一般的に、登録販売者として働くためには勤務する会社に雇用される必要があります。このような場合、勤務条件などの交渉は直接会社へ相談することになります。
ただ中には、勤務する会社とは別の会社に雇用される働き方もあります。それが派遣社員です。
派遣社員として働くときだと、直雇用にはないメリットが数多くあります。ただ一方で、派遣社員雇用はデメリット・リスクも多い働き方です。
それでは、登録販売者が派遣社員になることはできるのでしょうか？ また登録販売者が派遣社員として働くことには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか？
ここでは、登録販売者が派遣社員として働くメリットやデメリット、リスクなどについて解説していきます。
もくじ
派遣社員の最大のメリットは働きやすさ
一般的に派遣社員求人では、事務員や催事の販売員などの職種が多いです。そのため「派遣社員の登録販売者求人はない」と思っている資格者は多いです。実際に登録販売者求人の多くは、パートや正社員などの直雇用案件です。
ただ中には、登録販売者の派遣求人もあります。例えば以下は、東京にあるドラッグストアの求人です。
この求人は登録販売者の派遣社員を募集しています。登録販売者は、ドラッグストアで派遣社員として働くことも可能なのです。
また登録販売者は、ドラッグストアだけでなく調剤薬局でも派遣社員として働くことができます。例えば以下は、大阪にある調剤薬局の派遣求人です。
この求人は調剤事務員として登録販売者を募集しています。登録販売者は、さまざまな業態で派遣社員として働くことができるのです。
このとき派遣社員は業務内容が契約で定められ、責任のある仕事には就かないのが基本です。そのため正社員よりも数値責任が軽く、自分で考える必要のある業務にあたる機会が少ないです。
また派遣社員には、基本的に採用の合否を決める面接がありません。定期的な面談によって就業中に感じた不満点を派遣コンサルタントに相談できます。そのため、直雇用よりもストレスなく働きやすいのも大きな特徴です。
給料の受取日を選べる
なお、どの業態で働く場合であっても、派遣社員として働く場合は派遣会社が雇用主となります。そのため派遣社員に給料を支給するのは派遣元の会社（派遣会社）であり、締め日や支払日なども直雇用のケースとは異なります。
このとき登録販売者資格を活かして直雇用で働く場合、給料は月払いとなるのが基本です。これに対して派遣会社の中には、給料の日払い・週払いが可能なケースがあります。登録販売者が派遣社員として働くと、給料の受取日を選べるのです。
例えば以下は、愛知にあるドラッグストアの求人です。
この求人は派遣社員として登録販売者を募集しています。また、給料の週払い・月3回払いが可能です。派遣社員として働くと、給料の受取日を柔軟に選ぶことが可能となります。
転勤なし・残業なしなど働きやすい条件が整っている
また、小売業界では転勤が発生するのが基本です。場合によっては、引越を伴う転勤を生じることもあります。そのため登録販売者資格を活かして転職すると、転勤を経験するケースが多いです。
ただ派遣社員として働けば、登録販売者であっても転勤なしで働くことができます。例えば以下は、埼玉にあるドラッグストアの派遣社員求人です。
この求人は、転勤なしで働く登録販売者を募集しています。派遣社員を選べば、登録販売者であっても転勤なしで働くことができます。
また、一般的な小売店勤務では残業が発生します。退勤時間に顧客対応が発生することがありますし、一人当たりの業務量が多い会社も存在します。そのため登録販売者として小売店に勤務すると、残業ありで働くのが基本です。
これに対して、派遣社員は残業が発生しません。残業が発生すると派遣先会社（ドラッグストアなど）が派遣元会社へ支払う金額が高くなるためです。派遣社員として働くと、転勤なし・残業なしで働くことが可能となるのです。
1,500円など高時給で働ける
なお基本的に、派遣社員はフルタイムのアルバイト・パートと同じ業務に就きます。ただ、時給はアルバイト・パートよりも高いケースがほとんどです。
例えば以下は、神奈川にあるドラッグストアの派遣社員求人です。
この求人には「パートと同じ業務内容で時給1,500円」となっています。神奈川にある店舗でのパート登録販売者の時給は1,000～1,200円程度なので、パートよりも300円以上高い時給で働くことができます。
なお他の地域であっても、派遣社員の時給はパートに比べて100～300円高い時給となります。同じ業務内容であっても、派遣社員として働けばパートよりも高い給料を得ることができるのです。
派遣社員として働くデメリットとリスク
ただ派遣社員として働くことには、さまざまなデメリットもあります。
例えば派遣社員はパートよりも時給が高い一方で、賞与の支給がありません。そのため、ボーナスの支給がある正社員に比べると年収が低くなります。
また前述のように、派遣社員は同じ店舗のパート社員よりも時給が高くなります。そのため、同じ店舗で働いているパート社員に派遣社員であることが伝わってしまうと「同じ業務内容なのに時給が高い人」という目で見られるようになります。
さらに、店舗の正社員は派遣社員に強く指示・指導しません。派遣社員の業務態度などに問題がある場合、派遣会社に苦情を入れることになるためです。
そのため派遣社員は、パート社員から「時給が高いのにうるさく言われない人」という印象を持たれやすいです。場合によっては、「楽でいいね」「時給どろぼう」などと言われてしまうこともあります。
したがって「直雇用のパートよりも高時給で働ける」というメリットは、「直雇用パートに目をつけられやすく孤立しやすい」というデメリットと表裏一体であるといえます。
職を失うリスクが高い
また「パート社員よりも派遣社員の方が、時給が高い」ということは、会社にとってみれば「派遣社員を利用する方が、コストがかかる」ことになります。
それでは、会社はなぜ安価なパートではなくコストの高い派遣社員を利用するのでしょうか？この理由の一つは「パートよりも契約を終了しやすいため」です。
基本的にアルバイト・パートは、派遣社員と同様に有期契約です。ただアルバイト・パートの場合、5年以上働いたら無期雇用契約に転換が可能です。また5年未満のアルバイト・パートであっても、よほどのことがない限り会社から契約終了を言い渡されることはありません。
これに対して、一般的な派遣社員は最長3年間しか同じ職場で働くことができません。実際に、以下は厚生労働省による派遣に関する案内です。
ここには「同じ事業所で3年を超えて働くことは基本的にできない」と記されています。
また、派遣社員の働きが会社の求める水準に達しなかった場合、勤務期間が3年に至らなくても契約が終了となるケースがあります。
実際に私が過去に勤務していた小売店では、派遣スタッフも一緒に働いていたことがありました。ただ派遣社員の接客品質などが低かったため、1年で派遣会社との契約を打ち切っていました。派遣社員として働くと、安定して働くことができないのです。
スキル・キャリアを積めない
また派遣社員としての勤務では、有用なスキル・キャリアを積みにくいです。
例えば同じ会社・店舗で長期間働いていれば、商品展開のコツや在庫管理、実績作りなどの知識・技術を身に着けることができます。店長を経験すれば、マネジメントスキルも得られます。
一方で短期間しか働けない派遣社員は、このようなスキルを身に着けにくいです。また基本的に店長職に就くことがないため、人員マネジメントについて学ぶ機会がありません。派遣社員として働いていると、就職・転職に必要なスキルを身に着けづらいのです。
また同じスキルの人材であれば、吸収力の高い若年者が重宝されます。そのため有用なスキルを身に着けられないまま年を重ねると、派遣社員としても仕事を見つけられなくなりやすいです。
派遣社員を続けていると、将来働ける求人がなくなるリスクがあるのです。
見習い登録販売者は派遣社員として働けない
さらに研修中の登録販売者は、派遣社員求人に応募できないケースがほとんどです。派遣社員はコストがかかる人材であるため、「即座に会社へ貢献すること（＝即戦力）」が求められるからです。
ただ、研修中の登録販売者は一人で市販薬を取り扱うことができません。研修中の登録販売者が薬を販売するためには、同じ時間帯に正規の登録販売者か薬剤師が勤務している必要があります。
会社にとってみれば、一人で薬を販売できない資格者を高いコストをかけて利用するのは無駄でしかありません。そのため、研修中の登録販売者を採用している派遣求人はまずありません。
実際に以下は、神奈川にあるドラッグストアの求人です。
この求人は「実務完了者限定」となっています。つまり、実務経験の足りない登録販売者（＝研修中）を募集していないのです。そのため基本的に、見習い登録販売者は派遣社員として働くことはできません。
登録販売者が派遣社員として転職するコツ
そうしたとき、派遣として働くにはどのように転職すればいいのでしょうか。
正社員として働くためには就業先での面接を避けて通れません。これに対して派遣社員は、派遣会社へ登録する際に担当者との面談があるものの、就業先へ派遣される際に面接が発生しません。そのため派遣社員となると、面接によるストレスなく働き始めることが可能です。
また、派遣会社は人材を派遣することによって利益を得ているため、多くの派遣社員を抱える必要があります。そのため派遣会社への登録は、企業の面接に受かるよりも容易です。
ただ派遣会社からしてみれば、クレームが起こるリスクの高い人を取引先へ派遣することはできません。そのため、派遣会社の担当者に悪印象を与えると「派遣会社への登録を済ませたのに、仕事を紹介してもらえない」という事態に陥りやすいです。
特に登録販売者が就く仕事は接客業であるため、身なりや態度などが重要視されます。そのため、希望通りの派遣求人で働きたいのであれば「面談であるから」と気を抜かずに、清潔感のある服装で感じの良い対応を心がけましょう。
派遣専門の転職サイトで働きやすい求人を探す
ただ、世の中には数えきれないほど多くの派遣会社・派遣求人が存在します。そのため好条件で働くためには、求人の精査に膨大な時間を割かなければなりません。
また同じ就業先で働く場合であっても、派遣元の会社によっては勤務条件が異なります。そのため、自力で好条件の派遣求人を見つけることは困難です。
そこで派遣社員として好条件で働きたい登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。
転職サイトの担当者は、会社の制度・内情を踏まえて、あなたに合った求人を紹介してくれます。そのため転職サイトを利用すると、働きやすい求人を見つけやすくなります。
また担当コンサルタントは、あなたと会社との間を取り持ってくれます。そのため転職サイトを利用すると、好条件での入社が叶いやすくなります。
それでは、登録販売者はどのような派遣専門の転職サイトを利用すればいいのでしょうか。これについて、以下の転職サイトを活用するようにしましょう。
テンプスタッフ
登録販売者として派遣勤務を考えるとき、派遣専門の転職サイトとしてトップクラスのテンプスタッフへ登録し、求人を探してみるといいです。
また派遣専門の転職サイトでは、多くが来社予約になります。そのため、あなたが事務所まで出向かなければいけません。ただテンプスタッフの場合、全都道府県に拠点があり、さらには拠点数が非常に多いです。例えば、広大な北海道であっても「札幌、苫小牧、函館、帯広」と4拠点あるので安心です。
非常に多くの拠点があるため、来社予約とはいってもそこまで苦になることはありません。
さらに求人数やサポート体制については、大手であるため充実しています。登録販売者として派遣を目指すとき、まずはテンプスタッフで来社予約を行い、どのような求人があるのか提示してもらいましょう。
