登録販売者は市販薬を販売できる資格であるため、基本的には薬の販売業務に就くことになります。
ただ登録販売者の中には、薬よりも美容業界に興味のある人も多いです。中には、顧客に美容施術を行うエステティシャンを志望する人もいます。
それでは、登録販売者はエステティシャンを目指すことは可能なのでしょうか？ また登録販売者がエステサロンで働くためには、どのようにすればいいのでしょうか？
ここでは、登録販売者がエステサロンで働く方法について解説していきます。
もくじ
登録販売者はエステサロンにも需要があるのか？
美容系サロンの中には、免許保持者しか施術不可能なケースがあります。例えば美容師として髪をカットするためには美容師免許が必要です。また、鍼灸師免許のない人は顧客に鍼灸治療を実施できません。
このとき、エステサロンのスタッフは認定エステティシャンなどの資格を持っているケースが多いです。そのため「エステ系の資格がなければ、エステサロンで働けない」と思っている人も多いでしょう。
ただ、エステサロンで働くために必須となる資格は存在しません。エステに関わる資格のすべては民間資格であるためです。
資格には大きく分けて、国家資格と民間資格の2種類があります。これらのうち国家資格だと、免許の保持者でなければ就けない業務がいくつもあります。
一方で、民間資格には「資格がなければ就けない職」がありません。エステサロンは特定の資格を持たなくても働くことができる業態なのです。そのため美容系の資格を持たない登録販売者であっても、エステサロンで働くことは可能です。
登録販売者の知識は美容分野でも活かせる
なお、エステサロンでは登録販売者としての知識を業務に活かすことができます。登録販売者は体の仕組みや薬に含まれている成分などの基礎知識があるためです。
例えば、シミや肌の赤みなどが気になっている顧客に接客をする場合、一般的なエステティシャンは生活習慣のアドバイスなどが限界です。中には、インターネットで散見されるトンデモ医療などを勧める人もいます。
一方で登録販売者であれば、外用薬や内服薬などの使用法も含めて肌悩みの改善方法を正確にアドバイスができます。市販薬の中には、シミなどの肌悩みを改善できる薬があるためです。
実際に以下は、ドラッグストアにあるビタミン剤の陳列棚です。
ここには、「シミを治せる」と記された市販薬が陳列されており、登録販売者であれば薬の成分からその理由を含めて説明できるはずです。登録販売者としての知識があると、一般的なエステティシャンよりも高度な接客が可能となるのです。
また、このような専門知識を活かして「顧客に役立つ接客」をすれば、固定客がつきやすくなります。エステ業界は歩合制を取り入れている場合が多いため、固定客がつけばその分だけ収入アップにつながります。登録販売者資格はエステ業界でも活かせるのです。
エステサロンで市販薬を扱えるようになる
また少数ではありますが、エステサロンの中には市販薬を取り扱っている店舗もあります。特に、漢方エステサロンで漢方薬が取り扱われているケースが多いです。
実際に、私の知り合いには漢方を取り扱うために登録販売者資格を取得し、個人経営の漢方エステサロンを開業した人がいます。
当然ながら、市販薬を販売している店舗だと登録販売者の需要があります。エステサロンの中には、登録販売者資格そのものを活かせる店舗もあるのです。
特に漢方薬は、美容にこだわる人からの支持が厚いです。そのためエステサロンで漢方薬を扱うと、固定客を獲得しやすくなります。
登録販売者がエステサロンで働く求人選び
なお前述のようにエステサロンの一部では、市販薬が取り扱われていることがあります。ただ、これはまれなケースです。ほとんどのエステサロンは、薬を取り扱っていません。
そのため、エステサロンの登録販売者求人はほとんどありません。したがって登録販売者は、未経験可のエステサロン求人を中心に探しましょう。
例えば以下は、千葉にあるエステサロンの求人です。
この求人は「未経験歓迎」となっています。このような求人を選べば、登録販売者であっても働くことができます。登録販売者の知識を美容へ活かせるのは間違いありませんが、エステの技術については持ち合わせてないため、どうしても未経験での求人応募になってしまいます。
研修が充実している求人を選ぶ
ただ未経験可の求人の中には、深刻な人員不足によって新人研修をほとんど行っていないケースがあります。その場合、手順を一通り伝えられただけの状態で顧客へ施術することになります。正確な知識・技術を身に着けないまま接客するため、やけどなどの事故やクレームにつながるケースもあります。
そのためエステサロンで働きたい登録販売者は、「未経験者が多い」と記されていて研修制度が充実している求人を選びましょう。例えば以下は、大阪にあるエステサロンの求人です。
この求人は新入社員の導入研修が3ヶ月間あり、異業種からの転職者が多いです。このような求人を選べば、エステ未経験の登録販売者であっても問題なくエステティシャンを目指すことができます。
ドラッグストアの美容部員など範囲を広げて探す
また登録販売者資格を美容業界で活かしたいのであれば、エステサロン以外の業種にも視野を広げて求人を探すことをおすすめします。
例えば、顧客に美容施術を施すのはエステサロンだけではありません。ドラッグストアの美容部員も顧客へのタッチアップ業務があります。
当然ながらドラッグストアでは、市販薬を販売しているため登録販売者の資格者需要が高いです。またドラッグストアで働くと、店舗で販売している市販薬を含めた美容アドバイスができます。そのため、エステサロンで働くよりも登録販売者の知識を活かしやすくなります。
例えば以下は、東京・渋谷にある美容系ドラッグストアの求人です。
この求人は、顧客にエステの施術などを実施する美容部員の登録販売者を募集しています。ドラッグストア勤務であっても、美容部員求人を選べばエステ顧客に美容施術を行うことができるのです。
・整骨院やマッサージサロンもあり
またエステサロンだけでなく、整骨院やマッサージサロンの中にも市販薬を販売しているケースがあります。このような店舗で働くと、登録販売者資格そのものを活かしながらマッサージ技術を学んだり顧客と密接な関係築いたりすることができるようになります。
例えば以下は、千葉にあるマッサージサロンの求人です。
この求人は市販薬を取り扱っており、登録販売者の実務経験を積めると記されています。つまり登録販売者資格そのものを活かせるマッサージ求人なのです。
そのため登録販売者資格を活かして美容業界で働きたい登録販売者は、エステサロンだけでなくドラッグストアやマッサージサロンなども候補に入れるといいでしょう。
登録販売者がエステサロンで働くコツ
なお前述のように、エステ業界は常に人手不足です。そのため、未経験者を歓迎している求人が多く、美容系資格ではない登録販売者の資格者でも挑戦しやすい業態です。
ただ実際にエステティシャンとして働き始めるためには、一定の施術スキルを身に着ける必要があります。そのため、エステサロンでは初期の人材育成に多額のコストがかかります。
コストをかけて育成した人材が早期で退職してしまうと、店舗に大きな損害を生じます。そのため、エステサロンは初心者を歓迎しているものの「うちの会社で続かなそうだ」と判断されると採用されません。
特に、未経験者はエステサロンで働いた経験がありません。そのため、慣れない環境に耐えられず早期退職してしまいやすいです。
したがって、登録販売者がエステサロンへ転職する際には「早期退職しない人材である」と印象付けることが大切です。具体的には、エステ業界で働きたい説得力のある理由や熱意などを面接官へ訴求しましょう。
メイクや姿勢など、身なりに気を配る
また、エステサロンの顧客は「美しくなりたい」と思って来店します。このとき顧客に「スタッフの美意識が低い」と思われてしまうと、エステサロン全体の印象・評価が低くなりやすいです。そのためエステ業界では、美意識が低い人（＝美容の自己管理ができない人）を採用しない傾向にあります。
例えば、登録販売者は清潔感を求められるものの美意識の高さは問われません。そのため女性登録販売者の中には、スッピンや過度な化粧で職務に就いている人がいます。
ただ美容業界では、いくら素肌がきれいでも「スッピン＝自分を美しく見せる気がない（美意識が低い）」とみなされます。
また、過度な化粧の女性は「一般的な美容センスを持ち合わせていない（＝顧客に美容アドバイスができない）」という印象を持たれます。
登録販売者として働く際には問題ない身なりあっても、エステティシャンとして働くには不適合である可能性があるのです。そのためエステサロンへ転職するためには、ドラッグストアへ転職する場合よりも身なりに気を配る必要があります。
具体的にはメイクをナチュラルにし、髪は一つにまとめます。このとき、短い髪がまとめ髪から飛び出さないようにワックスやスプレーなどで軽く固めましょう。
また姿勢が悪いと美意識が低いとみなされるため、面接時には腹部に力を入れて背筋を伸ばすように意識しましょう。「上質な接客ができる」とアピールするために、自然な笑顔を絶やさないことも大切です。
転職サイトを利用してエステ求人を探す
ただドラッグストアの美容部員を含め、美容業界から出ている登録販売者求人は数が少ないです。そのため、自力で探しても希望条件を満たした求人が見つからない可能性が高いです。
また基本的に、エステ業界では登録販売者資格そのものを活かすことはできません。そのため、面接官の知識や考え方によっては「登録販売者の資格者である」という優位性を活かせないケースがあります。
そこで、エステ業界で働きたい登録販売者は転職サイトを利用して求人を探しましょう。
転職サイトの担当者は、膨大な数の求人からあなたの希望条件を満たした案件を紹介してくれます。そのため転職サイトを利用すると、自力で探すよりも登録販売者に向いているエステ求人を見つけだしやすくなります。
また転職コンサルタントは、あなたと会社との間を取り持ってくれます。担当者が「登録販売者の資格者」というあなたの強みをアピールし、好条件での入社が実現しやすくなるのです。
ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、希望通りの転職を叶えることができます。
まとめ
多くの女性にとって、美容業界は医薬品業界よりも魅力が高いです。そのため女性登録販売者の中には、市販薬の販売員ではなくエステサロンで働きたい人もいます。
基本的に、エステサロンは市販薬を扱っていません。そのため、エステ業界で登録販売者資格そのものを活かすことは難しいです。
ただ、登録販売者としての知識はエステ業界でも役立てることができます。登録販売者の資格者は一般的なエステティシャンよりも専門的な知識を有しており、さまざまな角度から顧客に美容アドバイスできるためです。
そこでエステサロンなどの美容業界で働きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで憧れの業界への転職を実現し、充実した毎日を送れるようになります。
登録販売者が転職を行い、求人を探すにしても自分一人で行うのは現実的ではありません。そこで、ほとんどの人が転職エージェントを活用します。
転職サイトを利用すれば、「年収の交渉」「希望の勤務地」「労働時間の調節」を含めてすべて代行してくれるようになります。
しかし、転職サイトによって「地方在住者でも事前面談に対応している」「40代以上でも利用可能」など特徴に違いがあります。人気の転職エージェントの中でも、これらの特徴を理解したうえで、どの転職サイトを利用すればいいのか検討しなければいけません。
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