ登録販売者は、製薬会社や医薬品卸会社などでの営業職も選択肢に入れることをおすすめします。
希望の年収・働き方を実現する求人の選び方
営業職を考えている登録販売者の中には、収入を高めたり安定させたりしたいと考えている人が多いでしょう。そのためこのような人は、掲示されている年収や月収などで求人を選んでしまいがちです。
ただ自分に合わない企業に就職すると、ストレスを溜めやすくなります。その結果、仕事を長く続けられなくなって退職・転職を繰り返すことになりかねません。
また求人選びを誤ってしまうと、思うように成績が伸びずに想定していた年収・月収を達成できないこともあります。そのため希望の年収を実現するためには、自分にあった働き方が可能な求人を探すことが大切です。
飛び込み営業やアポ取りのない求人を選んでストレスを軽減する
営業職のメイン業務は、顧客のところへ出向いて商品の案内・販売を行うことです。この業務に割ける時間が長くなるほど、成績が向上しやすくなります。そのため希望の年収を実現するためには、営業職に集中できる環境で働く必要があります。
例えば営業職が飛び込み営業やアポ取りなどをすることになると、その分だけ既存客に割ける時間が少なくなります。そうすると、既存客からの売上が低下しやすくなります。そのため営業先の新規開拓を担うことになると、成績が思うように上がりにくくなります。
さらに飛び込み営業やアポ取りなどは成約率がかなり低いため、精神的なストレスがかかります。そのためこれらの業務を営業が行う必要のある企業では、仕事内容や収入面などによって強いストレスを感じやすくなります。
したがって高収入を実現したり長く働き続けたりするためには、飛び込み営業やアポ取りなどをする必要がない求人を選ぶ必要があります。
例えば以下は、全国に営業所を展開している企業の置き薬営業の求人です。
ここには、担当エリアの世帯を訪問して、営業先を新規開拓する業務があることが記載されています。
一方で、以下は大阪の置き薬販売会社の求人です。
ここには、飛び込み営業の必要性がないことが記されています。このような記載のある求人を選ぶと顧客への商品提案業務に集中することができるため、業績・収入を上げやすくなります。
ノルマなしの営業職求人は存在するのか?
ノルマを課せられると、精神的なストレスがかかります。そのためほとんどの人は、ノルマのない環境で働きたいと思っているはずです。
ただ基本的に、ノルマがまったく存在しない営業職はありません。会社が存続するためには、一定の利益を上げ続ける必要があるためです。そのため会社の売上を作る部署である営業職には、達成するべき数値目標(=ノルマ)が課せられるのです。
これは、置き薬の営業でも同様です。そのため売上目標を達成するために、顧客へ薬の使用や健康食品の活用などを推奨する必要性が生じます。
実際に置き薬を含めて、登録販売者が就ける営業職の求人のほとんどに「ノルマなし」という記載がありません。そのため専門職である登録販売者であっても、営業職に就く場合はノルマを課せられることを覚悟する必要があります。
求人選びでプライベートとの両立を実現する
営業職は顧客に商品を売る仕事です。そのため営業職では、顧客に会うために残業が発生することが多いです。
例えば夫婦共働きの世帯では、仕事で日中家にいないことがほとんどです。そのため、このような世帯に置き薬の営業をするためには、顧客の帰宅後に伺う必要があります。場合によっては、顧客から21時過ぎに訪問するように指示されることもあるようです。
さらに営業の仕事を終えた後は、事務作業があります。そのため日中に家族全員が留守になるような世帯に置き薬の営業へ行くと、残業時間が長くなりやすいです。
実際に置き薬営業を経験した人の口コミでは、20~21時までの勤務が当たり前だったという声が多いです。中には、23~24時に及ぶことが多い企業もあるようです。
ただ中には、残業が少ない置き薬の営業もあります。例えば以下は、大阪や京都などに営業所のある置き薬営業の求人です。
ここには、19時半には全社員が完全に退勤しているということが記されています。このような記載のある求人を選ぶと、退勤後に自分の時間を確保できるようになります。
また以下は、同じ企業の休日休暇欄です。
ここには、土日祝日が定休であることと、夏季・年末年始には6~7連休が取得可能であることが記載されています。このような記載のある企業を選ぶと休日を充実させることができ、プライベートと仕事の両立を実現することが可能となります。
ルート営業で安定した収入を実現する
営業職で収入を向上させるためには、高いコミュニケーション能力が必要です。ただ営業が得意な人であっても、担当するエリアによっては実績を上げられないことがあります。
例えば置き薬や他業種の営業などのトラブルが起こると、この情報が地域で共有されることがあります。そうすると、エリア全体が「配置薬を自宅に置くことや営業の話を聞くことなどに抵抗を覚える世帯」ばかりになります。
このような地域では、どんなにコミュニケーション能力が高い人でも実績を上げられません。そのため営業職の収入は、配属されるエリア配属(=運)にも左右されるのです。したがって歩合給の割合が高い企業に勤めることには、収入が激減するリスクを伴います。
例えば以下は、岡山に事業所がある企業の置き薬営業の求人です。
ここには、入社2年目以降の給与形態が月給14万円+歩合給となることが記載されています。このような給与形態で実績が上げられないと、収入がかなり低くなってしまいます。そのため歩合給の割合が高い企業では、収入を安定させることは難しいです。
一方で以下は、関西に営業所がある企業の置き薬営業の求人です。
ここには、固定給として月額20万円が支給されることが記載されています。つまり業績が悪い月であっても、20万円はもらえるということです。
さらに以下のように、この固定給は新卒の初任給の実績・最低保証額であると記載されています。
そのため経験や能力などによっては、固定給が上がって安定した高収入を実現することができます。したがって高収入を安定させたいのであれば、固定給の金額が高い求人を選ぶことが大切です。
みなし残業代が出る企業はサービス残業が多い傾向にある
基本的に、勤務時間が1日8時間、週40時間を超えると、超過分は時間外労働(=残業)という扱いになります。残業では通常の賃金に25%(残業時間が月60時間を超える場合は50%)が上乗せされて支給されます。
ただ例外的に、みなし勤務制度が導入されている企業では、残業した時間分の賃金が支給されないことがあります。みなし勤務制度とは、実際に就業している時間に関わらず、規定された時間分だけ勤務したとみなすことをいいます。
例えば以下は、東京や大阪、名古屋などの全国に営業所がある企業の求人です。
ここには勤務時間がみなし勤務制であり、みなし時間は65分であるとの記載があります。
この勤務形態では、1日の実質稼働時間にかかわらず「9時間5分働いた」とみなされることになります。つまり1日の労働時間が8時間であっても12時間であっても、9時間5分働いた分の給与が支給されるということです。
この制度を取り入れている企業では、実際に残業が発生しなくても残業代を受け取ることになります。
ただ、みなし勤務制度を取り入れているということは、「残業が発生するのが基本の業務内容である」ということを意味します。そのためこのような制度がある企業では、残業が生じるのが基本です。
つまり、みなし勤務制度のある企業で残業なしを実現することは困難です。むしろ、みなし勤務分を超過して働くことになることがほとんどです。そのため、みなし勤務制度のある企業で働く場合は、サービス残業が多くなることを覚悟する必要があります。
登録販売者が営業職でキャリアアップするためのコツ
前述のように、営業職(ルート営業を含む)は販売業よりも収入が高めです。そのため営業職でキャリアアップすると、ドラッグストアなどで昇給・昇格したときよりも年収が高くなりやすいです。
ただ当然のことながら、業績が上げられなければ昇進することはできません。登録販売者が営業職でキャリアアップするためには、業績を上げるノウハウを教えてくれる企業に就職することが大切です。
教育制度が充実している企業でキャリアアップを実現する
営業職で実績を出すためには、コミュニケーション能力が必須です。ただコミュニケーションがうまいだけでは、業績を安定させることは難しいです。
例えば顧客に商品を使用してもらうためには、商品を魅力的に感じさせるトークテクニックが必要となります。
また適切な商品提案をするためには、ヒアリングの技術も必要です。業績を上げ続けるためには、営業テクニックを学ぶ必要があるのです。したがって登録販売者が営業職でキャリアアップするためには、教育制度が充実している企業を選ぶことが大切です。
例えば以下は、岡山に営業所のある置き薬販売業の求人です。
ここには、定期的に勉強会が開かれていることやマニュアルが充実していることなどが記載されています。また入社3年目で係長になったり、2年で主任に昇格したりなどの昇進例も記されています。そのためこの会社では、キャリアアップを実現しやすいことがわかります。
置き薬の営業でキャリアアップを実現したいのであれば、研修制度が充実している求人を選ぶことが大切です。
転職サイトを利用して自分に合った企業を探すべき
営業職で業績を積んで昇進すると、高収入を実現することができます。ただ自分に合わない企業に就職してしまうと、収入を高くするどころか自分のキャリアに傷をつけてしまうことになりかねません。
例えば飛び込み営業したりプライベートな時間が取れなかったりすると、強いストレスを抱えます。その結果、心身ともに疲労して思うように業績を上げられなくなります。場合によっては、病気で働けなくなることも考えられます。
短期間で転職を繰り返すと、だんだん採用されにくくなっていきます。「長期間働くことができない人である」と見なされるためです。自分に合わない企業に就職してしまうと、自身の履歴に傷が付くリスクが高くなるのです。したがってキャリアアップを実現するためには、自分に合った企業を探す必要があります。
ただ、数ある企業から適切な職場を自分一人で探すことはかなり難しいです。働きながら転職活動する場合、職場探しに十分な時間を割けないことも多いでしょう。そのため希望の条件に沿った求人は、転職サイトを利用して探すことをおすすめします。
転職エージェントを利用すると、担当者が自分に合った企業を探してくれます。また給与などの交渉も担当者が行ってくれるため、キャリアアップや入社時の高収入などを実現しやすくなります。
このとき担当者のスキルには個人差があります。そのため転職を成功させたいのであれば、複数の転職エージェントに登録しましょう。
まとめ
登録販売者の求人の多くは、ドラッグストアなどの薬の販売店です。ただ中には、登録販売者の資格を活かして置き薬の販売や製薬会社などの営業職に就いている人もいます。
営業職は販売店での勤務よりも収入が高くなりやすいです。そのため営業スキルを持つ登録販売者は、営業職を選ぶことで高収入を実現しやすくなります。
ただ自身に合わない企業を選んでしまうと、思うような収入が得られなかったりプライベートの時間がなくなったりしやすくなります。
そのため登録販売者が営業職に就く際には、転職サイトを活用して自身に合った求人を探すことが大切です。そうすることで高収入を得ながらプライベートとの両立を実現することができます。
登録販売者が転職を行い、求人を探すにしても自分一人で行うのは現実的ではありません。そこで、ほとんどの人が転職エージェントを活用します。
転職サイトを利用すれば、「年収の交渉」「希望の勤務地」「労働時間の調節」を含めてすべて代行してくれるようになります。
しかし、転職サイトによって「地方在住者でも事前面談に対応している」「40代以上でも利用可能」など特徴に違いがあります。人気の転職エージェントの中でも、これらの特徴を理解したうえで、どの転職サイトを利用すればいいのか検討しなければいけません。
そこで当サイトでは、転職サイトごとの特徴について解説しています。転職では2~3社以上に登録して活動するのが基本になるものの、どの転職エージェントを利用すればいいのか理解したうえで以下のページから比較検討し、転職サイトへ登録するようにしましょう。