現在では職を変えることが珍しくありません。中には、キャリアアップを目的に転職することもあります。

ただ就職に有利になる経歴・スキルがないまま転職に踏み切ると、キャリアアップできるどころか収入が下がってしまいます。そのため多くの人は、転職活動を有利に進めるために資格の取得を検討します。

このとき、一般的には「資格を取得さえすれば、関連する職種への転職が簡単に実現する」と思われがちです。そうした中でも、医療系資格の一つである登録販売者は就職・転職を有利にするのでしょうか? また登録販売者資格は、どのような職種で優遇されるのでしょうか?

ここでは登録販売者資格が重宝される職種と、登録販売者資格を活かした転職を成功させるコツについて解説していきます。

登録販売者は転職を有利にする国家資格

世の中に存在している資格には、大きく分けて国家資格と民間資格の2種類があります。

これらのうち、国家資格は法律によって規定されている資格のことを指します。基本的に国家資格には「資格者以外は就けない職」があります。例えば、医師や教師などは免許を保有している人でなければ、これらの職に就くことができません。

これに対して民間資格は民間の企業・団体が発行する資格であり、知識の保有を証明する役割しかありません。民間資格は「資格を所有していなければ就けない職」がないのです。

例えば、医療事務・薬局事務は民間資格です。そのため、資格を持っていなくても医療事務や薬局事務などとして働くことができます。実際に、資格を持たずに医療・薬局事務として働いている人は多いです。

「資格を持っていても就ける仕事が増えない」のと、「資格を持っていれば職業の選択肢が広がる」のでは、後者の方が就職・転職に有利なのは言うまでもありません。つまり就職を有利にしたいのであれば、民間資格ではなく国家資格を取るべきなのです。

このような中、登録販売者は市販薬の販売を許可される国家資格です。したがって、登録販売者は就職・転職を有利にする資格だといえます。

登録販売者資格は国家資格の中でも取りやすい

また、登録販売者資格の取得にはもう一つメリットがあります。それは登録販売者資格が他の国家資格に比べて取得しやすい点です。

国家資格の中には、大学や専門学校などで専門課程を修了しなければ取得できない資格が数多くあります。このような資格を新たに取得しようとすると、まとまった時間や費用が必要となります。そのため、社会人になってから大学・専門学校に入り直すことは現実的でなく難しいです。

これに対して、登録販売者資格は試験に合格すれば取得できます。登録販売者の資格を取るために通学する必要はないのです。

また、登録販売者試験の受験資格には年齢などの資格制限がありません。極端な話をすれば、小学生でも受験することができます。登録販売者資格は誰でも挑戦できる資格です。

さらに社会人として働きながら資格を取得する場合、勉強不足で試験に落ちるケースは珍しくありません。このとき試験が年1回しか行われない場合、1度試験に落ちると次の年まで資格を取得できないことになります。

これに対して登録販売者試験は全国各地で行われており、地方によって試験日が異なります。試験内容は各都道府県によって異なるものの、どの地域の試験に受かっても登録販売者となる権利を得られます。

例えば東京で登録販売者試験に落ちても、栃木や山梨などの試験に受かれば登録販売者になることができます。他県で登録販売者試験に受かった場合でも、東京で登録販売者として働くことができるのです。

実際に登録販売者試験の社会人受験者の中には、近隣県を含めた複数の地域に出願する人が多いです。こうすることによって短期間で資格を取得することが可能となり、転職を有利に進めることができます。

登録販売者の資格者が優遇される業態

では、登録販売者資格は実際にどのような業態で優遇されるのでしょうか?

登録販売者は市販薬を販売できる資格です。そのため登録販売者資格を保有していると、市販薬を販売する業態への就職が有利になります。

特に、ドラッグストアは市販薬がメイン商材の一つです。そのため、ドラッグストアは登録販売者の主な就職先の一つとなっています。

実際に以下は、東京や大阪など全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、登録販売者資格を所有している人のみを募集していることが記されています。資格を持っていない人は、この求人に応募できないのです。

このとき、薬は生活必需品の一つであるため、全国各地にドラッグストア店鋪があります。そのため登録販売者資格を持っていると、どのような地域に住んでいても就職先が見つけやすくなります。

ドラッグストア以外はどうなのか?

また登録販売者資格は、ドラッグストア以外の業界への転職にも有利に働きます。市販薬を販売しているのはドラッグストアだけではないためです。

例えば、市販薬はスーパーやコンビニエンスストア、ホームセンターなどのさまざまな小売店で取り扱われています。そのため、登録販売者資格を持っていれば自宅近くの店舗へ就職して通勤時間を短くすることも可能です。

また市販薬は、配置薬としても販売されています。配置薬は置き薬とも呼ばれており、顧客の家に市販薬の入った薬箱を置き、薬を使ってもらった分の料金だけ支払ってもらう業態です。

使用した薬の料金は営業スタッフが回収に回ります。その際、スタッフは顧客に新しい商品などの訴求をします。つまり、営業活動するのです。

配置薬の営業スタッフは置き薬として顧客に薬を販売することになるため、登録販売者資格を保有している必要があります。登録販売者資格を活かして営業職に就くこともできるのです。

登録販売者資格を活かして内勤することも可能

さらに、登録販売者はデスクワークでも活かせる資格です。

例えば、市販薬はインターネットでも販売されています。薬をネット販売するためには、顧客からの電話相談窓口を設けることが規定されています。そのため薬をネット販売している企業は、専用のコールセンターを設けていることが多いです。

顧客からの薬の相談を受けるためには、薬の専門資格を保有している必要があります。つまり、登録販売者はコールセンターで薬の相談員として働くこともできるのです。

また登録販売者資格を保有しているということは、薬や薬機法などに関する知識を所有していることを意味します。これらの知識は調剤事務でも活かすことができます。

また、薬局のほとんどは市販薬も販売しています。そのため登録販売者資格を持っていると、薬局事務への転職も有利に働きやすくなるのです。

実際に以下は、兵庫にある調剤薬局の求人です。

ここには登録販売者を募集しており、調剤事務業務以外にも医薬品販売に関する業務が発生すると記されています。この調剤薬局は市販薬を取り扱っているため登録販売者が優遇されるのです。

このように登録販売者は、ドラッグストア以外にもさまざまな業態で必要とされている資格です。そのため登録販売者資格を取得すると、資格を活かして自分に合った業態へ転職しやすくなります。

未経験の登録販売者が転職を成功させるコツ

ただ、当然ながら「登録販売者資格を取得するだけで、転職先が簡単に決まる」というわけではありません。就職・転職を有利にできる資格を取得しても、あなたに適さない求人に応募してしまうと不採用となります。

特にドラッグストアなどでの就業経験がない場合、応募できる求人が限定されます。これは、登録販売者資格には「正規」と「研修中」の2種類が存在するためです。

実務経験なしの登録販売者はドラッグストア求人を探す

具体的にいうと、登録販売者が一人で薬を扱うためには過去5年以内に2年以上の業務・実務経験が必要となります。この管理者要件を満たすのが、正規の登録販売者です。一方、この条件を満たせなければ研修中の扱いとなります。

研修中の登録販売者は一人で薬を扱えないため、正規の資格者よりも需要が低いです。また、採用されたとしても正規の登録販売者よりも待遇が悪くなるのが基本です。

特に、ドラッグストア以外の業態は研修中の登録販売者を採用していないケースがほとんどです。ドラッグストア以外の業態は主力商品に対して薬の売上比率が低く、コストの問題で複数の資格者を雇用することが困難なためです。

そのため薬の販売経験がない登録販売者は、ドラッグストア以外(スーパーなど)で働くことはできません。

実際に以下は、東京や大阪など全国に店舗を展開するコンビニエンスストアの登録販売者求人です。

ここには、管理者要件を満たしている登録販売者を募集していることが記されています。つまり、研修中の登録販売者は応募することができないのです。

これに対して、ドラッグストアは薬が主力商品であるため、多くの資格者を雇用しています。中には調剤薬局が併設されており、薬剤師が常在している店鋪もあります。

このような資格者が多い店鋪では、研修中の登録販売者も働くことができます。実際に以下は、北海道から沖縄まで全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、ドラッグストアや薬局などでの販売経験がない人も募集していると記されています。つまり、実務経験のない研修中の登録販売者であっても応募できるのです。そのため実務経験のない登録販売者は、ドラッグストアを中心に求人を探しましょう。

なお、調剤事務やコールセンターなどは、研修中の登録販売者であっても資格を活かして転職することが可能です。これら業態は、あなたが薬販売の責任者になることがないためです。

例えば、調剤薬局には必ず薬剤師が在籍しています。そのため、登録販売者が研修中であっても運営には問題ありません。しかも、わからないことがあれば薬剤師に聞くこともできます。

また基本的に、コールセンターではテレフォンオペレーターの責任者が管理者要件を満たしています。さらにコールセンターには複数人の資格者が勤務しているため、あなたが研修中の登録販売者であっても問題なくセンターを運営できます。

このような理由から、調剤事務やコールセンターなどの内勤は実務経験なしの登録販売者でも応募できます。特に調剤事務は登録販売者資格を持っていなくても就ける業務であるため、登録販売者の試験勉強と並行して転職活動できることを覚えておきましょう。

登録販売者を目指す人はあらかじめドラッグストアで働く

また、登録販売者としての実務経験は試験に受かる前にも積むことができます。

例えば無資格の人がドラッグストアで働いていた場合、経験年数が過去5年以内に2年以上あれば、登録販売者試験に合格後すぐに正規の資格者として働くことができます。

そのため転職を有利に進めるために登録販売者の資格取得を考えているのであれば、試験に合格する前からドラッグストアで経験を積むことをおすすめします。

また中には、登録販売者資格の取得を支援してくれる会社もあります。このような会社を選ぶと、働きながら試験勉強しやすくなり資格取得を実現しやすくなります。

例えば以下は、愛知や京都などに店鋪を展開するドラッグストアの求人です。

この求人は教育制度が充実しており、入社半年後には「登録販売者試験を受験できる実力」が身につくと記されています。働きながら登録販売試験に合格できる知識を身につけることができるのです。

そのため登録販売者資格を取得するつもりなのであれば、このような求人を中心に探していきましょう。

転職サイトを利用して求人を探す

ただ、登録販売者資格の取得を目指しながら、あなたが応募できる求人を自力で探すことは難しいです。登録販売者になるためには、薬などの専門知識について勉強する必要があるためです。

そのため求人探しに時間をかけてしまうと、試験勉強が足りず登録販売者試験に合格できない可能性が高くなります。その結果、登録販売者としての有利な転職が実現できません。

そこで登録販売者資格を取得しながら転職しようと考えているのであれば、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

転職サイトを利用すると、担当コンサルタントがあなたに適した求人を紹介してくれます。そのため求人探しに時間がかからなくなり、登録販売者試験を取得するための勉強時間を確保しやすくなります。

また、転職サイトの担当者はあなたと企業の間を取り持ってくれます。そのため転職サイトを利用すると、あなた個人で交渉するよりも良い条件で入社しやすくなります。

ただ、担当コンサルタントの力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より好条件での入社が叶いやすくなります。

まとめ

登録販売者は市販薬を販売できるようになる国家資格です。そのため登録販売者資格を持っていると、さまざまな業種への転職が有利に働きます。

また、登録販売者資格は通学しなくても独学で取得することができるうえ、受験資格に制限がありません。そのため、転職を有利に進めるために資格取得を考えているのであれば、登録販売者資格がおすすめです。

ただ、当然ながら「登録販売者資格を持っていれば、自分の希望する条件で簡単に就職できる」というわけではありません。あなたに合った求人を選ばなければ、好条件での転職は実現できません。

そのため登録販売者資格を活かして就職活動を有利に進めたいのであれば、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで、あなたを優遇してくれる会社への転職を成功させることができます。


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