一般的に、企業の規模が大きくなるほど会社の経営状況は安定しやすいです。そのため、大企業への入社を希望する人はかなり多いです。

実際、大企業勤務には雇用の安定などさまざまなメリットがあります。ただ一方で、大企業ならではのデメリットがあるのも事実です。

それでは登録販売者が大手企業で働くことには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか? また大手企業で働きたい登録販売者は、どのような求人を選べばいいのでしょうか?

ここでは、登録販売者が大手企業の求人を選ぶコツについて解説していきます。

登録販売者が大手企業で働くメリット

大手企業で働くメリットの一つに、社会的信用が高いことが挙げられます。

一般的に大企業は中小企業に比べて経営が安定しやすく、簡単には経営破綻しません。そのため倒産などによって職を失うリスクが低く、社会的信用度が高いです。

具体的な例を挙げると、大手企業に勤めると銀行や不動産会社からの信用が高くなります。その結果あなたは、ローンを組んだりクレジットカードの審査に通過しやすかったりします。社会的信用度が高いと、あらゆる面で融通が利きやすくなるのです。

大手企業は年収が高い

また一般的に、企業の規模が大きくなると給料が高くなる傾向にあります。これは、登録販売者でも同様です。例えば以下は、熊本に店舗を展開する中小規模ドラッグストアの求人です。

この求人は給料が月額15万~18万円です。これに対して以下は、東京や大阪など全国に店舗を展開する大企業ドラッグストアの九州エリア求人です。

この求人は月給20~30万円となっており、前述の企業より月5~12万円も高い水準です。大企業で働くと、中小企業で働くよりも高い給料をもらいやすいのです。

また同じ大企業の中でも、トップクラスの大手企業になると、さらに給料が高くなる傾向にあります。

小売業における大企業とは「資本金5,000万円・従業員数50人以上」の企業を指します。これに対してドラッグストア業界トップクラスの企業は、資本金42億円超・従業員数3500人超です。

つまり、大企業の条件をぎりぎり満たしている企業は、業界トップクラスの企業に比べてかなり規模が小さいのです。当然ながら会社の規模が異なれば、必然的に給料の水準も変わります。

例えば以下は、東京や埼玉、神奈川などに店舗を展開する中堅ドラッグストアの求人です。

この求人は、月給は「高卒18万円以上」「短大卒19万円以上」「大卒20万円以上」となっています。また、この企業は大企業の条件を満たしていますが、業界トップクラスの大手企業に比べて資本金や店舗展開数は少ないです。

これに対して以下は、東京や愛知、大阪など全国に店舗を展開する国内最大級の大手ドラッグストアの求人です。

この求人は月給21万5,000円以上となっています。トップクラスの大手企業に入社すると、同じ大企業であっても入社時の給料が月に1万5,000円以上高くなるのです。

そのため、より高い給料を求めるのであれば経営規模の大きい大手企業への入社を狙うのがいいといえます。

福利厚生が充実していて働きやすい

また会社の規模が大きくなるほど、効率的な経営が可能になって利益額が大きくなるため、従業員に対して割けるコストの金額が大きくなります。そのため、大手企業は中小企業よりも福利厚生が充実している傾向にあります。

例えば以下は、神奈川に店舗を展開する中小ドラッグストアの求人です。

この求人の手当は住宅手当と皆勤手当、資格手当のみです。また待遇欄には「社会保険完備」「社員割引」と記されています。さらに正社員の求人にも関わらず、なぜか正社員登用が待遇の一つとなっています。

これに対して以下は、業界トップクラスの大手ドラッグストアの求人です。

この企業は社宅制度や子供手当、退職金制度などが完備されています。また、登録販売者の資格者手当も支給されます。

さらに育休や時短勤務を長期間続けたり、さまざまな事情で休暇を取ったりすることもできます。大手企業に入社すると、家庭の事情などで休んだり働き方を変えたりすることも容易となるのです。

そのため大手企業は、手厚い待遇で働きたい人だけでなく「ライフステージが変わっても働き続けたい人」にもおすすめであるといえます。

研修制度などキャリアアップしやすい仕組みが整っている

また中小企業だと従業員数が少ないため、人材教育は店長に依存することが多いです。このような環境では、成長できる人とできない人の差が大きくなりやすいです。

特に、スキルが低かったり人間性に問題があったりする上司が教育係に就いてしまうと、ポテンシャルの高い人であっても芽を出せずに終わってしまうケースがあります。最悪の場合、心身ともに強い負荷がかかり、うつ病などの病気を発症するリスクもあります。

これに対して、規模の大きい会社は人の裁量に依存した教育に頼らず、充実した研修制度を完備して質の高い従業員を育てようと留意しています。大手企業には、キャリアアップしやすい仕組みが整っているのです。

例えば以下は、埼玉や愛知、京都などに店舗を展開する大手ドラッグストアの求人です。

この求人は手厚い教育制度を完備しており、中途社員研修や店長研修などを経て幅広いキャリアアップが可能です。大手企業へ入社すると、研修システムを利用して誰でもキャリアアップを実現することが可能となるのです。

そのため大手企業への転職は、キャリアアップを目指したい登録販売者にも向いているといえます。

大手企業で働くデメリット

ただ一方で、大手企業で働くにはデメリットもあります。

例えば一般的に、規模の大きい会社には社内に出世を競う雰囲気があります。特に小売業界は実力主義であるため、実力不足などにより長期間キャリアアップが叶わないと周囲の視線が厳しくなりやすいです。

実際に私は、小売業界トップクラスの会社に登録販売者として働いていた経験があります。この企業は実力主義を掲げており、成果を出した人は早期にキャリアアップが可能でした。

ただ中には、成果を出せず長期間昇進できなかったスタッフもいました。このスタッフは人事評価のたびに「また昇進できなかったらしい」などと噂されていました。その結果、そのスタッフはどんどんやる気を失っていき、入社5年で退職しました。

小売業界の大手企業では、成果を出せなければ居場所がなくなっていくことがあるのです。そのため大企業への転職は、出世スピードを気にせずにマイペースに仕事がしたい人には向かないケースがあります。

引越を伴う転勤を覚悟する必要がある

なお一般的に、大企業になるほど出世スピードは遅くなっていきます。ただ登録販売者の主な就職先である小売業界では、大手企業であっても早期出世が可能です。

例えば以下は、東京や愛知、大阪など全国に店舗を展開する業界トップクラスのドラッグストア求人です。

この求人は早期キャリアアップが可能であり、入社半年で店長へ昇格した人もいます。小売業界であれば、大手企業であっても早期キャリアアップを実現できます。

ただ大手小売企業のほとんどは、総合職(全国転勤あり)でなければ出世コースに乗れません。大手企業で早期キャリアアップを実現するためには、引越を伴う転勤を経験しなければならないのです。

例えば以下は、前述のドラッグストアのキャリアプラン欄です。

ここには、入社半年で店長へ昇格した社員の社員区分がナチュラル職であることが記されています。ナチュラル職は全国転勤ありの社員区分です。この会社で早期キャリアアップを実現した人は全国転勤ありの社員なのです。

また以下は、愛知や奈良、京都などに店舗を展開する大手ドラッグストアの求人です。

この求人では、「全国転勤ありの社員区分(ナショナル社員)は幹部候補生の扱いであり、キャリアアップに有利」となっています。つまり、この社員区分以外だと昇進が頭打ちになります。小売業界の大手企業で働く場合、転勤ありを選ばなければ出世できないのです。

実際に、小売企業で人事を担当している私の知り合いは「多数の店舗を経験しなければ統括スキルが身に着かない」「転勤して経験を積んでいる社員を差し置いて、転勤しない社員を出世させるわけにはいかない」と言っていました。

そのため小売業界では大手企業であっても早期キャリアアップが可能であるものの、実際に昇進できるのは全国転勤ありの人材のみであることを認識しておきましょう。

仕事の自由度が低くなる

また会社の規模が大きくなると、その分だけ権限が分散します。その結果、一つの仕事をこなすために複数の部署・スタッフに許可・協力を得なければならなくなりやすいです。また大手チェーンストアでは、店舗ごとの差異をなくすため店舗に決定権をほとんど与えていないケースもあります。

このような環境では、店舗の裁量で棚替えしたり取扱商品を変更したりすることができません。そのため仕事の自由度が低く、やりがいを感じにくいです。

また組織の規模が大きくなると、事務処理一つに上司の許可認定が必要となるケースがあります。大手企業では上司の目が末端まで届きにくく、一人の裁量を大きくすると不正を防ぎきれないためです。そのため、事務処理の際に上司の許可を必要とするケースが多いです。

実際に、私が過去に働いていた大手小売企業で商品の返品が発生した際、「レジで発行した返品レシートと元レシート、返品商品を上司に確認してもらい、確認印をもらわなければいけない」という仕組みがありました。この仕組みは、虚偽の返品処理によって従業員が商品を横領することを防ぐためのものです。

ただ、返品処理の確認作業はレジ締めが行われる時間(夕方ごろ)までに済ませなければなりませんでした。上司は広い店舗のどこにいるか分からないため、他のスタッフに目撃情報を確認しながら上司を見つけ出さなければなりません。

そのため、返品が発生すると従業員が上司探しに時間を費やすのが常態化していました。当然ながら、このような事務処理に時間がかかると通常業務が滞ります。接客や商品販売などの「本来の仕事」に割ける時間が少なくなるのです。

そのため効率良く仕事を進めたい人や裁量権を持って仕事にあたりたい人は、大手企業での就業にストレスを感じることが多くなります。

登録販売者が大手企業の求人を探すコツ

ただ、大手企業のすべてがこのようなデメリットを有しているわけではありません。

例えば大手企業の中には、現場の裁量権を多くしているケースがあります。会社からしてみれば、現場に裁量権を与えて地域のニーズに最適化すると、店舗競争力を向上させることができるためです。

実際に以下は、東京や神奈川、愛知などに店舗を展開する大手ドラッグストアの求人です。

この求人では地域密着型の店舗作りに注力しており、地域の特性に応じた陳列・店舗作りを行えます。このような求人を選べば、現場裁量権を持って仕事にあたることができます。

大手企業でも転勤なしで働くことは可能

また大手ドラッグストアの中には、転勤なしで働くことが可能な求人もあります。例えば以下は、北海道や東京、福岡などに店舗を展開する大手ドラッグストアの求人です。

この求人には転居を伴う異動がありません。このような求人を選べば、大手企業で転勤なし勤務を実現することができます。

また転勤が基本の大手企業であっても、ライフステージの変化によって転勤の有無を変更できる求人もあります。例えば以下は、埼玉や千葉、愛知などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

この求人は転勤範囲の異なる社員区分(ナショナル社員・リージョナル社員・ローカル社員)を年1回申請変更できます。転勤なしで勤務している間は出世コースには乗れませんが、状況が落ち着いたときに社員区分をナショナル社員に変更すれば、再び出世コースに乗ることもできます。

このような求人を選べば、状況の変化に応じて働き方を柔軟に変えることが可能となります。

転職サイトを利用して求人を探す

ただ、デメリットの少ない大手企業求人に対して自分の力だけで転職を実現することは困難です。

求人案内を見るだけでは、会社の内情や制度のすべてを知ることはできません。「本当に働きやすい会社かどうか」は、企業研究をしなければわかりません。そのため求人探しに割ける時間が限られている転職活動では、希望条件を満たした求人を見つけることが難しいです。

また条件の良い大手企業は人気が高く、ライバルが多いです。そのため、求人を精査しているうちに好条件求人がなくなっていくケースがあります。

そこで条件の良い大手企業で働きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。

転職サイトの担当者は会社の内情や制度などを踏まえた上で、あなたの希望条件を満たした求人を紹介してくれます。そのため転職サイトを利用すると、自力で求人を探すよりも好条件の大手企業求人を見つけやすくなります。

また転職コンサルタントは、あなたと会社との間を取り持ってくれます。給料や待遇などの交渉を専門家であるコンサルタントが代行してくれるため、自力で交渉するよりも好条件を引き出しやすくなります。

ただ、担当者の力量には個人差があります。そのため転職サイトは、最低でも3社以上登録しましょう。そうすることで、より好条件の大手企業へ転職しやすくなります。

まとめ

大企業は中小企業に比べて経営が安定しやすいです。そのため給料が高く、福利厚生も充実しています。特に、企業規模が大きい業界の大手企業はその傾向が強いです。

ただ、大手企業への転職することはデメリットもあります。特に登録販売者の主な就職先である小売業界では、企業規模が大きくなるほど店舗の展開範囲が広くなります。そのため登録販売者が大手企業へ就職すると、全国転勤を経験するケースが多いです。

このような中でも、デメリットの少ない大手企業求人もあります。ただ、このような好条件の求人は人気が高く、求人が出てもすぐに募集を締め切ってしまいます。

そのため条件の良い大手企業で働きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。そうすることで働きやすい大手企業で高給・早期キャリアアップを実現することができるようになります。


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