就職・転職は一般的に年齢が低い人ほど成功しやすいです。若い人は経験が少ない一方で新しい環境に順応しやすく、会社の一員として育てやすいためです。

これに対してミドル層以上の年齢になると、体力や順応性などが低下します。そのため、一定以上の年齢に達すると再就職や転職などが難しくなります。

ただ例外的に、専門職は年齢が高くなっても採用されやすい傾向にあります。専門職は資格や過去の経験などを活かして即戦力となることができるためです。

では資格職の一種である登録販売者は、年齢が高くなっても働くことが可能なのでしょうか? またミドル層の登録販売者が就職するためには、どのような点に注意するべきなのでしょうか?

ここでは、登録販売者が働ける年齢と中高年の登録販売者が転職するコツについて解説していきます。

再就職制度を利用すれば高齢者でも働き続けることができる

一昔前までとは異なり、現在では定年後も働き続ける人が多いです。そのため中には、定年と同時に非正規での再就職が可能な制度(再雇用制度)を設けている企業もあります。

特に、登録販売者は店舗で薬を取り扱えるようになる資格です。また薬は重量の軽い商品が多いため、筋力が衰えた高齢者でも扱いやすいです。このようなことから登録販売者は、シニア層であっても働ける企業が多い資格です。

実際に以下は、埼玉や千葉、愛知などに店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには定年再雇用制度があることが記されています。この会社では、定年後に再就職して働くことが可能です。

また小売大手のイオングループは、65歳に定年を迎えても70歳までは手続きなしで働き続けることが可能です。実際にイオンの薬売り場では、過去に正社員だった74歳の登録販売者が非正規雇用で働き続けています。

このようなことから登録販売者は、高齢者となっても働き続けることができる資格であることがわかります。

年齢不問の求人を選ぶと、中高年の登録販売者も転職可能

それでは、50代の中高年が転職する場面はどうなのでしょうか。前述の通り転職は若い人ほど成功させやすく、応募できる求人も多いです。実際に、以下は神奈川(横浜)にあるドラッグストアの求人です。

ここには、39歳以下の若年層を募集していることが記されています。当然のことながら、ミドル層がこのように表記されている求人に応募しても受かることはありません。

ただ中には、中高年が応募できる求人もあります。例えば以下は、愛知(名古屋)にあるコンビニエンスストアの登録販売者求人です。

この求人では64歳以下の定年に達していない人であれば応募可能であることが記されています。50代のミドル層であっても、登録販売者資格を活かして転職することが可能なのです。

ただ企業が中高年の登録販売者に求めている条件は、「即戦力となること」です。そのため未経験であったり、実務経験が足りなかったりなど「即戦力となるスキル」が備わっていない場合だと、転職を成功させることは難しいです。

実務経験が足りない場合、ドラッグストア業態を選ぶ

実際、中には実務経験の足りていない登録販売者もいます。この場合、ドラッグストアへの転職を目指しましょう。

登録販売者が一人で薬を扱うためには、過去5年以内に2年以上の業務・実務経験が必要となります。ブランクが生じてこの条件を満たせなくなると研修中へ格下げとなります。

研修中の登録販売者だと薬の接客はできるものの、一人では薬を販売できません。そのため研修中の登録販売者は、正規の登録販売者(もしくは薬剤師)が勤務している時間でなければ働くことができません。

このとき、前述のように中高年に求められるのは即戦力です。そのため一人で薬を販売できない(=即戦力になれない)ミドル層の登録販売者は、転職に成功しにくいのが現実です。

ただドラッグストアなどの資格者が多数在籍している業態では、研修中の登録販売者も募集していることがあります。例えば以下は、福岡に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここにはブランクのある登録販売者でも応募できることや、40代・50代が活躍していることが記されています。つまり研修中のミドル層登録販売者でも応募することができるのです。

そのためブランクなどによって研修中となっているミドル層の登録販売者は、ドラッグストア業態を中心に求人を探すことをおすすめします。

役職を経験している人は採用されやすく、昇格しやすい

企業が20代などの若年層に求めるのは人柄・やる気です。一方でミドル層には、年相応な過去の経験があることを求めています。そうしたとき、50代だと役職経験者は転職活動で有利です。

例えば店長以上の役職を経験している場合、経歴を活かして転職することが可能となります。実際に以下は、新潟にあるドラッグストアの登録販売者求人です。

ここには、ドラッグストアで店長となった経験がある人を積極的に募集していることが記されています。管理職の経験があると、経験を活かしたキャリア転職が可能となるのです。

また登録販売者資格を活かしてドラッグストアなどで働いていた人の中には、バイヤー経験がある人もいるでしょう。このような専門性の高い業種の経験も、転職に活かしやすいです。

例えば以下は、栃木にあるドラッグストア本部のバイヤー求人です。

ここには、医薬品や化粧品などのバイヤー経験がある人を募集していることが記されています。そのためバイヤーとして勤務したことのある登録販売者は、このような求人で転職を成功させることも可能です。

このときバイヤー勤務には、正規の登録販売者資格は必要ありません。ブランクによって研修中へ格下げとなっていても問題がないのです。そのため転職先で活かせる職務経歴がある場合、管理者要件を満たさない登録販売者であっても転職を成功させやすくなります。

役職未経験の場合、嘱託社員・契約社員となることがある

一方で役職などの経験がない場合、管理職での即戦力にはなりません。また企業にとって、正社員は責任のある仕事を任せられる人材である必要があります。

そのため成長ポテンシャルが低く有用な経験も少ない50代の登録販売者だと、正社員として雇用する価値がありません。つまり過去に役職の経験がない中高年の登録販売者は、非正規での雇用となりやすいのです。

実際に以下は、東京や大阪など全国に店舗を展開するドラッグストアの求人です。

ここには、41歳以上の人は契約社員での雇用となる可能性があることが記されています。つまり年相応の経験がある人(=管理職として即戦力になれる人)は正社員採用の可能性がある一方で、経験の少ない場合は非正規での雇用となりやすいのです。

そのため転職先で活かせる経歴がないミドル層登録販売者は、嘱託社員や契約社員など非正規雇用となる覚悟をしておく必要があります。

50代以上の登録販売者が転職する際に覚悟するべきこと

一般的に、年を取ると新たな環境に順応することが苦手になっていきます。「今までのやり方を変えること」にストレスを感じやすいのです。そのため年齢を重ねて経験が増えると、新しい環境に適応しづらくなっていきます。

ただ新しい会社にうまく適応できないと、ストレスを抱えて辞めてしまうことにつながります。そのためミドル層の登録販売者が転職を成功させるためには、「変化に対応しよう」という意識を強く持つことが大切になります。

このとき、50代の転職では以下のことを理解しましょう。

年の離れた年下が上司になることがある

同じ会社に長く働いて順当に出世した人は、上司が同年代~年上であることが多いです。ただ転職して新しい会社に入ると、自分の役職が下がることによって年下の上司となるケースがあります。場合によっては、自分の子供ほど年齢の離れた人が上司になることもあります。

特に登録販売者が活躍する小売業界には、年功序列が撤廃されて30代の若い人が役職に就いている企業が多いです。そのため中高年の登録販売者が転職した場合、年下が上司になる可能性が高いです。

実際、私の知り合いには25歳でディスカウントストアのスーパーバイザー・バイヤーになった人や28歳で大型ドラッグストアの店長になった人などがいます。これらの人は、どちらも親ほど年が離れた部下を抱えていました。

自分の上司であっても、かなり年下の相手には多くの場合で「人生経験が少ない若者」という印象を抱いてしまいます。その結果、年下上司の言うことを素直に聞けなくなりやすいです。

ただ当然のことながら、上司の言うことが聞けず会社に不利益をもたらす部下は会社にとって不要です。そのため人生経験を振りかざして傲慢な態度を取っていると、会社での居場所がなくなる可能性が非常に高いです。

また上司にとっても、年上の部下は扱いづらい存在です。そのため、業務態度などについて指摘することは少ないです。

つまり、自ら律して働かないと無意識のうちに「厄介な新入社員」となってしまう可能性があるのです。そのため50代が転職を成功させるためには、初心を忘れず謙虚な気持ちで業務に当たることが大切です。

一時的に年収が下がる

40~50代になれば役職を経験している人が多くなります。役職に就くとその分だけ給与が高くなります。そのため、ミドル層は若い頃よりも生活水準が高い傾向にあります。

ただ引き抜きなどの特殊な状況を除き、転職すると年収が下がるのが一般的です。これは、役職を活かして転職した場合も同様です。

このとき過去の経験を活かして会社に貢献することができれば、入社後に昇格・昇給して年収が以前の水準に戻る可能性が高いです。そのため役職・経験を活かして転職する場合、年収が下がるのは一時的であると認識していいでしょう。

ただ過去の経験に固執して、会社に馴染めなかったり実績を出せなかったりする場合、給与水準が戻ることは期待できません。むしろ「会社のお荷物」扱いを受けて退職へ追い込まれる可能性もあります。

そのためミドル層が転職を成功させるためには、過去の経験や実績に固執せず柔軟な対応ができるように意識することが大切です。

中高年の登録販売者が転職する際に気をつけるポイント

それでは、何を意識して中高年は転職活動を進めればいいのでしょうか。前述したように、過去にまったく実績のないミドル層は採用されにくいのが現実です。そのためミドル層の転職では、職務経歴書や面接などで過去の実績・経験をアピールすることが必須です。

ただ過去の実績を執拗にアピールしすぎると、過去の経験に固執する扱いづらい人間だと思われやすいです。このような人は、若年層とうまくやっていけないと判断され、面接で落とされる可能性が高いです。

また時代は変わり続けているため、過去の成功経験がそのまま次の成功へ活かせるとは限りません。

特にドラッグストアで扱われている商品は入れ替わりが激しく、新しいニーズを反映したものが多いです。そのため、過去の成功経験に囚われていると実績が出せないことがあります。

したがってミドル層が転職する際には過去の実績だけではなく、成功経験を次の成功につなげるような前向きな姿勢を打ち出すようにしましょう。

例えば「過去に成功した方法を現代風へアップデートして活用する意志を伝える」ようにすると、古いやり方に固執せず時代に合わせていけることをアピールできます。

また過去の成功経験を若いスタッフと共有することで、時代に合った新しいやり方を編み出すこともできます。このようなアピールを提示すれば、若いスタッフとも連携できる柔軟性のある人材だと思わせることができます。

転職サイトを利用して求人を探す

しかし、ミドル層が転職できる求人は若年層に比べて少ないため、自力で求人を探すと転職活動に成功しにくいのが現実です。したがってミドル層が転職を考えているのであれば、転職サイトを利用しましょう。

転職サイトのコンサルタントは非公開求人を多数抱えているため、エージェントを活用すると自力では探せない求人から希望に沿った案件を見つけ出すことができます。

また転職サイトの担当者は、入社後の階級・年収なども交渉してくれます。そのため転職サイトを利用すると、良い条件で転職を成功させやすくなります。

このとき担当者の力量や抱えている案件などには個人差があります。そのため転職サイトは、最低3社以上登録しましょう。そうすることで、より希望に近い条件の求人を見つけやすくなります。

まとめ

登録販売者は「薬を販売できるようになる」という資格の特性から、定年後でも働き続けることができます。またミドル層であっても、登録販売者資格を所有していることで転職を成功させやすくなります。

ただミドル層には、一般的に成長性を期待することができません。そのため、企業の即戦力となれるスキル・経験がなければ採用されることは難しいです。

また、50代が応募できる求人は若い人よりも少ないです。そのため自分の力だけでは転職を成功させることは困難でしょう。

そこで中高年の登録販売者は、転職サイトを利用して求人を探しましょう。これにより、希望の条件での転職を成功させやすくなります。


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